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SURA 65.離婚章 〔アッ・タラーク〕


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.預言者よ,あなたがたが妻と離婚する時は,定められた期限に離別しその期間を(正確に)計


算しなさい。あなたがたの主アッラーを畏れなさい。かの女らに明白な不貞がない限り,(期限


満了以前に)家から追い出してはならない。また(かの女らを)出て行かせてはならない。これ


らはアッラーの掟である。アッラーの掟に背く者は,確かに自分の魂を損う者である。あなたは


知らないが,アッラーはこの後で,新しい事態を引き起こされるかも知れない。


2.その期限が満了した時は,立派に留めるか,または立派に別れなさい。そしてあなたがたの中


から公正な2人の証人を立て,アッラーに向い証言させなさい。これは,アッラーと最後の日を


信じる者に与えられた訓戒である。またアッラーを畏れる者には,かれは(解決の)出ロを備え


られる。


3.かれが考えつかないところから,恵・を与えられる。アッラーを信頼する者には,かれは万全


であられる。本当にアッラーは,必ず御意を完遂なされる。アッラーは凡てのことに,一定の期


限を定められる。


4.あなたがたの妻の中,月経の望・の無い者に就いてもし疑いを抱くならば,(命じられた)定


めの期間は3ヶ月である。(まだ)月経の無い者に就いても(同様である)。妊娠している者の


場合,その期間はかの女が重荷をおろすまでである。本当にアッラーを畏れる者には,かれは事


を容易になされる。


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5.これはアッラーが,あなたがたに下された命令である。アッラーを畏れる者には,かれはその


諸悪を払われ,かれに対する報奨を増大されるであろう。


6.かの女たちを,あなたがたの暮している所であなたがたの力に応じて住まわせなさい。かの女


らを窮屈にして,困らせてはならない。もし妊娠しているならば,出産するまでの費用を,かの


女たちに与えなさい。もしかの女たちがあなたがたのため(子)に授乳する場合は,その報酬を


与え,あなたがたの間で,正しく相談しなさい。あなたがた(夫婦)がもし話がまとまらなけれ


ば,外の女が授乳してもよい。


7.裕福な者には,その裕福さに応じて支払わせなさい。また資力の乏しい者には,アッラーがか


れに与えたものの中から支払わせなさい。アッラーは,誰にもかれが与えられた以上のものを課


されない。アッラーは,困難の後に安易を授けられる。


8.どんなに多くの町が,主とかれの使徒たちの命令に背いたことであろう。それでわれは厳しく


清算し,・せしめの懲罰でかれらを罰した。


9.こうしてかれらは,その行いの悪い結果を味わい,最後には結局滅亡した。


10.アッラーはかれらのために,厳しい懲罰を準備なされる。だから信仰し,思慮ある人びとよ


,アッラーを畏れなさい。アッラーは,確にあなたがたに教訓を下され,


11.使徒を遣わした。かれがアッラーの印をあなたがたに読誦し,明白に解明するのは,信仰し


て善行をなす者を,暗黒の深・から光明の中に導き出すためである。凡そアッラーを信仰して善


行に勤しむ者は,下に川が流れる楽園に入らされ,永遠にその中に住むのであろ。本当にアッラ


ーは,かれらのために善い御恵・を下される。


12.アッラーこそは,7層のVと同様に(7層の)大地を,創造なされた方である。(アッラーの)


御命令はそれらの間から下って来る。それで,本当にアッラーは,凡てのことに全能であり,ま


たアッラーの御知識が,凡ての事物を確かに包囲なされることを,あなたに分からせるためであ


る。


SURA 66.禁止章 〔アッ・タハリーム〕


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.預言者よ,アッラーがあなたのために合法とされていることを(アッラーの御好意を求めるた


めではなく)只あなたの妻たちの御機嫌をとる目的だけで何故自ら禁止するのか。本当にアッラ


ーは寛容にして慈悲深くあられる。


2.(人びとよ)アッラーは,あなたがたのために誓いを解消するよう既に御達しがあった。アッ


ラーはあなたがたの守護者であり,全知にして英明であられる。


3.預言者が妻の一人(ハフサ)にある秘密を打ち明けた時,かの女(ハフサ)はそれを(アーイ


シャに)口外したので,アッラーはそのこと(秘密を漏したこと)をかれに知らせた。かれはそ


の一部分を(ハフサに)話し,一部分は伏せて置いた。それでかれが,かの女(ハフサ)にそれ


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を告げると,かの女は,「誰があなたにそれを告げましたか。」と言った。かれは(答えて)言


った。「何もかも御存知の御方が,わたしに告げられました。」


4.もし梅悟してアッラーに帰るならば,あなたがた2人の心は,善いほうに傾く。もし共謀して


かれに反抗するならば,アッラーはかれの守護者であられ,またジブリールや,正しい信者たち


,更に天使たちも皆(かれの)支持者である。


5.かれが,もしあなたがたを離婚したならば,かれはあなたがたに優る妻たちを,代りにかれに


授けられるであろう。アッラーに服従,帰依し,信心深く誠実で,悔悟して(不断に主に)返り


,(謙虚に)礼拝を捧げ,進んで事に当たり斎戒する者で,既婚者もあり処女もあろう。


6.あなたがた信仰する者よ,人間と石を燃料とする火獄からあなたがた自身とあなたがたの家族


を守れ。そこには厳格で痛烈な天使たちが(任命されて)いて,かれらはアッラーの命じられた


ことに違犯せず,言い付けられたことを実行する。


7.(かれらは言われるであろう。)あなたがた不信心の者よ,今日は,弁解してはならない。あ


なたがたは,只あなたがたが行ったことに対して報いられるだけである。


8.あなたがた信仰する者よ,謙虚に悔悟してアッラーに帰れ。恐らく主は,あなたがたの様々な


悪を払い,川が下を流れる楽園に入らせるであろう。その日アッラーは,預言者やかれに従って


信じる者たちを,辱しめはしない。かれらの光は,その前方または右方だ閃こう。かれらは(祈


って)言うであろう。「主よ,わたしたちのために,光を完全になされ,わたしたちを御赦し下


さい。あなたは凡てのことに全能であられます。」


9.預言者よ,不信者と偽信者にたいし,奮闘努力しなさい。またかれらに対し強硬であれ。かれ


らの住まいは地獄である。何と悪い帰り所であることよ。


10.アッラーは不信者のために実例を示される。ヌーフの妻,そしてルートの妻である。かれら


両人は,2人の正しいわがしもべの許にいた。かの女たちは,かれら(夫)にたいして不誠実で


,アッラーの御許で何ら得るところはなかった。そして「あなたがた2人は(外の)入る者と一


緒に火獄に入れ。」と告げられた。


11.またアッラーは,信仰する者のために例を示される。フィルアウンの妻である。かの女がこ


う言った時を思い起しなさい。「主よ,楽園の中のあなたの御側に,わたしのため家を御建て下


さい。そしてフィルアウンとその行いから,わたしを救い,不義を行う者から,わたしを御救い


下さい。」


12.またわれは自分の貞節を守ったイムラーンの娘マルヤム(の体内)に,わが霊を吹き込んだ


。かの女は,主の御言葉とその啓典を実証する,敬炭な(しもべの)一人であった。


SURA 67.大権章 〔アル・ムルク〕


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.大権を掌握なされる方に祝福あれ。本当にかれは凡てのことに全能であられる。


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2.(かれは)死と生を創られた方である。それは,あなたがたの中誰の行いが優れているのかを


試・られるためで,かれは偉力ならびなく寛容であられる。


3.(かれは)一層一層に,7天を創られる御方。慈悲あまねく御方の創造には,少しの不調和も


ないことを見るであろう。それで改めて観察しなさい。あなたは何か裂け目を見るのか。


4.それで今一度,目を上げて見るがいい。あなたの視線は,(何の欠陥も捜し出せず)只ぼんや


りしてもとに戻るだけである。


5.かれは灯明(星)をもって,最下層の天を飾り,悪魔たちに対する磔(流星)となし,またか


れらのために烈火の懲罰を準備した。


6.かれらの主を信じない者には,地獄の懲罰がある。何と悪い帰り所であることよ。


7.かれらがその中に投げ込まれる時,それ(地獄)が沸騰するかのように不気味で忌しい音でう


なるのをかれらは聞こう。


8.激しい怒りのために破裂するかのようである。一団がその中に投げ込まれる度に,そこの看守


はかれらに,「あなたがたに,警告者はやって来なかったのか。」と問う。


9.かれらは言う。「そうです,確かに一人の警告者がわたしたちの許にやって来ました。だがわ


たしたちは拒否して言った。『アッラーは何(の啓示)も下されない。あなたがたは,大変な過


誤の中にいるだけである。』」


10.かれらはなお言う。「わたしたちが聞き,熟考したならば,烈火の住人の中には入らなかっ


たでしょうに。」


11.かれらは自分の様々な罪を認めた。烈火の住人は,(容赦から)遠く離れている。


12.本当に目に見えない主を,畏れる者には,容赦と偉大な報奨があろう。


13.あなたがたが言葉を隠していても,またそれを表わしても,かれは本当に胸の中のものを知


っておられる。


14.かれが創造されたものを,知らないであろうか。かれは,深奥を理解し通暁なされる。


15.かれこそは,大地をあなたがたに使い易くなされた方である。それでその諸地域を往来し,


かれの糧を食べるがよい。そして復活の時にはかれに召されていく身である。


16.大地が揺れ動く時,天にいます方が,あなたがたをそれに呑・込ませられないであろうと,


安心しているのか。


17.またあなたがたは天にいます方が,(砂石の)烈風をあなたがたに送られないであろうと,


安心しているのか。やがてあなたがたは,わが警告が如何なるものかを知ろであろう。


18.本当にあなたがた以前の者たちも,(わが警告を)嘘であるとした。それであが不興が如何


に(恐ろしいもので)あったか。


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19.かれらは上を飛ぶ鳥に就いて考えないのか。翼を広げ,またそれを畳むではないか。慈悲あ


まねく御方の外,誰がそれらを支えることができよう。本当にかれは,凡てのことを御存知であ


られる。


20.慈悲あまねく御方を差し置いてあなたがたを助ける軍勢となり得るものは,誰であるのか。


不信者は,妄想しているに過ぎない。


21.かれがもし御恵・を止められると,あなたがたに恵・をなし得るものは誰であるのか。いや


かれらは高慢と,(真理からの)回避に固執する。


22.顔を伏せて(只頑なに)歩く者と,正しい道の上を規則正しく歩く者と,どちらがよく導か


れるのか。


23.言ってやるがいい。「かれこそはあなたがたを創り,あなたがたのために,聴覚,視覚,感


情(知力)を与えられた方である。何とあなたがたの感謝の念の薄いことよ。」


24.言ってやるがいい。「かれこそは,あなたがたを地上に分散し繁栄させられた方であり,あ


なたがたはかれの御許に集められる。」


25.かれら(不信者)は,「もしあなたがたの言葉が真実なら,この契約は何時(果たされるの


)であろうか。」と言う。


26.言ってやろがいい。「本当にそれを知るのは,アッラーだけである。わたしは公明な警告者


に過ぎない。」


27.かれらが目の辺にそれを見る時,不信者たちの顔は悲し・に曇る。「これがあなたがたの求


めていたもの(約束の成就)である。」と告げられる。


28.言ってやるがいい。「あなたがたは考えないのか,もしアッラーが,わたしやわたしと一緒


の者を滅ぼされても,また慈悲を与えられても,凡そ不信者を痛烈な懲罰から救うものは誰であ


ろうか。」


29.言ってやるがいい。「かれは慈悲あまねく御方であられ,わたしたちはかれを信仰し,かれ


に(全てを)托す。やがてあなたがたは,明らかな過誤の中にいる者が誰であるのかを知るであ


ろう。」


30.言ってやるがいい。「あなたがたは考えないのか。もし或る朝,あなたがたの水が地下に沈


・去ったならば,涌き出る水を,あなたがたに(■?)せるものは,一体誰であるのか。」


SURA 68.筆章 〔アル・カラム〕


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.ヌーン。筆に誓けて,また書いたものにおいて誓う。


2.主の恩恵において,あなたは気違いではない。


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3.いや,本当にあなたには,尽きない報奨があろう。


4.本当にあなたは,崇高な徳性を備えている。


5.やがてあなたは見よう,かれらもまた見るであろう。


6.あなたがたの誰が気違いであるかを。


7.本当にあなたの主は,道から迷い去った者を,最もよく知っておられ,また導かれている者を


最もよく知り尽される方である。


8.それであなたは(真理を)否認する者に従ってはならない。


9.かれらの願いは,あなたが歩・寄ることで,そうなればかれらも妥協したいのである。


10.あなたは,卑劣な誓いをたてるどんな者にも屈従してはならない。


11.中傷し,悪口を言い歩く者,


12.善事を妨げ,掟に背く罪深い者,


13.乱暴(残虐)な者,その外素性の卑しい者,


14.富と(多くの)子女を持っているために(そうである,これらの者に従ってはならない)。


15.かれにわが印が読唱されると,「それは昔の物語です。」と言う。


16.やがてわれは,鼻の上に焼印を押すであろう。


17.本当にわれは,(果樹)園の持ち主を試・たように,かれらを試・た。かれらが,早朝にそ


れ(果物)を収穫することを誓った時に,


18.(アッラーの御望・ならば)と,条件を付けることをしなかった。


19.それでかれらが眠っている間に,あなたの主からの天罰がそれを襲った。


20.それで朝には,それは摘・取られたようになった。


21.早朝かれらは栗いに叫んだ。


22.「もし収穫するのならあなたがたの畑に急ぎましょう。」


23.そこでかれらは低声に囁き合って出かけた。


24.「今日は一人の貧乏人も,あの(果樹園)に入らせてはなりません。」


25.かれらは強く心に決めて,朝早く出て行った。


26.だがかれらがそれを見た時,言った。「わたしたちは,道を間違えている。


27.いや,わたしたちは(収穫物を)奪われた。」


28.かれらの中,すこし穏やかな一人が言った。「あなたがたはどうして(主を)讃えないのか


と,わたしが言ったのに。」


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29.かれらは,「わたしたちの主を讃える。本当にわたしたちは不義でありました。」と言った





30.そこでかれらは,栗いに責め合い始めた。


31.かれらは言った。「ああ悲しい,わたしたちは本当に横柄でした。


32.主はこれに代る,更に良い(果樹園)を与えられるかもしれない。本当にわたしたちは,(


悔悟して)主に嘆願します。」


33.このようなものが,(現世の)懲罰である。だが来世の懲罰は更に大きなものである。もし


かれらに分っていたならば。


34.本当にアッラーを畏れる者に対しては,主の御許に喜こびの楽園があろう。


35.われは信心深い者たちを,罪人のように扱うとでもいうのか。


36.あなたがたはどうしたのか。あなたがたはどう判断するのか。


37.それともあなたがたには,学ぶに足りる啓典があるのか。


38.あなたがたが選ぶものは,何でもその啓典の中にあるのか。


39.それともあなたがたは,審判の日まで有効な誓約をわれと結んだのか。あなたがたが思慮分


別することは,確かにあなたがたのものになるのか。


40.(ムハンマドよ)かれらに問え。「かれらの誰がそれを保証するのですか。」


41.または,かれらは(主に)配するものがあるのか。かれらが正しいのなら,その配するもの


を連れて来させなさい。


42.脛が,現わにされる日(を思いなさい)。かれらはサジダするよう求められる。だがかれら


には出来ないであろう。


43.かれらは目を伏せ,屈辱を被るであろう。サジダするよう,確かにかれらは呼びかけられて


いた。その時五体満足なのに(拒否した)。


44.そこでこの御言葉(クルアーン)を虚偽であるとする者をわれに任せよ。われはかれらが気


付かない方面から,一歩一々(堕落に)導き,


45.かれらを猶予するであろう。本当にわれの計略は強く確かである。


46.それともあなたがかれらに報酬を求め,それでかれらは負担を課せられたのか。


47.また幽玄界がかれらの手元にあり,それでかれらは(それを)書き下すことが出来るのか。


48.だから忍耐して,あなたの主の命令を待て。魚の友のようであってはならない。苦しさの余


り(かれが)叫んだ時(のように)。


49.主からの恩恵がかれに達しなかったならば,かれは罪を負わされ,不面目に不毛の地に捨て


られたであろう。


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50.このように主は,かれを選び正義の徒の一人となされた。


51.不信心者は警告を聞く時,その(物凄い)目付きで,あなたを凡んど倒れんばかりにする。


かれらは言う。「本当にかれは憑かれた者です。」


52.だが,この(クルアーン)こそは,万有のための訓戒に外ならない。


SURA 69.真実章 〔アル・ハーッカ〕


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.ヌーン。筆に誓けて,また書いたものにおいて誓う。


2.主の恩恵において,あなたは気違いではない。


3.いや,本当にあなたには,尽きない報奨があろう。


4.本当にあなたは,崇高な徳性を備えている。


5.やがてあなたは見よう,かれらもまた見るであろう。


6.あなたがたの誰が気違いであるかを。


7.本当にあなたの主は,道から迷い去った者を,最もよく知っておられ,また導かれている者を


最もよく知り尽される方である。


8.それであなたは(真理を)否認する者に従ってはならない。


9.かれらの願いは,あなたが歩・寄ることで,そうなればかれらも妥協したいのである。


10.あなたは,卑劣な誓いをたてるどんな者にも屈従してはならない。


11.中傷し,悪口を言い歩く者,


12.善事を妨げ,掟に背く罪深い者,


13.乱暴(残虐)な者,その外素性の卑しい者,


14.富と(多くの)子女を持っているために(そうである,これらの者に従ってはならない)。


15.かれにわが印が読唱されると,「それは昔の物語です。」と言う。


16.やがてわれは,鼻の上に焼印を押すであろう。


17.本当にわれは,(果樹)園の持ち主を試・たように,かれらを試・た。かれらが,早朝にそ


れ(果物)を収穫することを誓った時に,


18.(アッラーの御望・ならば)と,条件を付けることをしなかった。


19.それでかれらが眠っている間に,あなたの主からの天罰がそれを襲った。


20.それで朝には,それは摘・取られたようになった。


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21.早朝かれらは栗いに叫んだ。


22.「もし収穫するのならあなたがたの畑に急ぎましょう。」


23.そこでかれらは低声に囁き合って出かけた。


24.「今日は一人の貧乏人も,あの(果樹園)に入らせてはなりません。」


25.かれらは強く心に決めて,朝早く出て行った。


26.だがかれらがそれを見た時,言った。「わたしたちは,道を間違えている。


27.いや,わたしたちは(収穫物を)奪われた。」


28.かれらの中,すこし穏やかな一人が言った。「あなたがたはどうして(主を)讃えないのか


と,わたしが言ったのに。」


29.かれらは,「わたしたちの主を讃える。本当にわたしたちは不義でありました。」と言った





30.そこでかれらは,栗いに責め合い始めた。


31.かれらは言った。「ああ悲しい,わたしたちは本当に横柄でした。


32.主はこれに代る,更に良い(果樹園)を与えられるかもしれない。本当にわたしたちは,(


悔悟して)主に嘆願します。」


33.このようなものが,(現世の)ヲ罰である。だが来世の懲罰は更に大きなものである。もしか


れらに分っていたならば。


34.本当にアッラーを畏れる者に対しては,主の御許に喜こびの楽園があろう。


35.われは信心深い者たちを,罪人のように扱うとでもいうのか。


36.あなたがたはどうしたのか。あなたがたはどう判断するのか。


37.それともあなたがたには,学ぶに足りる啓典があるのか。


38.あなたがたが選ぶものは,何でもその啓典の中にあるのか。


39.それともあなたがたは,審判の日まで有効な誓約をわれと結んだのか。あなたがたが思慮分


別することは,確かにあなたがたのものになるのか。


40.(ムハンマドよ)かれらに問え。「かれらの誰がそれを保証するのですか。」


41.または,かれらは(主に)配するものがあるのか。かれらが正しいのなら,その配するもの


を連れて来させなさい。


42.脛が,現わにされる日(を思いなさい)。かれらはサジダするよう求められる。だがかれら


には出来ないであろう。


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43.かれらは目を伏せ,屈辱を被るであろう。サジダするよう,確かにかれらは呼びかけられて


いた。その時五体満足なのに(拒否した)。


44.そこでこの御言葉(クルアーン)を虚偽であるとする者をわれに任せよ。われはかれらが気


付かない方面から,一歩一々(堕落に)導き,


45.かれらを猶予するであろう。本当にわれの計略は強く確かである。


46.それともあなたがかれらに報酬を求め,それでかれらは負担を課せられたのか。


47.また幽玄界がかれらの手元にあり,それでかれらは(それを)書き下すことが出来るのか。


48.だから忍耐して,あなたの主の命令を待て。魚の友のようであってはならない。苦しさの余


り(かれが)叫んだ時(のように)。


49.主からの恩恵がかれに達しなかったならば,かれは罪を負わされ,不面目に不毛の地に捨て


られたであろう。


50.このように主は,かれを選び正義の徒の一人となされた。


51.不信心者は警告を聞く時,その(物凄い)目付きで,あなたを凡んど倒れんばかりにする。


かれらは言う。「本当にかれは憑かれた者です。」


52.だが,この(クルアーン)こそは,万有のための訓戒に外ならない。


SURA 70.階段章 〔アル・マアーリジュ〕


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.或る者が,下るべき懲罰に就いて問う。


2.不信心者は,それを防ぐことは出来ない。


3.階段の主,アッラーから(の懲罰)である。


4.天使たちや聖霊(大天使ジブリール)は,一日にして,かれの許に登る,その(一日の)長さ


は,5万年である。


5.だからあなたは,立派に耐え忍べ。


6.本当にかれらは,それ(日)を遠いと思う。


7.しかしわれは,それを近いと見る。


8.天が溶けた銅のようになる日,


9.山々は,梳いた羊毛のようになり,


10.誰も友(の安否)を問うことはない。


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11.かれらは栗いに顔を合わせることが出来ない程恐れる。罪ある者はその日,自分の罪を贖う


ために自分の子供たちを差し出そうと願うであろう。


12.かれの妻や兄弟,


13.かれを祢った近親,


14.自分を救えるならば,地上の凡てのものを挙げて贖うことを請い願うであろう。


15.断じて出来ない。本当にかの(地獄の)炎は,


16.頭の皮まで剣ぎ取る。


17.(正義に)背を見せて,背き去った者を召喚するであろう。


18.また蓄積し,隠匿の金を持つ者をも。


19.人間は本当に忙しなく創られている。


20.災厄に会えば歎き悲し・,


21.好運に会えば物惜し・になる。


22.だが礼拝に精進する者は,そうではない。


23.礼拝を厳守している者,


24.またかれらの富が,公正であると認められている者,


25.物乞いする者や耐乏する者のために(施す者),


26.また審判の日の真実を確認している者,


27.またかれらの主の懲罰を恐れる者も。


28.本当に主の懲罰から,安全であると考えるべきではない。


29.また隠れたところ(貞節)を守る者,


30.かれらの妻や右手の所有する者に限っている場合は別で,罪にはならない。


31.しかしこれ以外に求める者は法を越えた者である。


32.付託されたことや約束に忠実な渚,


33.証言に公正な者,


34.また礼拝を厳守する者。


35.これらの者は栄誉を得て楽園の中に(住む)。


36.今不信心者たちが,あなたの方に急いでいるのは何事か。


37.右からまた左から,群になって。


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38.かれらは皆至福の楽園に入ることを望むのか。


39.いや,断じて出来ないことである。本当にわれは,かれらが知るものから,かれらを創った


のである。


40.いや,われは東と西の主によって誓う。われにとっては可能である。


41.かれらよりも優れた(外の)者をもって,かれらに替えてやろう。われは,失敗することは


ないのである。


42.だからあなたは,かれらを(虚栄に)浸らせ,戯れに任せるがよい。かれらが約束されてい


る,その日の会見まで。


43.かれらが墓から慌ただしく出て来る日。それはまるで(現世で)かれらが偶像神へと急いだ


ように。


44.かれらは目を伏せ,屈辱を被るであろう。これがかれらに約束されていた,その日である。


SURA 71.ヌーフ章


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.本当にわれは,ヌーフをその民に遣わし,「痛ましい懲罰があなたの民に下る前に,あなたは


,かれらに警告しなさい。」(と命じた)。


2.かれは言った。「わたしの人びとよ,わたしはあなたがたへの公明な1人の警告者です。


3.あなたがたはアッラーに仕え,かれを畏れ,わたしに従いなさい。


4.かれはあなたがたの様々な罪を赦し,定められた期限まで,あなたがたを猶予なされます。本


当にアッラーの期限が来た時は,猶予されません。もしあなたがたが分っていたならば。」


5.かれ(ヌーフ)は申し上げた。「主よ,わたしは夜も昼も,わたしの人びとに呼びかけました





6.だが,わたしの呼びかけは,只(正道からの)逃避を増すばかりです。


7.わたしがかれらに,『かれが,あなたがたを御赦しになるのだ』と呼びかける時,かれらは指


を自分の耳に差し込・,自分で外套を被って(不信心を)固執し,ひたすら高慢になります。


8.それでわたしは,声を大きくしてかれらに呼びかけました。


9.或る時は公に,また(或る時は)密かにかれらに(訴えて),


10.わたしは言いました。『あなたがたの主の御赦しを願え。本当にかれは,度々御赦しなされ


る。


11.かれは,あなたがたの上に豊かに雨を降らせられ,


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12.あなたがたの財産や子女を増やし,またあなたがたのために,様々な園や(水の流れる)河


川を蝕けられる。


13.あなたがたはどうしたのか。アッラーの御親切,我慢強さに対して,望・を持たないとは。


14.かれは本当に順序よく段階をおってあなたがたを創られた。


15.あなたがたは,アッラーが7天を如何に一層また一層と,創られたかを考えて・なかったのか





16.また月をその中の明りとされ,太陽を(燃える)灯明となされたかを。


17.アッラーはあなたがたを土から育てられ,


18.それから,あなたがたは大地に帰され,また起き上らせられる。


19.またアッラーはあなたがたのために,大地を延べ広げられ,


20.そこであなたがたは,広い大道を往来するであろう。』といって聞かせました。」


21.ヌーフは(更に)言った。「主よ,かれらはわたしに従いません。自分の財産と子女とで,


破滅を助長する者にだけ従います。


22.そして重大な策謀を企・ます。


23.かれらは言います。『あなたがたの神々を捨てるな。ワッドもスフーウも,またャグースも


ヤウークもナスルも,捨ててはならない。』


24.かれらは既に多くの者を迷わせました。(主よ)迷いを放任されても,不義を行う者を多く


しないで下さい。」


25.かれらは様々な罪のために溺れさせられ,更に火獄に送られ,アッラーの外には,どんな援


助者も得られなかった。


26.ヌーフは(祈って)言った。「主よ,不信心な居住者を誰一人として地上に残さないで下さ


い。


27.もしあなたがかれらを残されれば,かれらは必ずあなたに仕える者を迷わせ,また罪を犯す


不信心な者の外,生まないでしょう。


28.主よ,わたしとわたしの両親を御赦し下さい。また信者としてわたしの家に入る者,また(


凡ての)信仰する男と信仰する女たちを御赦し下さい。そして不義を行う者たちには,滅亡の外


には(何も)加えないで下さい。」



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