記事

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被造物は、魂がないものでさえも無から創造することは出来ません。預言者ムハンマド()は、アッラーが彼にこう仰った旨を伝えています:


「わが創造に相似するものを創ろうとする者よりも、不正を働く者はあろうか?最も小さい蟻でもよいから、創らせてみるがよい。あるいは一粒の種でも、麦の繊維一本でもよいから創らせてみよ。」(アル=ブハーリーの伝承)


 人間はこの宇宙における法則に関し、自分自身の思い通りに操作することは出来ません。これは創造を行われ、世界の諸事を司られる創造主が存在することの証拠の一つでもあります。アッラー()はこう仰りました:


あなたは、イブラーヒーム(アブラハム)と彼の主について議論した者を見なかったのか?彼はアッラーから王権を授かった(ゆえ、自惚れてイブラーヒームと議論したのである)。イブラーヒームが、「わが主は生をお授けになり、また死をお授けになられるお方。」と言った時、彼は「私も生を与え、死を与えるのだ」と言った。イブラーヒームは言った:「アッラーは東から太陽を昇らせられる。では、あなたはそれを西から昇らせてみるがよい。」すると不信仰に陥っていた者は、困惑してしまった。アッラーは不正者をお導きにはなられないのだ。(クルアーン2:258)


 人類に下された最後の啓典であるクルアーンと同様のものを創作してみよ、というアッラーの全人類に対する挑戦。このこともまた、アッラーの存在を示す証拠の一つです。この挑戦は最後の日まで、破られることなく継続するのです。アッラー()は仰りました:


たとえ人間とジン(精霊)が団結してこれと同様のクルアーンを捏造しようとしても、同様のものは作ることが出来ないのだ。たとえ彼らが互いに力を合わせても、である。(クルアーン17:88)


またクルアーンの中には、アッラーの存在やムハンマド()の使徒性に関して疑念を抱いている者に対し、クルアーンと同等の


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ものを創作してみよ、という挑戦のくだりが何度も出てきます。そして当時最も雄弁であったことで知られていたアラブ人らはその挑戦に受けて立ち、可能な限りの努力を払ったのですが、結局失敗しました。クルアーンは彼らが熟知している言葉であるアラビア語で啓示されたにも関わらず、太刀打ちすることが出来なかったのです。その後、アッラーはこの挑戦のハードルをお下げになり、こう啓示されました。


いや、彼らはこう言っている:「彼(ムハンマド)がそれ(クルアーン)を作ったのだ。」(ムハンマドよ、)言え、:「それと同様の十の章でもよいから、偽造して持って来てみよ。そしてあなた方が本当のことを言っているのなら、あなた方がそうすることの出来るアッラー以外の何かに(そこにおける援助を)祈願してみるがよい。」(クルアーン11:13)


そしてそれでも誰も太刀打ち出来ないと、更に軽減されました。アッラー()はこう仰ります:


そしてもしあなた方が、われら(アッラーのこと)がわれらのしもべ(ムハンマド)に下したもの(クルアーン)に関して疑念を抱いているのなら、それと同様のものを一章でもよいから持って来てみよ。そしてもしあなた方が本当のことを言っているというのなら、アッラー以外のあなた方の証人(の援助)を祈願してみるがいい。(クルアーン2:23)


クルアーンは啓示されたアッラーの御言葉なのであり、決して反証されることはないのです。アッラー()はこう仰っています:


このクルアーンは、アッラー以外の何ものかが創作できるような代物ではないのだ。しかし(クルアーンは)それ以前のもの(諸啓典)に対する確証であり、万有の主からの疑念の余地のない啓典の詳細なのである。(クルアーン10: 37)


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また、もしクルアーンが人為の作品であるとしたら、きっとそこには多くの矛盾が現れるはずなのです。アッラー()は仰っています:


一体彼らは、クルアーンをよく熟慮しないのか?もしそれがアッラー以外のものによるものであったら、彼らはそこに多くの食い違いを見出したであろうに。(クルアーン4:82)


そして私たちの議論である創造の開端と終焉に関する基盤は、アッラー()の次の御言葉の中にあります:


アッラーこそは全ての創造主であり、全ての被造物の諸事を執り行われるお方なのである。かれにこそ天地の鍵は属している。(クルアーン39:62-63)





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現象界の創造の始まり


人の知識と理解は、彼が属している現象界に関してでさえも圧倒的に不足しています。ゆえに人間にとっては、創造主の偉大さを知り、自分自身をアッラーのご満悦と天国の楽園へと導いてくれる物事に関して以外は、そもそも目に見えない幽玄界に関する理解の必要性はありません。こうした理由から、アッラー()は継続的に使徒を遣わされ、人がそれでもって善行に努力すべく、幽玄界の知識の一部をお教えになられたのです。もし人間の知性が壁によって遮断された場所で何が起こっているかということにすら到達出来ないような代物であれば、当然ながら幽玄界のことを理解することは不可能でしょう。


アッラー()はこう仰いました:


(アッラーは)相重なる七層の天をお創りになられたお方。あなたは慈悲遍きお方(アッラーのこと)の創造に、少しの乱れも見出さない。それで今一度目を凝らして見るがよい。一体あなたはそこに、ただの一つでも亀裂でも見出すことが出来るか?それからまた観察し、そしてもう一度観察してみるがよい。あなたの目は疲弊し、惨めにも(そこにいかなる欠陥も見出すことなく、元に)戻るであろう。(クルアーン67:3-4)


天地とその間にあるものの創造


アッラー()は仰っています:


そしてかれ(アッラーのこと)こそは、真理をもって天地を創造されたお方。その日、かれが、「(このように)あれ。」と言えば、そうなるのである。かれの御言葉は真実。ラッパが吹かれるその日(審判の日)、大権はかれに属する。(かれは)不可知の事象も、顕現している事象もご存知であり、この上なく英知に溢れ、全てを余すことなくご存知であられる。(クルアーン6:68)


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以下に挙げるのは、天地に存在する被造物のいくつかの例です:


アッラー()は仰いました:


そしてわれら(アッラーのこと)は天を、守られた屋根とした。しかし彼らは、われらのみしるしに背を向けるのである。そしてかれ(アッラーのこと)こそは、昼夜と太陽と月をお創りになられたお方。それら(の天体)は全て、軌道を飛んで行くのだ。(クルアーン21:32-33)


またアッラー()は、こう仰いました:


あなた方と天の、いずれがより困難な創造であるか?かれ(アッラーのこと)はそれ(天)を築き上げられたのである。(かれは)その上部を高く隆起させられ、それから整えられた。そしてその夜を暗くされ、その昼を顕わにされた。またその後に大地を広げられ、そこから水や牧草を出現させられた。そして山々をそこに固定されたのである。(それらは皆)あなた方と、あなた方の家畜への恵みなのだ。(クルアーン79:27-33)


またアッラー()は仰います:


またわれら(アッラーのこと)は豊潤さを湛える風を送り、天から(雨)水を降らせる。そしてそれでもって、あなた方を潤わせるのだ。しかしあなた方は、その貯蔵を委ねられている訳ではない(つまり、あなた方はそれを望む者に与えたり、あるいは禁じたりすることが出来ない)。(クルアーン15:22)


風には様々な種類があります。ある種の風は、アッラー()のご慈悲によるものです。アッラー()は仰います:


そしてかれ(アッラー)こそはそのご慈悲をもって、よき知らせ(慈雨)をもたらす風を送られるお方。そして(その風は雨を大量に含んで)重厚な雲を運び、われら(アッラーのこと)はそれを不毛の大地に降らせる。それからそれでもって水を降らせると、われらはそれでもってあらゆる果実の


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実を出させる。このようにしてわれらは、死んだ者たちをも(地面から)引き出すのである。あなた方が熟慮するように(われらはこれらの喩えを提示するのである)。(クルアーン7:57)


またある種の風は、懲罰ゆえのものです。アッラー()は仰います:


それとも、あなた方はかれ(アッラーのこと)が再びあなた方をそこ(荒れ狂う海)に戻し、あなた方に烈風を送り、あなた方の不信仰ゆえに、あなた方を溺死させてしまわないとでも安心しているのか?そしてあなた方はわれら(アッラーのこと)に対し、あなた方の救助を求める者などを見出すこともないのだ。(クルアーン17:69)


またアッラー()は、こうも仰っています:


…そして火を伴う烈風がそれ(果樹園)を襲い、焼失してしまう…(クルアーン2:266)


また、アッラー()はこうも仰っています:


それでわれら(アッラーのこと)は、不吉な数日間の間、彼らに痛烈な暴風を送り続けた…(クルアーン41:16)


アッラーは七層の天と七層の大地をお創りになられました。アッラー()は仰います:


アッラーこそは七層の天と、そして地においてもそれと同様のものを創られたお方。啓示はその間を下って来る。それはあなた方が、アッラーが全てのことをお出来になり、そしてアッラーが全ての事象を熟知されていることを知るためである。(クルアーン65:12)


創造の開端において、天地は一体でした。アッラー()は仰っています:


一体不信仰者たちは、天地が(かつては)一体であったのを、われら(アッラーのこと)が別々に分けたことを知らな


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いのか?そしてわれらが全ての生物を水から創造したことも?一体彼らは信仰しないのか?(クルアーン21:30)


アッラー()は天地と、その間にある全てのものが創造された時のことについて、こう仰っています:


言え、「あなた方は、大地を2日間でお創りになられたお方を信じず、更にはかれに同位者まで設けるのか?かれこそは万有の主であられるというのに。また、かれこそは丁度4日間でそこに堅固な山々を高く聳えさせ、そこを祝福し、求める者たちのために、そこにおける糧をお定めになられた。それからまだ煙の状態にあった天へと赴きになり、天と大地に対してこう仰られた:“あなた方が望もうとも望まざるとも、(われの命に)服するのだ。”それら(天と大地)は言った:“私たちは従順に服します。”それからかれは(更なる)2日間で7層の天を完成なされ、各天にそのご命令を示された。またわれら(アッラーのこと)は天の最下層を灯火(星々)で装飾し、それを守った。これは偉大かつ全能なるお方の、お定めである。」それで(これらの事実にも関わらず)彼らが背を向けるのならば、こう言うのだ:「私はあなた方に、アードとサムードの(民を襲った)この上ない懲罰を警告した。」 (クルアーン41:9-12)


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天使の創造


天使はアッラーの創造であり、かれらは光から創られました。預言者ムハンマド()はこう言っています:


「天使は光から創られ、ジン(精霊的存在)は火から創られた。そしてアーダムはあなた方に(クルアーンの中で)描写されたもの(土塊)から創られた。」(ムスリムの伝承)


アッラーはかれらに、特定の役割を遂行させられます。アッラー()は仰いました:


(天使たちは言う:)「私たちには皆、特定の役割があります。私たちは列を成し、(アッラーの崇高さを常に)讃美する者です。」(クルアーン37:164-166)


アッラーは、ジブリール(ガブリエル)、ミーカーイール(ミカエル)、イスラーフィール(ラファエル)など、かれらの内のあるものの名を明らかにされています。アッラー()はこう仰っています:


アッラーとその天使たち、そしてその使徒たちとジブリールとミーカーイールに敵対する者があろうと、実にアッラーこそは不信仰者たちにとっての敵なのである。(クルアーン2:98)


たとえば、ジブリール()は啓示を携えて使徒たちのもとに下ります。そして彼らは各々の民にそれを伝達したのです。アッラー()はこう仰っています:


(クルアーンは)忠義なる魂(ジブリール)によって下った。警告者となるべく、あなた(ムハンマド)の心に。(クルアーン26:194)


ミーカーイール()は雨と植生の役割を担い、イスラーフィールは復活の日にラッパを吹く役目を担っています。かれが最初に吹く一吹きで、全てのものは恐怖に打ちひしがれます。アッラー()は仰います:


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そしてその日角笛が吹き鳴らされ、アッラーがお望みになられるもの以外の天地にある全てのものは恐れおののく。そして全ての者は身をすくませ怯えながら、かれの御許へとまかり出る。(クルアーン27:87)


次いで、イスラーフィールは審判の日に2回目のラッパを吹きます。この時全てのものは命を奪われ、そして3回目のラッパで全てのものが蘇らされます。アッラー()はこう仰いました:


そして角笛が吹き鳴らされ、アッラーがお望みになられるもの以外の天地の全てのものは気を失う。それからもう一吹きされると、彼らは立ち上がり眺め回す。(クルアーン39:68)


また死の天使は、人が死ぬ時にその魂を収集する役目を託されています。アッラー()はこう仰いました:


そしてかれ(アッラーのこと)は、かれのしもべたちの上に威力をもって君臨されるお方。かれはあなた方に(死の)天使を遣わされる。そしてあなた方に死が訪れる時、われらの使い(天使)たちはその魂を抜く。彼らは(われらの命令を)怠ることがないのである。それから彼らは真の主であられるアッラーの御許へと、還される。(真の)裁決は、かれにのみ属するのだ。かれは清算において俊敏この上ないお方であられる。(クルアーン6:61-62)


またアッラーの玉座を運ぶものや、かれの近くに侍る天使たちもいます。アッラー()は仰います:


マスィーフ(イーサー)は、アッラーのしもべであることを慢じたりはしない。またかれのお傍に召されている天使たちも、同様である。慢心からアッラーへの崇拝を軽んじ、驕り高ぶる者は皆、かれ(アッラーのこと)が(懲罰のため)かれの御許に召集されよう。(クルアーン4:172)


またあるものは天国での仕事を請け負い、またあるものは地獄でのそれを請け負います。アッラー()は仰っています:


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信仰する者たちよ、あなた方自身とあなた方の家族を地獄の業火(へと招くような事柄)から守るのだ。その燃料は人間と石であり、その上には厳しく荒々しい天使たちがいる。彼らはアッラーが命じられたことに逆らうこともなく、そのご命令を遂行するだけなのである。(クルアーン66:6)


また人間を守る役割を担うものたちもいます。アッラー()は仰います:


(全ての者には)その前から後ろから、アッラーの命ゆえに次々と交替して引継ぎ看視する者たちがついている。(クルアーン13:11)


またあるものは、人の行いを記録を担当します。アッラー()はこう仰いました:


そして実に、あなた方には(あなた方の行いを)看視する者たちがいる。(彼らは)高貴なる記録者たちであり、あなた方の行いを知っているのだ。(クルアーン82:10-12)


天使もまた、アッラーを崇拝するために創造されました。アッラー()は仰います:


そしてかれ(アッラーのこと)の御許には、かれを崇拝することにおいて驕り高ぶることもなければ、疲れを覚えることもない者たち(天使たちのこと)がいる。(彼らは)昼夜に(その主の)崇高さを讃美し、休むこともないのだ。(クルアーン21:19-20)


天使の正確な数は、アッラーのみがご存知です。アッラー()はこう仰いました:


そしてあなたの主の軍勢を知る者は、かれ(アッラー)だけなのである。(クルアーン74:31)


このテーマについて更なる情報をお望みの方は、クルアーンと真性スンナに基づいて天使とその役割について書かれている本をお読みになられると良いでしょう。


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ジンの創造


ジン(精霊的存在)もまた、アッラーを崇拝すべく創造された被造物であり、目には見えない存在です。アッラー()は仰います:


そしてわれ(アッラーのこと)はジンと人間を、われを崇拝させるべくして創造したのだ。われはあなた方からの糧も欲しなければ、あなた方がわれに食を与えることも望んではいない。実にアッラーこそがこの上ない御力を備えられ、(万有に)糧を授けられるお方なのだ。(クルアーン51:56-58)


彼らには、人間が課されているのと同様の宗教的義務が課されています。アッラー()はこう仰いました:


そしてわれら(アッラーのこと)があなたに、クルアーンに耳を傾けるジンの集団を遣わした時(のことを思い出すのだ)。(彼らはあなたの)クルアーンの朗誦に臨むと、(互いに)言った:「謹聴するのだ。」そして(朗誦が)終わると、自分たちの民のもとへと(彼らを)警告するため立ち去った。(彼らはその民に)言った:「民よ、私たちは実にムーサー(モーゼ)の後に下された、それ以前のもの(諸啓典)を確証する啓典が朗誦されるのを聞いた。そしてそれは真理へと、そして正しい道へと導いてくれるのだ。」(クルアーン46:29-30)


アッラーは彼らを、火からお創りになられました。アッラー()は仰っています:


(アッラーは)人間を、陶土のような乾いた土塊から創られた。そしてジンを、混じり合う炎から創られた。(クルアーン55:14-15)


またアッラー()は、こうも仰っています:


またわれら(アッラーのこと)は人間を、変質した黒土からの乾いた土塊からお創りになられた。また(人間の創造


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に)先んじてジンを、無煙の焔から創られた。(クルアーン15:26-27)


アーダム()の創造


アーダム(アダム)は人類の祖です。アッラー()はこう仰いました:


そしてあなたの主が、天使らにこう仰った時のこと(を思い出すのだ):「われは地上に代理人を置く。」(天使たちは)言った:「あなたはそこで堕落し、血を流す者を(代理人として)置かれるのですか?私たちは(いかなる不完全性からも無縁であられる)あなたの崇高さを讃え、あなたを賛美し、あなたの神聖さを讃えていますと言うのに。」(アッラーは)仰った:「われは、あなた方が知らないことを知っているのだ。」そして(アッラーは)アーダムに、全ての名をお教えになられた。それからそれらを天使らに提示され、こう仰られた:「あなた方が本当のことを言っていると言うのなら、それらの名をわれに言ってみるがよい。」(天使たちは)言った:「(いかなる不完全性からも無縁であられる)あなたの崇高さに讃えあれ。私たちは、あなたのお教えになられたものしか知りません。実にあなたこそは全てをご存知であられ、この上なく英知に溢れたお方であられます。」(アッラーは)仰った:「アーダムよ、彼らにそれらの名を伝えてやるがよい。」そして彼がそれらの名を彼らに伝えてやると、(アッラーは)仰った:「われはあなた方に、われが天地における神秘を知っているということを言ったではないか?そしてあなた方が露わにすることも、隠すことも知っていることを?」そしてわれら(アッラーのこと)が、天使らにこう言った時のこと(を思い出せ):「アーダムにサジダ(跪拝)せよ。」それで(天使らは皆)サジダしたが、イブリース10だけはそうせず、拒み、驕り高ぶった。彼は不信仰者だったのである。われらは言った:


10 彼はシャイターン(悪魔)であり、天使ではなくジンでした。尚この時の跪拝は崇拝ゆえのそれではなく、敬意のそれです。


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「アーダムよ、あなたとあなたの妻は楽園に住むがよい。そしてどこからでも好きな所から存分に食べるがよいが、この木にだけは近づいて(その実を食べて)はならない。そうすればあなた方は、不正者となってしまうのだから。」しかしシャイターン(イブリース)は彼ら二人を(惑わせ、アッラーのご命令においてその足を)踏み外させ、彼らがいた場所から彼らを追い出してしまった。われら(アッラーのこと)は言った:「あなた方は落ちて行くのだ。あなた方は互いに敵である。そして地上にはあなた方のための、束の間の安住の場と恩恵があろう。」しかしその後、アーダムはその主から御言葉を授かり、(アッラーは)彼の悔悟をお受け入れになられた。かれは実に悔悟をよくお受け入れになられ、慈悲深いお方であられる。われら(アッラーのこと)は言った:「あなた方は皆、そこ(楽園)から落ちて行け。そしてわれの御許からの導きがあなた方に訪れた時、われの導きに従う者には恐れも憂いもないであろう。そしてわれらのみしるしを信仰せず、それを嘘とする者たちは地獄の民なのである。彼らはそこに永遠に留まるのだ。」(クルアーン2:30-39)


ゆえに全人類は、アーダムの子孫です。アッラー()は仰います:


人々よ、あなた方を一つの魂(アーダム)から創られ、次いでそれからその妻を創られ、そしてその二人から多くの男女を創り広げられたアッラーを畏れよ。(クルアーン4:1)


この点に関して、預言者ムハンマド()はこう語っています:


「人々よ、あなた方の主は一つであり、あなた方の父祖もまた一人なのである。あなた方は皆、アーダムから創られ、アーダムは一塊の土塊から創られたのだ。アラブ人が非アラブ人に優り、非アラブ人がアラブ人に優るなどということはない。また赤い肌の者が白い肌の者に優り、白い肌の者が赤い肌の者に優


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るなどということもないのだ。ただ唯一の差は、敬虔さのみなのである。」(アフマドによる伝承)


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アーダム()はいかに創造されたか?


アッラー()は異なる形で例を挙げつつ、アーダムが土から創られたことを明らかにされています。次に示す句でアッラー()は、アーダムが砂から創られたと仰っています:


実にイーサー(イエス)はアッラーの御許において、アーダムと同様である。かれは彼(アーダム)を砂からお創りになった。そして(アッラーが)それに向かって「(人間と)なれ」と仰れば、それはそうなったのである。(クルアーン3:59)


また次の句では、アッラー()は彼が土塊から創られたと仰っています:


かれ(アッラー)こそはあなた方を土塊からお創りになり、それから(生存の)期間を定められたお方。そして(復活までの)決められた期間(に関する知識)は、かれの御許にこそある。この後に及んでも、あなた方は(審判の日を)疑っているのだ。(クルアーン6:2)


また次の句においては、アーダムは粘り気のある泥土から創られた、と述べられています:


彼らに問え、彼らの構造と、われらが創ったもの(天地や山など)のいずれが強力かを?われらは彼らを、粘り気のある泥から創造したのだ。(クルアーン37:1-11)


また以下の句においては、アーダムは陶土のような泥土から創造されたことになっています。


(アッラーは)人間を、陶土のような乾いた土塊から創られた。(クルアーン55:14)


また別の句においては、アッラー()は彼を変質した黒土からの土塊によってお創りになられた、とあります。


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またわれら(アッラーのこと)は人間を、変質した黒土からの乾いた土塊からお創りになられた。(クルアーン15:26)


いずれの場合にせよ、アーダムが一つの物質から創造されたことに変わりはありません。


アッラーはアーダムを土塊から創造されましたが、それは異なるいくつかの段階を経ました。 アーダムは、アッラーがお望みになる期間だけ土塊の状態のまま留まりました。アッラーがそこに魂を吹き込まれたのは、その後のことです。アッラー()はこう仰いました:


そしてあなたの主が、天使たちにこう仰った時(のことを思い出せ):「われは変質した黒土が乾燥した塊から、人間を創ろう。それでわれがそれを形作り、そこにわが魂を吹き込んだら、(あなた方は)彼に向かってサジダ(跪拝)するのだ。」それで天使たちは皆、(アーダムに向かって)サジダした。しかしイブリースだけは別で、彼はサジダする者たちの中に加わることを拒否した。(クルアーン15:28-31)


そしてアーダム創造の後、その子孫は取るに足らない粗末な液体から創られました。アッラー()は仰っています:


(アッラーは)かれの創造した全てを見事なものにされ、また人間の創造を泥から始められた。それからその子孫を、粗末な液体から抽出されたものからお創りになられた。そしてその形を整え、そこにかれの魂を吹き込まれた。そしてあなた方に聴覚と視覚と心をお与えになられたのだ。あなた方は何と感謝することの少ないことか。(クルアーン32:7-9)


また人間は大地の土から創られた以上、またそこへと回帰する運命にあります。そして審判の日には、まらそこから蘇らされるのです。アッラー()は仰っています:


われら(アッラーのこと)はそこ(土)からあなた方を創り、(あなた方の死後)そこへとあなた方を返し、そしてそ


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こからまたあなた方を(復活の日に呼び)出す。(クルアーン20:55)


アーダム()の特性


預言者ムハンマド()は、アーダムの特性を私たちに描写しています。彼()はこう言いました:


「アッラーはアーダムを六十腕尺の身長にお創りになられ、こう仰られた:“行って、あれらの天使に挨拶せよ。そして彼らがあなたに対してする挨拶の言葉を聞くがいい。それはあなたと、あなたの子孫の挨拶となるのである”(それで彼は行き、こう言った:)“アッサラーム・アライクム(あなた方に平安あれ)。”すると彼らはこう返答した:“アッサラーム・アライクム・ワ・ラフマトゥッラー(あなた方に平安と、アッラーのご慈悲がありますよう)。”彼らは“ラフマトゥッラー(アッラーのご慈悲)”という言葉を付け足したのである。ゆえに天国に入る者は誰でも、アーダムの特性をもってそうするのだ。そして今日に至るまで、アーダムの子孫の身長は低くなり続けている。」(アル=ブハーリーの伝承)


アーダムの子孫は、


なぜ様々に異なっているのか?


肌の色にせよ、特質にせよ、またその先天性にせよ、アーダムの子孫がなぜ互いに異なっているかということについて、預言者ムハンマド()は明らかにしています。


「アッラーは、アーダムを大地から抽出された一すくいからお創りになられた。それでアーダムの子らは(各々)、その地質に沿ったものとなったのである。ある者(の肌の色)は赤く、またある者は黒く、また白かったり、黄色かったりする。またある者は呑気で、ある者は悲観的であり、また卑屈


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だったり、善良だったり、純粋だったりする。そしてまたある者は、それらが入り混じった性質であったりするのだ。」(イブン・ヒッバーンによる伝承)


人類の母ハウワー(イブ)の創造


アッラーはアーダム()をお創りになられた後、彼の左側の肋骨から彼の妻をお創りになられました。それは彼が彼女から慰安を得、また彼らが子孫を得るためでした。アッラー()は仰っています:


人々よ、あなた方を一つの魂(アーダム)から創られ、次いでそれからその妻を創られ、そしてその二人から多くの男女を創り広げられたアッラー(のお怒りと懲罰を招くような事柄)から身を慎むのだ。そしてあなた方がかれにおいて同情し合うところのお方と、親戚の絆の断絶に対して身を慎め。アッラーは実に、あなた方の一部始終を見守られるお方である。(クルアーン4:1)


また預言者ムハンマド()は、こう言っています:


「アッラーと最後の日を信じる者は、その隣人を害してはいけない。そしてあなた方の妻にもよく接するのだ。彼女らは一本の肋骨から創られたのであり、そして肋骨の内でも最も湾曲しているのが上部のそれである。もしそれを真っ直ぐにしようと試みれば、それは折れてしまうであろう。だからと言って、もしそれを放ったらかしにしておいたら、それは湾曲したままになってしまう。ゆえにあなた方の妻に対して、よく接するのだ。」(アル=ブハーリーの伝承)


アーダムとハウワーの住まい


彼らは楽園に住んでいましたが、アーダム()の犯した罪ゆえにそこから追放されてしまいました。アッラー()はこう仰っています:


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そしてわれら(アッラーのこと)が、天使たちにこう仰った時(のことを思い出せ):「アーダムに向かって、サジダ(跪拝)するのだ。」それで天使たちは皆、(アーダムに向かって)サジダした。しかしイブリースだけは別で、彼は(そうすることを)拒否した。それでわれらは言った:「アーダムよ、これ(イブリース)はあなたとあなたの妻の敵である。ゆえに彼があなた方を、天国から追い出してしまわないようにせよ。そうすればあなたは不幸な目に遭ってしまうのだから。あなたはそこ(楽園)では飢えることもなければ、裸体を晒すこともない。また渇きに襲われることも、太陽の暑さに苦しむこともないのだ。」しかしシャイターンが彼に囁いて、こう言った:「アーダムよ、あなたに永遠の(生命を授かることが出来る)木と、廃れることのない王権へと案内してやろうか?」それで彼ら二人は(イブリースの誘惑に乗って)そこから食べたが、すると彼らの恥部が晒されてしまった。それで彼らは、楽園の葉でそこを覆うようになった。アーダムはその主に背き、それで過ちを犯してしまったのだ。しかしその後、主は彼をお選びになり、彼の悔悟をお受け入れになり、(彼を)お導きになられた。(アッラーは)仰った:「あなた方両人は二人とも、そこ(楽園)から落ちてゆくがよい。あなた方は互いに敵である。そしてもしわが御許からあなた方に導きが下った時に、わが導きに追従する者は迷うこともなく、不幸になることもないであろう。そしてわれの訓戒から背き去る者には、実に苦しい生活があろう。そして更に、われらは審判の日に彼を盲目にして蘇らせよう。」(クルアーン20:116-124)


使徒の派遣の始まり


アーダム()の世代の後、人々は真実から逸脱し始めました。それでアッラーは使徒を遣わされたのです。教友イブン・アッバース()はこう伝えています:


「アーダムとヌーフ(ノア)の間の十世代に渡り、人々は(正しい)宗教を固守していました。人々がそこから逸脱し始めたのはその後のことで、ゆえにアッラーは彼らのもとに


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(天国の)吉報と(地獄の)警告を伝達する者として、使徒を遣わせられたのです。」(アル=ハーキムによる伝承)


人類に使わされた最初の使徒はヌーフ(ノア)です。アッラー()は仰っています:


実にわれら(アッラーのこと)は、ヌーフとそれ以後の預言者たちに啓示したように、あなた(ムハンマド)にも啓示を下した。(クルアーン4:163)


尚クルアーンの中でアッラーによって言及されている使徒と預言者は、ごく僅かです。アッラー()はこう仰いました:


そしてそれらはわれら(アッラーのこと)が、イブラーヒーム(アブラハム)に対しその民に向けて授けた明証である。われらは望む者の地位を上げるのだ。実にあなたの主は英知に溢れ、全てを知り尽くされたお方である。そしてわれらは彼にイスハーク(イサク)とヤアコーブ(ヤコブ)を授け、両者を導いた。またそれ以前にヌーフ(ノア)も導いた。そしてその子孫であるダーウード(ダヴィデ)、スライマーン(ソロモン)、アイユーブ(ヨブ)、ユースフ(ヨセフ)、ムーサー(モーゼ)、ハールーン(アーロン)も(また導いた)。われらはこのように知識に秀で、行いの正しい者に報いを与えるのだ。またザカリーヤー(ザカリヤ)、ヤヒヤー(ヨハネ)、イーサー(イエス)、イリヤース(エリヤ:も導いた)。(彼らは)全て正しい者たちであった。そしてイスマーイール(イシュマエル)、アル=ヤサア、ユーヌス(ヨナ)、ルート(ロト)(も導いた)。われらは彼ら全員を、全世界において卓越した者たちとした。そして彼らの祖先や子孫、兄弟たちの内からある者たちを選び、真っ直ぐな道へと導いた。(クルアーン6:83-87)


またアッラー()は、こうも仰っています:


言え、「私たちはアッラーと、私たちに下されたもの、そしてイブラーヒーム(アブラハム)とイスマーイール(イシュマエル)、イスハーク(イサク)とヤアクーブ(ヤコブ)、そして(ヤアクーブの子孫であるイスラエル部族出身の)諸


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預言者に下されたものを信じます。またムーサー(モーゼ)とイーサー(イエス)が授けられたものと、預言者たちがその主から授けられたものを(信じます)。私たちは彼ら(預言者たち)のいかなる者にも、差別を付けたりはしません。私たちはかれ(アッラー)にこそ、服従します。」(クルアーン2:136)


またアッラー()は、こう仰います:


そしてイスマーイール(イシュマエル)とイドリース(エノック)とズル=キフル(エゼキエル)。皆忍耐強い者たちであった。(クルアーン21:85)


他にも、アッラーが私たちに言及されてはいない使徒や預言者が存在します。アッラー()は仰っています:


またわれら(アッラーのこと)はこれ以前、ある使徒たちについてあなたに語って聞かせたが、(別の)使徒たちについてはあなたに語って聞かせなかった…(クルアーン4:164)


アッラー()は、人々をアッラーの宗教へと回帰させ、かれのことだけを崇拝させるために、折に触れて彼らのもとに使徒や預言者を送られました。そして全ての使徒と預言者が伝達したのは、「アッラーのみを崇拝し、かれ以外に崇拝されている全てのものの神性を否定する」という同一のメッセージだったのです。アッラー()はこう仰っています:


本当にわれら(アッラーのこと)は、各々の民に使徒を遣わして、「アッラーを崇拝し、ターグート(偽の神性)を避けなさい。」と命じた。それで彼らの内のある者はアッラーがお導きになり、またある者には(真理からの)迷妄が運命付けられた。ゆえに大地を巡り、(真理を)嘘とした者たちの行く末がいかなるものであったかを、目にするがよい。(クルアーン16:36)


一方で各社会において定められた法や規定は、各々異なるものでした。ある社会において定められていたことは、決して別の社会でも同様に定められていたわけではありませんでした。この背


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後に潜んでいる英知は、それらの社会の従順さにおけるアッラーからの試練だったのでしょう。アッラー()は仰っています:


われら(アッラーのこと)はあなたたちの(共同体の)各々に、法と明白な道筋を授けた。もしアッラーがそうお望みなら、かれはあなた方を一つの共同体とされたであろう。しかしかれは、あなた方をあなた方に授けられたものでもって試練におかけになるため(、そうはされなかった)。ゆえに善行に競い合うのだ。(クルアーン5:48)


そして最後のメッセージこそが、預言者ムハンマド()の携えて来たそれなのです。彼は全人類に向けて、遣わされました。アッラー()は仰います:


ムハンマドは(彼が授かった本当の彼の子でもない)あなた方の内の誰の父親でもない。しかしアッラーの使徒であり、最後の預言者なのだ。(クルアーン33:40)


預言者ムハンマド()が人々をいざなったことの一つに、「真に崇拝に値する神というのはただ一つであり、その神こそは全ての事象を営まれ、人々がそのご加護を求めるべき唯一のお方である」ということがあります。そしてこのことは、人の精神的幸福と、心と精神の平安をもたらしてくれるのです。アッラー()はこう仰いました:


そしてわれら(アッラーのこと)があなた(ムハンマド)を遣わしたのは、全世界への慈悲ゆえに他ならない。(クルアーン21:107)


アッラーとそのメッセージを信じる者が真の幸福を達成するということの証明は、彼らの人生を、アッラーの存在とその法を否定する者たちの人生と比較すれば、明瞭なものとなるでしょう。心配と精神的不安定の中に生きる無神論者は、その精神的空白を埋めるために、薬物や酩酊物質、抑制剤などを服用せずにはいられなくなるのです。時にはそれが彼らを、自殺にすら追いやることすらありえます。たとえ一時的に幸せな気分を味わえたとしても、このようなことによって人は幸福を得ることは出来ません。それはまるで塩水を飲むようなものです。それは渇きを潤しては


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くれないどころか、彼の渇きを更に激しくするのです。しかしあらゆる欠陥から無縁である崇高なアッラーを信仰し、かれに従順に服従することこそは、全ての悲しみの痕を抹消し、また真の幸福と平安を勝ち取ることにつながるのです。


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人間とは何か?


人間とは、アッラーが最上の姿形にお創りになられた被造物です。アッラー()は仰っています:


実にわれら(アッラーのこと)は、人間を最善の姿形に創り上げた。(クルアーン95:4)


またアッラーは、人間を完璧な形にお創りになられると同時に、しかるべき均整もお授けになりました。アッラー()はこう仰ります:


人間よ、寛大なるあなたの主においてあなたを欺かせたのは何なのか?。かれこそはあなたをお創りになり、あなた(の形)を整えられ、あなたを均整の取れた形にされたお方。かれはあなたを、かれのお望みの姿に構築された。(クルアーン82:6-8)


アッラーは人間を、最高かつ完全な容姿にされました。アッラー()はこう仰っています:


アッラーこそは大地を安住の場とされ、空を天蓋とされたお方。またあなた方の姿を形作られ、その姿形を最善の姿とされ、あなた方によき糧をお恵みになられたお方である。これこそはアッラー、あなた方の主。恩寵高き万有の主アッラーよ。(クルアーン40:64)


またアッラーは人間を、他の全ての被造物よりも尊ばれ、また高貴な存在とされました。アッラー()は仰ります:


そしてわれら(アッラーのこと)はアーダムの子ら(人類のこと)を高貴な存在とし、陸に海に彼らを運んだ。また彼らによき物を糧として授け、われらが創造したあらゆるものの上に位置づけたのだ。(クルアーン17:70)


アッラーは宇宙に存在する全てのものを、人間が利用するために従属させられました。アッラー()は仰っています:


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またかれ(アッラーのこと)は天地にあるあらゆるものを、あなた方のために仕えさせられる。実にその中には、熟慮する民へのみしるしがあるのだ。(クルアーン45:13)


また人間は独特の生物であり、他のものから進化を遂げたわけではありません。アッラー()は仰りました:


(アッラーは)かれの創造した全てを見事なものにされ、また人間の創造を泥から始められた。(クルアーン32:7)


人間を高貴な存在とし、その位階を高めたクルアーンの文章と、人間を動物同等と見なす理論の間には、いかに大きな差異があるでしょうか?クルアーンは、人間を動物と同様に描写したりはしません。但し、人間が制限なくその欲望を追及し、その知性や聴覚や視覚を天地の創造の素晴らしさを熟考することに利用しない場合は、その限りではありません。アッラー()はこう仰っています:


そしてわれら(アッラーのこと)は地獄のために、多くのジンと人間を創った。彼らには心があるが、それでもって熟慮することがない。また彼らには眼があるが、それでもって見ることもない。そして彼らには耳があるが、それでもって聴くこともない。彼らはまるで畜獣のよう、いや、それよりも迷い去っている。彼らは(警告を)ないがしろにする者たちなのだ。(クルアーン7:179)


これは、人がこれらの感覚を適切な場所‐つまり熟考と思慮‐において使用すれば、アッラー()の恩寵と共にかれへの信仰へと導かれるという事実によるものです。


イスラーム中世期の学者イブン・アル=カイイム(アッラーのご慈悲あれ)は、こう言っています:


「アッラー()は、ありとあらゆる被造物の中から人間をお選びになられた。そしてアッラーは人間に、かれを崇拝するためにお創りになられるという栄誉を授けられた。またアッラーは宇宙の全てのものを人間に従属させられ、知識をお与えになり、かれのご寵愛のためにお選びになられた。アッラー


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