(ウドゥーの際に)靴下の上を撫でるだけで済ませること
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5-(ウドゥー1の際に)靴下の上を撫でるだけで済ませること
● (ウドゥーの際に)靴下の上を撫でるだけで済ませることが許される期間:
居住者は 1昼夜、旅行者は3昼3夜の間、(ウドゥーの際に足を洗わず)靴下の上を撫で
るだけに留めることが出来ます。靴下の上を撫でるだけで済ませることが許される期間は、
その靴下を履いてから最初にその上を撫でた時点から始まります。
アリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーか
らの平安と祝福あれ)は(靴下の上を撫でるだけで済ませることが許される期間を)旅行
者には3 昼3夜、居住者には1昼夜の間としました。」(ムスリムの伝承2)
● 靴下の上を撫でるだけで済ませることが許されるための条件:
靴下として履いている物が合法的なものであり、清浄であり、また既に清浄な状態にあ
る足に装着されていなければなりません。また靴下の上を撫でるだけで済ませることは、
定住者と旅行者に各々定められた期間内に発生した小さな穢れ3にのみ適用されます。
● 靴下の撫で方:
両手を水につけ、右手で右足の靴下の上部を、指先の辺りから脛の方へと向けて一気に
撫でます。その際、足の脇や裏は撫でません。そして左足も、左手を用いて同様に撫でま
す。
● 1 日の昼間を靴下を撫でて過ごした旅行者が定住状態に入った場合、定住者として引き
続き1夜の間靴下を撫でるだけで済ますことが出来ます。一方靴下を撫でて1 日の昼
間を過ごした定住者が旅行に出る場合、旅行者として引き続き2 昼3 夜の間靴下の上
を撫でるだけで済ませることが出来ます。
● 以下の事柄により、靴下の上を撫でるだけで済ますことは出来なくなります:
① 靴下を脱ぐこと。
② 不浄な状態など、グスル4が必要になった時。
③ 靴下を撫でるだけで済ますことが許される期間が終了した時。
1 訳者注:イスラームにおいて定められたある一定の形式における、心身の清浄化を意図した体の各部位
の洗浄。
2 サヒーフ・ムスリム(276)。
3 訳者注:「小さな穢れ」とは、排便、放屁、熟睡や失神や酩酊などによる一時的な分別の喪失などによ
って陥る状態のことです。
4 訳者注:詳しくは「7.グスル」の項を参照のこと。
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一方ウドゥー自体が無効とならない限り、靴下の上を撫でるだけで済ませることが許さ
れる期間が終了しても清浄な状態は継続します。
● ターバンやヒジャーブ(ヴェール)の撫で方:
必要ならば男性はターバンを、女性はヒジャーブを(ウドゥーの際脱ぐことなく)撫で
るだけで済ますことが出来ます。その際ターバンやヒジャーブの大部分を撫でなくてはな
らず、かつそれらを身体が清浄な状態で着用していなければなりません。
アムル・ブン・ウマイヤ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は預言者(彼
にアッラーからの祝福と平安あれ)が(ウドゥーの際に)ターバンと靴下の上を撫でるだ
けで済ませるのを見ました。」(アル=ブハーリーの伝承5)
● 靴下、靴、ターバン、ヒジャーブなどは大小の排便や睡眠などを原因とする小さな穢
れの場合、ウドゥーの際その上を撫でるだけで済ませることが出来ます。しかしそれらを
撫でるだけで済ませる期間内に大きな穢れ6の状態に陥れば、その際は体全身をグスルしな
ければなりません。
● ギブスの撫で方:
ギブスや包帯などは、それを外しても問題が無くなる時期までその上を撫で続けること
が出来ます。この場合、例えその装着期間がどれだけ長く伸びても、あるいは例えその間
大きな穢れの状態に陥ったとしても、あるいは例えそれらを身体が清浄な状態において装
着していなかったとしても、問題はありません。
● 傷はその上に何も巻いたり貼り付けたり覆ったりしていない場合、(ウドゥーをする際
には)水で洗わなくてはなりません。もしそうすることで患部の状態が悪化するようであ
れば、水で撫でるだけで済ませます。そしてもしそうすることすらも有害であれば、タヤ
ンムム7を行います。そしてもし傷が何かで覆われている場合、(ウドゥーをする際には)そ
の上を水で撫でるだけで済ませます。もしそれも出来ないようであれば、タヤンムムをし
ます。
● ムスリムの福利のためなどにおいて、上記の衣服類の脱着に困難を見出すような仕事
に従事する旅行者は、通常の規定期間を超えて靴下などを撫でるだけで済ませることが出
来ます。
5 サヒーフ・アル=ブハーリー(205)。
6 訳者注:「大きな穢れ」とは、精液の発射、性交、月経や産後の出血などによって陥る状態のことです。
7 訳者注:詳しくはこの章の「8.タヤンムム」の項を参照のこと。