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イエスのはりつけ





神はクルアーンの中で、イエスの十字架へのはりつけが事実ではなかったことを明らかにしています。実際はユダヤ人がそう思い込んだだけなのであり、神はイエスを天に召されているのです。しかしながらイエス(彼に神の称賛あれ)の身代わりになった人物は、明確にされていません。





“彼らが彼(イエス)を殺したのでもなく、また彼を十字架にかけたのでもない。只彼らにそう見えたまでである。”(クルアーン 4:157)





“神は彼を、御側に召されたのである。神は偉力ならびなく英明であられる。”(クルアーン 4:158)





このようにイスラームはイエスの地上に現れた目的が、自らを犠牲にすることによってアダムとイブを初めとする全人類の罪を贖い、人類をその重荷から解放することであるという間違った概念を否定します。イスラームでは、誰かが誰かの罪を背負うという概念を厳しく排除されています。神はこう述べています:





“重荷を負う者は、他の者の重荷を負うことは出来ない。”(クルアーン 36:7)





またイスラームは神の全能性とその慈悲深さゆえ、人が心から悔い改め、二度と同じ罪を繰り返さないと誓えば、あらゆる罪が赦されることを強調しています。神はそのための血の犠牲を必要ともしなければ、自ら人の形で降臨し人類の罪のために死ぬようなこともありません。神の慈悲は信仰者、不信仰者に関わらず全創造に及ぶのです。そして慈悲の扉は、それを求める全ての人々に開かれています。





イエスの再臨





キリスト教徒と同じように、ムスリムもイエス・キリストの地上での再臨を信じますが、彼の役割と再来の理由についてはキリスト教と異なります。彼が地上に戻って来る理由とは第一に、彼が人間であることの証明であり、また人々が持っている彼への間違った信仰を正すためです。彼はいわゆる人間的な人生を送り、結婚し、また普通の人間がそうであるように、やがて死ぬのです。その時点で彼に関する事実は明確となり、全ての人々は彼が人間であることに確信を持つでしょう。





“啓典の民の中、彼の死ぬ前にしっかり彼を信じる者は一人もいなかった。審判の日において、彼は彼らにとって(不利な)証人となろう。”(クルアーン 4:159)





またイエスは、彼の再臨の直前に現れ、自分自身を神とする信仰へと人々に呼びかける偽キリストと戦うとされています。イエスは偽キリストを破り、全人類は神の真実の宗教を受け入れます。世界は歴史上類を見ない、平和でのどかな時代を見ます。人々は皆同じ神を崇め、かれのみに仕え、お互いに手を取り合うのです。





結論





以上が、神がムハンマドに下した最後の啓示であるクルアーンにおいて語られている、イエスに関する真実のほんの一部です。神は唯一であり、一つの種族である人間を創造し、一つの教えを彼らに伝えました:それはつまり神への崇拝における服従、唯一の神の教えの追従 ― すなわちアラビア語でのイスラームです。その教えこそは地球の最初の人間に伝えられ、その後あらゆる時代に渡って全ての預言者たちが確証してきた教えなのです。





マリアの処女懐胎により誕生したイエス・キリストは数々の奇跡を行ない、イスラエルの民に対して彼以前の諸預言者と同様の教え、すなわち神への服従(イスラーム)を説きました。彼は神ではなく、‘神の子’でもありませんでしたが、メシアであり、偉大なる神の預言者の一人だったのです。イエスは人々に対し、彼自身を崇拝するようには命じませんでした。実際には彼自身が崇拝しているものと同じ神への崇拝を呼びかけたのです。また彼は預言者モーゼが説いたトーラーの律法を確証し、自身もその法に従った人生を生き、ユダヤ人たちが勝手に違法としたものを合法として正した後、弟子たちに対してもそれに忠実に従うよう指示しました。そしてイエスは昇天の前、彼の弟子たちに対して最後の預言者であるアラブ人ムハンマドについて予告し、彼の教えを認めるよう指示しているのです。





イエスの昇天から何世代も経った後、彼の教えは歪曲され、彼の存在は神の地位にまで高められてしまいました。しかしそれから6世紀が過ぎた後、預言者ムハンマドの登場によってイエス・キリストに関する真実は最終的に訂正され、そしてそれは最後の啓典であるクルアーンに永久保存されたのです。更にイエスが従っていたモーゼの律法の多くはその純粋で完全な形を保ったまま復活し、イスラーム ― すなわち神によって定められた生き方 ― として施行されたのです。同時にそれ以前の諸預言者からもたらされた法は、緩和されたり廃止されたりしました。





従って諸預言者の真実性と彼らの説いた同一の教え、更に彼らが従った生き方は、神が人に定めた唯一の宗教であるイスラームによってのみ維持され、かつ見出すことが出来るのです。そしてそれは現在、ムスリムだけがイエスと彼の真実の教えに従っているという事実を浮き彫りにします。ムスリムはイエスが実践した生き方において、今日のキリスト教徒が実践している生き方よりもより忠実に追従していると言うことが出来ます。またイエス・キリストへの敬愛はイスラームにおける信仰箇条の一つに数えられており、また神はクルアーンのあちこちに登場するイエスへの信念の重要性を強調しています。



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