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SURA 34.サバア章


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.天にあり地にあるす凡てのものを所有なされるアッラーに讃えあれ。来世においても,讃えは


かれのものである。かれは英明にして凡てに通じておられる。


2.かれは大地に入るもの,またそれから出るものを凡て知っておられ,また天から下るもの,な


らびにそこに上るもの凡てを知っておられる。かれは慈悲深く寛容であられる。


3.信仰のない者は,「(審判の)時は,わたしたちには来ないであろう。」と言う。言ってやる


がいい。「いや,主に誓って,それは必ずあなたがたにやって来るのである。幽玄界までも知っ


ておられる主に誓って。天においても地においても,微塵の重さでも,かれから免れられるもの


はない。またそれより小さいものも大きいものも,明確な書に記されないものはない。


4.それはかれが,信仰して善行をする者に,報われるためである。これらの者にこそ,寛容と寛


大な御恵・があろう。


5.だがわれの印を虚しくするために努力する者,これらの者には痛ましい懲罰があろう。


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6.知識を授かった者なら,主があなたに下されたものは真理であって,それが偉力ある方,讃美


すべき方の道に導くものであることが分るであろう。」


7.不信者たちは(嘲笑して)言う。「あなたがたが粉々にされ散らされた後で,新しく創造され


るなどと告げる人間を,教えましょうか。」


8.だがかれはアッラーに就いて,虚偽を言ったのか。それとも気違いになってしまったというの


か。いや,かれらは来世を信じない,懲罰の中にいる酪い心得違いの者である。


9.かれらはかれらの前後にある天と地を見ないのか。もし欲するならば,われがかれらを大地に


呑ませ,または天の一角をかれらの上に落とすであろう。本当にその中には悔悟して主に返ろし


もベにとっての印がある。


10.われは,且つてダーウードに恩恵を授け(て言っ)た。「山々よ,ダーウードと共に(われ


を)讃えなさい。また鳥たちも。」われはまた,かれのために鉄を軟らかにして,


11.(言った)。「あなたは鎖帷子を造り,環をよく整えなさい。そして善行に勤しめ。本当に


われは,あなたがたの所行をよく見ている。」


12.またスライマーンには風を(支配させ),(その風の一吹きで)一朝に一ケ月(の旅路)を


,また―夕に一ケ月(の帰路)を(旅させた)。またわれはかれらに熔けた銅の泉を湧き出させ


た。また主の御許しによりあるジン(幽精)に,かれの面前で働かせ,かれらの中われの命令に


背く者には,烈しい(焔?)の懲罰を味わわせた。


13.かれらは,かれ(スライマーン)のためにその望む高殿や彫像や池のような水盤,また固定


した大釜を製作した。(それぞれの持場で)「あなたがたは働け,ダーウードの家族よ,感謝し


て働け。」だがわれのしもベの中で感謝する者は僅かである。


14.われがかれ(スライマーン)に死の断を下した時も,かれらにその死を知らせたのは,一匹


の地の虫がかれの杖を蝕ばんだことであった。それでかれが倒れると,ジンたちは(始めて)悟


った。もしも幽玄界のことを知っていたならば,恥辱の懲罰に服している要もなかったのに。


15.本当にサバアナも,その住まいに一つの印が授けられていた。右側と左側の2つの果樹園。(


そしてかれらに仰せられた。)「あなたがたの主の与える食物を食べ,かれに感謝せよ。土地は


立派で,主は寛大であられる。」


16.だがかれらは(アッラーから)背き去った。それでわれは,かれらに洪水を送り,かの2つの


園を,柳と僅かばかりのハマナツメの苦い実を結ぶ園に変えた。


17.そのようにわれは,かれらが不信心であったために報いた。われが,不信心(恩を忘れる)


者以外に報復などしようか。


18.われはかれらと,われが祝福した都市との間に,(旅人が)見付け易い幾つかの町を蝕け,


その旅程を定めた。「昼も夜も安全に旅をしなさい。」


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19.それなのにかれらは言った。「主よ,わたしたちの旅程の間隔をもっと遠くして下さい。」


こうしてかれら自らその身を誤まった。われはかれら凡てを粉々にして散らし,(後の人の)語


り草とした。本当にこの中には,堅忍して感謝する者たちへの(われの)印がある。


20.イブリースはかれらについて,かれの思惑が図に当たつた。そこでかれらは一部の信者を除


き,(凡て)かれに従った。


21.しかしかれ(悪魔)は,かれらに対して権威があった訳ではなかった。われは,来世を疑っ


ている者と信じる者を識別しようとしたに過ぎない。本当にあなたがたの主は凡てのことを見守


っておられる。


22.言ってやるがいい。「アッラーを差し置いてあなたがたが(神であると)主張していたもの


たちに祈るがよい。そんな神々は,天においても地においても微塵の力もない。またその(創造


)に当っては,何ら役割を持たず,アッラーにしてもそんな助力者を必要とはしていない。」


23.かれが御許しになられた者の外,御前での執り成しは無益である。やがてかれらの心の怖れ


が消えると天使たちは言う。「あなたがたの主は,何と仰せられたのですか。」するとかれらは


(答えて),「真理でした。かれは,至高にして至大の御方です。」という。


24.言ってやるがいい。「天地からあなたがたに扶養を与えるのは誰なのか。」言ってやるがい


い。「アッラーであられる。要するにわたしたちか,またはあなたがたのどちらかが導きの上に


あり,どちらかが迷っている。」


25.言ってやるがいい。「あなたがたは,わたしたちの犯した罪に就いて問われず,わたしたち


もまた,あなたがたが行ったことに就いて問われない。」


26.言ってやるがいい。「主は一斉にわたしたちを召され,真理に基いてわたしたちの間を裁か


れる。かれは真の裁決者で全知におわします。」


27.言ってやるがいい。「あなたがたが,同位の者としてかれに,配するものをわたしに見せな


さい(決して出来ないであろうが)。」いや,かれこそはアッラー。偉力ならびなく英明であら


れる。


28.われは,全人類への吉報の伝達者また警告者として,あなたを遺わした。だが人びとの多く


は,それが分らない。


29.かれらは,「あなたの言葉が真実なら,この約束(審判の日)は何時(やって来るの)です


か。」と言っている。


30.言ってやるがいい。「あなたがたへの約束の日は,あなたがたが一刻も取り戻せずまた先ん


じることも出来ない(日である)。」


31.信じない者は,「わたしたちはこのクルアーンも信じないし,またこれ以前にあった啓典も


信じません。」と言う。不義を行った者が,主の御前に立たされる時の姿を,あなたに見せてや


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りたいもの。かれらは栗いに(外に罪を負わせて)罵り合う。無力であった者は微慢であった者


に言う。「あなたがたが,いなかったら,わたしたちはきっと,信者になっていましたのに。」


32.倣慢であった者は,無力であった者に言う。「導きがあなたがたに届いた後,あなたがたを


それらから背かせたのは,わたしたちであったというのか,いや,あなたがたこそ罪作りであっ


た。」


33.無力であった者は傲慢であった者に言う。「いや,夜となく昼となく,(あなたがたは)策


謀をしていました。現にアッラーを信じないし,かれに同位者を立てるよう,あなたがたは(不


断に)命令しました。」かれらは懲罰を見るに及んで,後悔する。われは不信心な者の首に枷を


かける。かれらは,その行ったことで,報いを受けるだけである。


34.われが町に,警告者を遣わす度に,そこの富裕な者たちは,「あなたがたが遺わされたこと


を,わたしたちは信じません。」と決まって言ったのである。


35.「また,わたしたちは多くの財産と子女があるので,懲罰される(ような)ことはありませ


ん。」とも言った。


36.言ってやるがいい。「本当にわたしの主は,御心のままに豊かに御恵・を与えられ,また乏


しくもなされる。だが人びとの多くは理解しない。」


37.あなたがたをわれにもっと近づけるものは,財産でも子女でもない。信仰して善行に勤しむ


者は,その行いの倍の報奨を与え,高い住まいが保証される。


38.またわれの印を頓座させるために努力する者は,懲罰に引きたてられる。


39.言ってやるがいい。「本当にわたしの主は,そのしもべの中から御心に適う者に,御恵・を


豊かに与えまた或る者には乏しく授けられる。かれはあなたがたが(主の道のために)施すもの


はすべて返される。かれは最も優れた御恵を与える方であられる。」


40.一斉にかれらを召集なされる日。かれは天使たちに向かって仰せられよう。「これらの者は


,あなたがたを崇拝していたのか。」


41.かれら天使たちは(答えて)言う。「あなたに讃えあれ。あなたはわたしたちの愛護者であ


られます。だがかれらはその限りではありません。かれら(人々)はジンを崇拝していました。


多くの者は,かれら(ジン)の信者でした。」


42.あなたがたはこの日,お栗いに益にも害にも役立たない。われは不義を行っていた者たちに


言う。「あなたがたが偽りとしていた,火獄の懲罰を味わえ。」


43.明白なわれの印が,かれらに読誦されても,かれらは言う。「これは一人の男が,あなたが


たの祖先の崇拝していた神々から背かせようとするのである。」また言う。「これは只捏造した


,作りごとである。」また真理を信じない者たちは,それがかれらに現われると,「これは明ら


かに魔術に過ぎない。」と言う。


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44.われは(前もって),かれらの学び得る啓典を下していた訳ではない。またあなた以前に,


どんな警告者もかれらに遣わさなかった。


45.かれら以前の者も(真理)を嘘であるとした。われが昔の人々に与えたものは(マッカの人


びとにとっては)十分の一にも達しない程(優遇)したのに,われの預言者を嘘つき呼ばわりし


た。わが怒りは何と激しかったことか。


46.言ってやるがいい。「わたしは忠告する。あなたがたはアッラーの御前に,2人ずつまたは1


人ずつ立ってよく考えなさい。あなたがたの同僚は,気違いではない。かれは厳しい懲罰の(下


る)以前に,あなたがたに警告するに過ぎない。」


47.言ってやるがいい。「わたしは,どんな報酬もあなたがたに要求しない。それは(凡て)あ


なたがたのものである。わたしは報酬を,只アッラーから(戴く)だけである。かれは凡てのこ


とを立証される。」


48.言ってやるがいい。「本当にわたしの主は,(しもベに)真理を投げかけられ,見得ないも


のを知り尽くされる。」


49.言ってやるがいい。「真理(イスラーム)は下り,偽り(邪神)は何らその後創造すること


もなくまた再び繰返すこともない。」


50.言ってやるがいい。「仮令わたしが迷っても,只わたし自身(を損なう)だけである。また


,もし導かれているならば,それは主がわたしに啓示された御陰である。本当にかれは全聴にし


て至近におわす方であられる。」


51.かれら(不信者)が恐怖に震える姿を,あなたに見せたいもの,かれらは逃れる道もなく,


近い所から捕えられる。


52.その時かれらは,「わたしたちはそれを信じます。」と言う。(そんな)遠方からでは,ど


うして(信仰が)得られようか。


53.以前にもかれらは信じようとはしないで,遠方から幽玄界のことに就いて推測するばかりで


あったではないか。


54.以前,かれらの同類に対してなされたように,その熱望するもの(信仰)とかれらとの間に


,障壁が置かれよう。本当にかれらは,邪推深い疑いの中にいるのである。


SURA 35.創造者章 〔ファーティル〕


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.アッラーに讃えあれ。天と地の創造者であられ,


2対,3対または4対の翼を持つ天使たちを,使徒として命命なされる。かれは御心のまま数を増


して創造される。本当にアッラーは凡てのことに全能であられる。


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2.アッラーが人間に与えられるどんな慈悲も,阻まれることはない。またかれが阻む何事も,そ


れを解き放すものはない。本当にかれは偉力ならびなく英明であられる。


3.人びとよ,あなたがたに対するアッラーの恩恵を念え。天と地からあなたがたに扶養を与えら


れる創造者が,アッラーをおいて外にあるのか。かれの外には神はないのである。それでもあな


たがたはどうして(真理から)迷うのか。


4.かれらはあなたを嘘付き呼ばわりするが,あなた以前の使徒たちも虚言者と呼ばれた。本当に


凡てのことは,アッラーに帰されるのである。


5.人びとよ,アッラーの約束は真実である。だから,現世の生活に欺かれてはならない。またア


ッラーに関し,騙し上手に欺かれてはならない。


6.本当にシャイターンはあなたがたの敵である。だから敵として扱え。かれは,只燃えさかる火


獄の仲間とするために自分の手下を招くだけである。


7.信仰のない者は,厳しい懲罰に会う。だが信仰して善行に動しむ者には,寛容と偉大な報奨が


あろう。


8.自分の悪行を立派であるとし,それを善事と見る者(ほど迷った者)があろうか。本当にアッ


ラーは,御望・の者を迷わせ,また御望・の者を導かれる。だからかれらのために嘆いて,あな


たの身を損なってはならない。アッラーはかれらのなすことを知り尽される。


9.本当にアッラーこそは,風を送られる方である。それは雲を起こし,それを死んだ土地にやり


,死に果てた大地を甦らされる。復活もまたこのようである。


10.誰でも栄誉権勢を願うならば,一切の栄誉権勢は,アッラーの御許にある(ことを知れ)。


(一切の)善い言葉は,かれの許に登って行き,正しい行いはそれを高める。また悪事を企らむ


者には,厳しい懲罰があり,それらの企ら・は,無効になるであろう。


11.アッラーは,土からあなたがたを創り,さらに一精滴から創り,次いであなたがたを一組(


の男女)になされた。かれが知らずに,宿しまた分娩する女はない。長命な者も,短命な者も,


書冊の中に載せられないものはない。本当にそれは,アッラーにおいては容易なことである。


12.2つの海は同じではない。(1つは)甘く,渇きを癒し,飲んで快よい。しかし,(外は)塩


辛くて苦い。しかし,そのどれからも,新鮮な肉をとって食べ,またあなたがたが身に付ける,


種々の装飾品も採取する。またあなたがたは,その中を船が(水を)切って進むのを見よう。そ


れはあなたがたに,かれの恩恵を求めさせるためである。必ずあなたがたは感謝するであろう。


13.かれは夜を昼に没入させ,また昼を夜に没入させ,(昼夜の交替),太陽と月を従えられ,


それぞれ周期をもって定められた期間(復活の日)まで(その軌道を)運行さしめる。このよう


なことが(出来るのは)あなたがたの主,アッラーであられ,大権はかれに属する。だがかれら


が,かれをお て祈るものたちは,キトミール(さえ)どうすることも出来ない。


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14.あなたがたがかれらに祈っても,あなたがたの祈りを聞かず,聞いたとしてもあなたがたに


答えはしない。審判の日にかれらはあなたがたが(かれらを主に)配したことさえ否認しよう。


全知な御方のように,(真実を)あなたに知らせ得る者はないのである。


15.人びとよ,あなたがたはアッラーに求める以外術のない者である。アッラーこそは,富裕に


して讃美すべき方である。


16.もしかれが御望・ならば,あなたがたを退けて,新しい創造物を(湾?)される。


17.これは,アッラーにおいて最も易しいことである。


18.荷を負う者は,他人の荷を負うことは出来ない。もし荷を負わされる者が,その荷のため他


人を呼んでも,近親者ですら,その一部さえ負うことは出来ない。あなたが警告出来るのは,目


に見えないかれらの主を畏れ,礼拝の務めを守る者だけである。その身を清める者は,唯自分の


魂のために清める。(凡てのものは)アッラーの許に帰りゆくのである。


19.盲人と正常の目の人とは,同じではない。


20.暗黒と光明も,


21.また(涼しい)影と,(太陽の)灼熱も,


22.また生と死も,同じではない。本当にアッラーは,御好・になられた者に御聞かせになる。


だがあなたは,(死んで)墓の中にいる者に聞かせることは出来ない。


23.あなたは一人の警告者に過ぎない。


24.本当にわれは,吉報の伝達者として,また警告者として,真理を持たせてあなたを遣わした


。(またこれまでも)どの民にもかれらの間に,一人の警告者が行かなかったものはない。


25.かれらはあなたを拒否するが,かれら以前の者たちもやはり拒んできた。使徒たちは,明証


(奇蹟)と書巻と輝かしい啓典を携えてかれらに来た。


26.それでわれは,これら不信心の者を罰した。わが怒りの何と激しかったことよ。


27.あなたがたは見ないのか。アッラーは天から雨を降らせられる。それでわれは,色とりどり


の果物を実らせる。また山々には,白や赤の縞があり,その外多くの色合いをもち,真黒いとこ


ろもある。


28.また人間も鳥獣家畜も,異色とりどりである。アッラーのしもべの中で知識のある者だけが


かれを畏れる。本当にアッラーは偉力ならびなく寛容であられる。


29.本当にアッラーの啓典を読誦する者,礼拝の務めを守り,われが授けたものから密に,また


あらわに施す者は,失敗のない商売を願っているようなもの。


30.かれは,十分にかれらに報奨を払われ,御恵・を余分に与えられる。本当にかれは,度々赦


される御方,(奉仕に)十分感謝される方であられる。


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31.われがあなたに啓示した啓典は真理であって,それ以前のものを確証するものである。本当


にアッラーは,かれのしもべたちに就いて熟知し,かれらを監視なされる。


32.その後,われはしもべの中から選んだ者に,この啓典を継がせた。だがかれらの中には,自


ら魂を誤った者も,中間の道をとる者もあった。またかれらの中の或る者は,アッラーの御許し


のもとに,率先して種々の善行に勤しむ者もあった。それは偉大な御恵・である。


33.かれらは永遠の楽園に入ろう。その中でかれらは,黄金の腕環と真珠で身を飾り,その衣装


は絹である。


34.かれらは言う。「アッラーを讃えます。わたしたちから(凡て)の苦悩を取り除いて下され


た御方。わたしたちの主は,度々赦される御方,(奉仕を)十分に認められる御方です。


35.かれの御恵・によって,わたしたちは永遠の邸宅に住・,そこで苦労をすることもなく,ま


た疲れを覚えることもありません。」


36.しかし信じない者に対しては,地獄の火があろう。かれらには(そこにいる期間も)宣告さ


れず,死ぬことも出来ず,また懲罰も軽減されないのである。われは,凡ての恩を忘れる者にこ


のように報いる。


37.かれらはその中にあって叫ぶであろう。「主よ,わたしたちを出して下さい。きっと善い行


いをします。(これまで)していたようなことは,いたしません。」(かれは仰せられよう。)


「われは,あなたがたを十分に長命させたではないか。その間に誰でも訓戒を受け入れる者は,


戒めを受け入れたはず。しかも警告者さえあなたがたにュわされていた。だから(懲罰を)味わ


え。悪い行いの者には救助者はないのである。」


38.本当にアッラーは,天と地の幽玄界を知っておられる。かれは,(人間が)胸の中に抱くこ


とを熟知しておられる。


39.かれこそは,あなたがたを地上の継承者とされた方である。誰にしても信じない者は,その


不信心で自分自身を損う。かれらの不信心は,主の憎し・を増すばかりであり,またかれらの不


信心は,自分の損失を増すばかりである。


40.言ってやるがいい。「あなたがたがアッラーの外に祈る,あなたがたが配する(神々)につ


いて考えたことがあるのか。地上にかれらの創造したものがあるのか。それともかれらのために


天からの協力者があるのか。われに示しなさい。それともそのような(アッラーに同位者が居る


ということ)証拠を示す啓典をわれがかれらに与えたとでもいうのか。いや,悪い行いの者たち


は,只欺瞞によって栗いに約束しあっているのに過ぎない。


41.本当にアッラーは,天と地の運行が外れないよう支えられる。もしそれら両者が,外れるこ


とがあるならば,かれをおいて何ものもこれを支え得るものはない。本当にかれは,我慢強い方


,何回も赦される方であられる。


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42.かれらはアッラー(の御名)にかけて,厳粛な誓いをたて,もし警告者が自分たちのところ


に来るならば,どんな民よりも立派に導かれるであろう(と言っていた)。だが警告者がかれら


に来るに及んで,かれらはますます(正しい信仰から)遠ざかるばかりであり,


43.地上で高慢にふるまい,悪事の策謀ばかりをしていた。だが悪事の策謀は,その当人に振り


かかるだけである。だからかれらは昔の人々の(滅亡した)慣行を待つ外はないであろう。それ


であなたは,アッラーの慣行には代替がないことが分るであろう。また変更も決してないことも


分るであろう。


44.かれらは地上を旅して,かれら以前の者たちの末路がどうなったかを観察しなかったのか。


かれら(昔の者)は,かれらよりも力が優れていた。天にあり地にある何ものも,アッラーを挫


くことは出来ないのである。本当にかれは全知にして全能であられる。


45.もしアッラーが,人間をその所業によって罰されるならば,地上に,一人の生存者も残され


なかったであろう。だがかれは期限を定めて,かれらを猶予なされた。だが,かれらの期限が到


来すれば,本当にアッラーはしもべたちの監視者であられる。


SURA 36.ヤー・スィーン章


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.ヤー・スィーン。


2.英知に満ちた,クルアーンによって誓う。


3.本当にあなたは,使徒の一人で,


4.正しい道の上に(人びとを導く者である)。


5.(これは)偉力ならびなく慈悲深き御方の啓示で,


6.祖先がいまだ警告を受けず,それで気付かないでいる民に,あなたが警告するためのものであ


る。


7.本当にその御言葉が,かれらの多くの者に下ってしまっているのだが,かれらは信じない。


8.われはかれらに首枷をはめ,それが顎にまで及ぶ。それでかれらの頭は上向きになった。


9.またわれは,かれらの前面に陣壁を置き,また背面にも障壁を置き,そのうえかれらに覆いを


した。それでかれらは見ることも出来ない。


10.あなたが警告してもまた警告しなくても,かれらにとって同じで,かれらは信じない。


11.あなたは,訓戒に従う者,また目に見えない慈悲深き御方を畏れる者だけに,警告しなさい


。それであなたはこれらの者に,寛容と偉大な報奨の吉報を伝えなさい。


12.本当にわれは死者を甦らせ,またかれらが予め行ったこと,そして後に残した足跡を記録す


る。われは一切を,明瞭な記録簿の中に数え上げている。


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13.町の仲間(の物語)を,例としてかれらに示すがよい。使徒たちがそこにやって来た時のこ


とを。


14.初めわれは,2人の使徒を遺わしたが,かれらは,2人とも嘘付き扱いをされた。それでわれ


は第3の者で強化した。そして使徒たちは言った。「本当にわたしたちは,あなたがたの許に遣


わされた者です。」


15.するとかれらは言った。「あなたがたはわたしたちと同じ人間に過ぎません。慈悲深き御方


は何も啓示を下されはしません。あなたがたは,嘘をついているだけです。」


16.かれら(使徒)は言った。「わたしたちが,実際あなたがたに遣わされた者であることは,


主が御存知です。


17.わたしたちの務めは,只あなたがたに明白(なアッラーの御命令)を宣べ伝えるだけです。





18.かれら(人びと)は言った。「わたしたちにとってあなたがたは確かな凶兆です。もし止め


ないならば,あなたがたを必ず石打ち(の刑)にしましょう。酷いめにあわせてやりますぞ。」


19.かれら(使徒)は言った。「あなたがたこそ凶兆です。あなたがたは訓戒されても(尚そう


言うの)ですか。いや,あなたがたは無法の民です。」


20.その時町の外れから一人の男が走って来て,言った。「皆さん,(アッラーから)遣わされ


たこの人たちに従いなさい。


21.あなたがたに何の報酬も求めない方たちに従いなさい。かれらは(正しく)導きを得ている





22.わたしを創られた方に仕えないなど,どうして出来ようか。あなたがたもかれの御許に帰さ


れるのです。


23.そのような御方を差し置いて,外の神々を求められましょうか。もし慈悲深き御方がわたし


に災いを下そうと望まれるならば,かれら(邪神)の執り成しは少しも役立たず,またわたしを


救うことも出来ません。


24.(そうなるとしたら)明らかにわたしは誤りを犯したことになります。


25.わたしは,あなたがたの(真の)主を信じます。だから(人びとよ,)わたし(の言うこと


)を聞きなさい。」


26.その時かれは,「あなたは楽園に入れ。」と仰せられた。そしてかれは「わが主の御赦しが


与えられ,栄誉ある者の中に,


27.加えられたことを入びとに知ってもらえたら。」と言った。


28.かれの後,われはその民に対し天から軍勢を遣わしはしなかった。またそうするまでもなか


った。


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29.只一声叫ぶだけで,かれらは消え失せてしまった。


30.ああ,哀れなしもべたちよ。かれらは使徒が来る度,嘲笑してかかった。


31.かれらは気付かないのか,自分たち以前に幾世代の者をわれが滅ぼし,かれらは2度と帰らな


いということを。


32.それぞれ皆は,(審判の日)一斉にわれの前に召されよう。


33.かれらへの印の1つとしては,われが死んだ大地を甦らせ,穀物をそれから生産し,それをか


れらが食べることがあげられる。


34.またわれは,そこにナツメヤシやブドウの園を蝕け,その間に泉を涌き出させる。


35.かれらはその果実を食べるが,それはかれらの手が作り出したものではない。それでも感謝


しないのか。


36.かれの栄光を讃える。かれは大地に生えるもの,かれら自身も,またかれらの知らないもの


も,凡て雌雄に創られた方である。


37.またかれらへの印には,夜がある。われがそれから昼を退かせると,見よ,真っ暗になる。


38.また太陽は,規則正しく運行する。これも全能全知な御方の摂理である。


39.また月には,天宮を振り分けた。(それを通って)ナツメヤシの老いた葉柄のように(細く


なって)戻ってくる。


40.太陽が月に追い付くことはならず,夜は昼と先を争うことは出来ない。それらは,それぞれ


の軌道を泳ぐ。


41.また満載した舟に,われがかれらの子孫を運んだことも印の1つである。


42.またわれはかれらが乗る,(外の便利な)乗物を創った。


43.われが欲するならば,かれらを溺れさせることが出来る。そうなれば,かれらを助ける者は


なく,救われはしない。


44.只われの慈悲によって束の間を享楽するだけである。


45.かれらに向かって,「あなたがたの前にあるもの,また後ろにあるものを畏れなさい。そう


すればあなたがたは,必ず慈悲にあずかれるであろう。」と言われても(耳を選すどころか),


46.主からの種々の印が示されても,すっかり,背を向けてしまう。


47.また,「アッラーがあなたがたに授けられたものを,施せ。」と言われると,不信心な者は


信仰する者に言う。「アッラーが御望・なら,(御自分で)養われるという者を,どうしてわた


したちが養うことがありましょうか。あなたがたは,明らかに思い違いをしているだけです。」


48.また,かれらは言う。「あなたがたの言うことが真実ならば,何時この(審判)の約束(が


果たされるの)ですか。」


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49.だがかれらが論争している間に,一声の叫びが(突然)かれらを襲うだけではないか。


50.その時かれらは,遺言することも,また家族のところに帰ることも出来ない。


51.そしてラッパが吹かれると,かれらは墓場から(出て),主の御許に急いで行く。


52.かれらは言う。「ああ,情けない。わたしたちを臥所から呼び起こしたのは誰でしょうか。


これは,慈悲深き御方が約束なされた通りではありませんか。使徒たちの言葉は真実であったの


ですか。」


53.只一声鳴り響けば,一斉にかれらはわれの前に召し集められる。


54.その日には誰も,少しも不当な扱いを受けず,あなたがたは,只自分の行ったことに対し報


いられる。


55.本当に楽園の仲間たちは,この日,喜びに忙がしい。


56.かれらはその配偶者たちと,木陰の寝床によりかかる。


57.そこでかれらは,果実や望・のものを何でも得られる。


58.慈悲深き主から「平安あれ。」との御言葉もある。


59.あなたがた罪人たちよ,今日は離れて控えなさい。


60.アーダムの子孫よ,悪魔に仕えてはならないと,われはあなたがたに命令しなかったか。か


れはあなたがたの公然の敵である。


61.あなたがたはわれに仕えなさい。それこそ正しい道である。


62.確かにかれ(悪魔)はあなたがたの大部分を迷わせた。どうしてあなたがたは悟らなかった


のか。


63.これはあなたがたに約束されていた,地獄である。


64.あなたがたは不信心であったために,今日そこに入るのである。


65.その日われは,かれらの口を封じる。するとその手がわれに語り,かれらの足は,その行っ


たことを立証する。


66.われが望めば,かれらの両目を盲目にすることが出来る。かれらは(天国への)道を先んじ


ようとするが,どうして見通すことが出来ようか。


67.われが望めば,かれらをその場所で形を変えることも出来る。そうなればかれらは,行くこ


とも帰ることも出来ない。


68.誰でも長寿させるさいには,われは創造を逆に戻らせよう。かれらは,それでも悟らないの


か。


69.われはかれ(ムハンマド)に詩を教えなかった。それはかれに相応しくない。これは(アッ


ラーの)訓戒まごうかたないクルアーンであり,


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70.生ける者に警告を与え,また不信心な者に対してはは御言葉が下される。


71.われが手ずからかれらのために創った家畜をかれらに所有させているのを見ないのか。


72.われは,それをかれら(の用)に服させた。それで,かれらはこれに乗り,そして食べる。


73.またかれらは(その外にも)いろいろそれを利用し,また飲・ものを得る。それでもかれら


は感謝しないのか。


74.かれらは,アッラーの外に邪神を選び何とか助けられようとする。


75.それら(邪神たち)は,かれらを助ける力はなく,寧ろかれらの方が邪神を守るため軍備を


整えている始末。


76.あなたはかれらの言うことで,悲しんではならない。本当にわれは,かれらの隠すことも現


わすことも知っている。


77.人間は考えないのか。われは一精滴からかれを創ったではないか。それなのに見よ,かれは


公然と歯向っている。


78.またかれは,われに準えるものを引合いに出して,自分の創造を忘れ,言う。「誰が,朽ち


果てた骨を生き返らせましょうか。」


79.言ってやるがいい。「最初に御創りになった方が,かれらを生き返らせる。かれは凡ての被


造物を知り尽くしておられる。


80.緑の木から,あなたがたのために火を造られたのもかれであり,だからこそあなたがたはそ


れによって燃やす。」


81.天と地を創造なされたかれが,これに類するものを創り得ないであろうか。いや,かれは最


高の創造者であり,全知であられる。


82.何かを望まれると,かれが「有れ。」と御命じになれば,即ち有る。


83.かれにこそ凡ての称讃あれ。その御手で万有を統御なされる御方,あなたがたはかれの御許


に帰されるのである。


SURA 37.整列者章 〔アッ・サーッファート〕


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.整然と列をなす者たちにおいて。


2.駆り立て追う者において。


3.また訓戒(のグルアーン)を読・聞かせる者において,誓う。


4.本当にあなたがたの神は,唯一の主である。


5.天と地,そしてその間にある凡てのものの主,また日の出を司どる主である。


281


6.本当にわれは,星々で下層の天を飾り,


7.(アッラーの命令に)逆らう悪魔にたいする守りとした。


8.かれらは八方から撃たれ,最高の会議を盗・聞くことは出来ない。


9.撃退されて,かれらは永久の懲罰を受ける。


10.盗聴し得た者があっても,白熱の炎が追跡する。


11.かれら(マッカの多神教徒)に問え。「かれらとわれの創った者(天使)のどちらが強く創


られているか。」われはもともと,粘りのある泥でかれらを創ったのである。


12.あなたは感嘆しているというのに,かれらは嘲笑する。


13.警告されても,かれらは警告を受け入れない。


14.またかれらは,印を見ても嘲笑するばかり。


15.そしてかれらは言う。「これは明らかに魔術にちがいありません。


16.わたしたちが死んで土と骨になってから,(また)呼び起こされましようか。


17.遠い祖先たちも(一緒にですか)と言う。


18.言ってやるがいい。「その通り。あなたがたは卑しめられるのである。」


19.それは只一声の叫びである。その時かれらは(恐ろしい光景を)目の当たりに見て,


20.「ああ情けない,これが審判の日ですか。」と言う。


21.「これはあなたがたが信じなかった区分の日である。


22.不義を行っていた者たち,その妻たち,またかれらがアッラーを差し置いて拝していたもの


たちを集めなさい。


23.かれらを火獄への道に連れて行け。


24.いや,かれらを待たせておけ。かれらに尋ねることがある。


25.あなたがたが助け合わないのはどうしたことか。」


26.いや,今日ばかりは,かれらも(審判に)服する。


27.かれらは栗いに近づき尋ね合う。


28.一方は言う。「本当にあなたがたは,右から来ました。」


29.すると他方は言う。「いや,あなたがたは,(もともと)信者ではありませんでした。


30.また,わたしたちはあなたがたに押し付ける権威もありませんでした。それにあなたがたは


反逆の徒でした。


282


31.それで主の御言葉が,わたしたちに実証された今,わたしたちは,(懲罰を)味わわねばな


らない。


32.わたしたちはあなたがたを迷わせたが,わたしたち自身も迷っていたのです。」


33.こうしてその日,かれらは,(凡て)共に懲罰を受ける。


34.本当にわれはこのように罪を犯した者を処分する。


35.かれらは,「アッラーの外に神はありません。」と告げられると,いつも高慢になった。


36.そして,「気狂い詩人のために,わたしたちの神々を捨ててなるものですか。」と言ってい


た。


37.いや,かれは真理を(お?)して,(かれ以前の)預言者たち(の啓典)を確証する者である。


38.あなたがたは,必ず痛ましい懲罰を味わうであろう。


39.どうせ皆あなたがたが行ったことの報いである。


40.だがアッラーの忠誠なしもべたちは,別である。


41.それらの者には,定めの恩恵があり,


42.(喜ばしい)果実,そして栄誉が(授けられ),


43.至福の楽園の中で,


44.寝床の上で向かい合う。


45.清い泉からくんだ杯は,かれらにゆきわたり,


46.真白(な美酒は),飲む者に心地よい甘さ。


47.これは,頭痛を催さず,酔わせもしない。


48.またかれらの側には,伏し目がちな大きい目(の乙女)がいる。


49.かの女らは,注意深く守られている卵のよう。


50.やがてかれらは,栗いに近づき尋ね合う。


51.かれらの一人が,口を切って言う。「わたしに一人の親しい友がいました。


52.かれは言っていた。『あなたまで(復活の日を)信じているのですか。


53.わたしたちが死んで土と骨になってから,本当に審判されるのでしょうか。』」


54.また言った。「まあ皆さん見下ろして・なさい。」


55.そこでかれが見下ろすと,火獄の只中にかれの姿が見えた。


56.かれは言った。「アッラーにかけて,あなたはもう少しでわたしを破滅させるところでした





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57.もし主の御恵・がなかったならば,わたしは必ず引き立てられる者の中にいたでしょう。」


58.「わたしたち(楽園の仲間)は,最初の死だけでまた,


59.死ぬことはないのですか。また,わたしたちが,懲罰を受けることはないのでしょうか。」


60.「そうであるならこれは,至上の幸福の成就です。


61.このようなことのために,行動し努力すべきです。」


62.それは結構な歓待ではないか。それともザックームの木(をとるの)か。


63.われはこの木を不義を行う者への試・として,用意したのである。


64.それは地獄の底に生える木で,


65.その実は,悪魔の頭のようである。


66.かれらはこれを食べて,腹はそれでいっばい。


67.それから上に沸騰する湯を注ぎ足され,


68.それから火獄に帰り着くのである。


69.かれらは祖先の迷っていたのを認めながらも,


70.その足跡を急いで(歩いて)いたのである。


71.昔の多くの祖先たちも,確かに迷っていた。


72.だがわれはかれらに,必ず警告者を遺わした。


73.見るがいい。警告されても無視した者の最後が,どうであったかを。


74.(だが)アッラーの忠誠なしもべたちは,別である。


75.且つてヌーフはわれに哀願した。われは最も優れた応答者である。


76.われは,かれとその家族を大難から救った。


77.そしてかれの子孫を生き残らせた。


78.また後の幾世代に渡り,かれのために(祝福の言葉を)留めた。


79.「万物(人間,天使,ジン)の中で特にヌーフの上に平安あれ。」と(われからの有難い御


言葉を)。


80.われはこのように,正しい行いの者に報いる。


81.本当にかれは,信心深いわがしもべであった。


82.それからわれはその外の者を,溺れさせた。


83.またかれの後継者の中にはイブラーヒームがいた。


284


84.かれが純正な心をもってかれの主の許にやって来た折に,


85.自分の父やその一族に向かって言った。「あなたがたの崇拝するものは何ですか。


86.アッラーを差し置いて瞞しの神々を御望・なのですか。


87.いったい,万有の主に就いて,あなたがたはどのように考えておいでなのですか。」


88.その時かれは諸星を一目見て,


89.言った。「わたしは,本当に(心が)痛む。」


90.人々はかれに背を向けて去った。


91.その時かれ(イブラーヒーム)は,かれらの神々に向かって言った。「あなたがたは食べな


いのですか。


92.あなたがたは,どうしてものを言わないのですか。」


93.そこでかれは,かれら(偶像)を右手で打った。


94.その時人びとは,慌ててかれの処へやって来た。


95.するとかれは言った。「あなたがたは,(自分で)刻んだものを崇拝するのですか。


96.本当にアッラーは,あなたがたを創り,またあなたがたが,造るものをも(創られる)。」


97.人びとは言った。「かれ(イブラーヒーム)のために炉を築き,燃え盛る火の中に投げ込・


なさい。」


98.このようにかれに策謀を巡らせようとしたが,われはかれらを散々な目に会わせた。


99.かれは言った。「わたしは主の御許に行こう。必ずわたしを導かれるであろう。


100.主よ,正しい人物になるような(息子)を,わたしに御授け下さい。」


101.それでわれは,優しい思いやりのある男児を(授けるという)昔報を伝えた。


102.(この子が)かれと共に働く年頃になった時,かれは言った。「息子よ,わたしはあなたを


犠牲に捧げる夢を見ました。さあ,あなたはどう考えるのですか。」かれは(答えて)言った。


「父よ,あなたが命じられたようにして下さい。もしアッラーが御望・ならば,わたしが耐え忍


ぶことが御分りでしょう。」


103.そこでかれら両人は(命令に)服して,かれ(子供)が額を(地に付け)うつ伏せになった


時,


104.われは告げた。「イブラーヒームよ。


105.あなたは確かにあの夢を実践した。本当にわれは,このように正しい行いをする者に報いる





106.これは明らかに試・であった。」


285


107.われは大きな犠牲でかれを贖い,


108.末永くかれのために(この祝福を)留めた。


109.「イブラーヒームに平安あれ。」(と言って)。


110.このようにわれは,正しい行いをする者に報いる。


111.本当にかれは,わが信心深いしもべであった。


112.またわれは正しい人物,預言者イスハークの(誕生の)吉報をかれに伝えた。


113.そしてわれは,かれとイスハークを祝福した。だがかれらの子孫の中には正しい行いをする


者もあり,また明らかに自らを損なう者もあった。


114.われは,ムーサーとハールーンに恩恵を施した。


115.またかれら両人,そしてその民を大きな災難から救い出し,


116.われが助けたためにかれらは(その困難を)克服することが出来た。


117.なおわれは,両人に(事理を)明瞭にさせる啓典を授け,


118.かれらを正しい道に導いた。


119.われは後の幾世代に渡り,かれらのために(この祝福を)留めた。


120.「ムーサーとハールーンに平安あれ。」(と言って)。


121.このようにわれは,正しい行いをする者に報いる。


122.本当にかれら両人は信心深いわがしもべであった。


123.本当にイルヤースも,使徒であった。


124.かれがその民にこう言った時を思え。「あなたがたは主を畏れないのですか。


125.あなたがたはバアルに祈って,最高の創造主(アッラー)を見捨てるのですか。


126.アッラーこそあなたがたの主,昔の父祖たちの主ではないのですか。」


127.だがかれらはかれ(イルヤース)を嘘付きであるとした。だから必ず(処罰に)臨むであろ


う。


128.(かれらの中)敬虔な,アッラーのしもべは別である。


129.われは後の幾世代に渡り,かれのために(この祝福を)留めた。


130.「イルヤースに平安あれ。」(と言って)。


131.このようにわれは,正しい行いをする者に報いる。


132.本当にかれは信心深いわがしもべであった。


133.ルートも(われが)遣わした者であった。


286


134.見よ,われはかれとその家族の凡てを救った。


135.後に残る者の中にいた,老婆の外は。


136.そうしてわれは,外の者を滅ぼしてしまった。


137.あなたがたはかれらの(遺跡の)傍らを,昼


138.夜通っている。あなたがたはそれでも悟らないのか。


139.本当にユーヌスも,使徒であった。


140.かれが(荷を)満載した舟に(乗って)逃れた時,


141.かれは籤を引いて,負けてしまった。


142.(そして海に投げ込まれると)大魚に丸呑・にされ,かれは自責の念にかられた。


143.かれが(梅悟して主を)讃えなかったならば,


144.かれら(人びと)が(復活して)起こされる日まで,必ずかれは魚の腹の中に留まったであ


ろう


145.だがわれは,荒れ果てた(蟹辺)にかれを打ち上げた。かれは病んでいた。


146.われはかれの上に,1本のヒサゴ木を繁らせ(影を作った)。


147.そして10万人,またはそれ以上(の民)にかれを遣わした。


148.かれらが信仰に入ったので,われはしばし現世の享楽を許した。


149.さてかれらに問え。「あなたがたの主は娘を持ち,かれら(マッカの多神教徒)は息子を持


つというのか。


150.それともかれらは,われが天使たちを女に創ったと証言するのか。」


151.見よ,かれらの言うことは作りごとである。


152.アッラーが子を生まれるとは,かれらも嘘付きの徒である。


153.かれは息子よりも,娘を選ばれるとするのか。


154.どうしたのか。あなたがたはどう判断するのか。


155.あなたがたはなお訓戒を受け入れないのか。


156.それともあなたがたに明瞭な権能があるのか。


157.あなたがたのいうことが真実ならば,あなたがたの啓典を出して・なさい。


158.かれらは,かれとジンは親類であるといっている。だがジンは自分たちが(懲罰に)臨むこ


とをよく知っている。


159.アッラーに讃えあれ。(かれは)かれらが配するものから(超絶なされる)。


287


160.だが謙虚に奉仕するアッラーのしもべたちは,別である。


161.だがあなたがたにしても,あなたがたが崇拝するものでも,


162.かれに反抗して(信者たちを)誘惑することが出来ようか。


163.燃え盛る火で,焼かれる者は別にして。


164.(整列している者たちが言う。)「わたしたちは各々定めの部署を持っています。


165.わたしたちは(奉仕のため)整列して,


166.慎んで(アッラーを)讃え唱念します。」


167.また,かれらはいつも言っていた。


168.「もしわたしたちが,昔から訓戒を持っていたなら,


169.わたしたちも,確かにアッラーの謙虚なしもべであったでしょう。」


170.ところが(実際にクルアーンが与えられれば)それを拒否する。だが間もなくかれらは知る


であろう。


171.確かにわれの言葉は,わが遣わしたしもべたちに既に下されている。


172.かれらは,必ず助けられよう。


173.本当にわれの軍勢は,必ず勝利を得るのである。


174.あなた(ムハンマド)はかれらから暫くの間遠ざかって,


175.かれらを監視しなさい。やがて,かれらは目覚めるであろう。


176.だがかれらは,わが懲罰を急ぎ求めている。


177.だがそれが実際にかれらに下ると,それまで警告を受けているだけに寝覚めの悪い朝となろ


う。


178.それであなたはかれらから暫くの間遠ざかって,


179.かれらを監視しなさい。やがて,かれらも目覚めるであろう。


180.あなたの主,威徳の主,かれらが配するものから(超絶なされる)主に讃えあれ。


181.使徒たちに平安あれ。


182.万有の主,アッラーに讃えあれ。



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