SURA 21.預言者章 〔アル・アンビヤーゥ〕
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1.清算(の日)は人間に近付いているが,かれら(不信者)は無関心に背き去る。
2.かれらの主から新しい訓戒が来る度に,かれらはそれを笑い草として聞くに過ぎない。
3.かれらは心の中でふざけている。そして悪事を行う者たちは,密談して(言う)。「これは,
あなたがたと同様只の人間ではないですか。あなたがたは目で見ていながら,魔術にでもかかっ
たのですか。」
4.言ってやるがいい。「わたしの主は,天と地の間で(語られる)言葉(の凡て)を知っておら
れる。かれは全聴にして全知であられる。」
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5.かれらは,「いや,(それは)夢の寄せ集め。いや,かれの偽作です。いや,かれは詩人です
。昔(の使徒に)下されたような印を,わたしたちに(有?)して下さい。」と言った。
6.かれら以前にわれが滅ぼした都市でも,信仰する者は1人もいなかった。それでもかれらは信
仰しないつもりなのか。
7.あなた以前に,われが啓示を授けて遣わした使徒たちも,人間に過ぎなかった。もしあなたが
た,これが分らないなら訓戒を受けた民に聞け。
8.われはかれら(使徒たち)に,食物をとらないような体は授けなかった。またかれらは永久に
生きる訳でもなかった。
9.結局,わが約束をかれらに果し,かれらとわれの欲するものを救い,違犯した法外の者たちを
滅ぼした。
10.われは,あなたがたへの訓戒として啓典を啓示したのである。それでもあなたがたは悟らな
いのか。
11.如何にわれは,多くの悪を行っていた都市を滅ぼして,その後に別の民を立てたか。
12.それでわれの懲罰(が下るの)を感じると,見なさい。かれらはそこから逃げ(ようとす)
る。
13.逃げてはならない。楽しんだ所,あなたがたの住まいに返れ。あなたがたは尋問されるであ
ろう。
14.かれらは言った。「ああ,情けない,わたしたちは本当に不義の徒でした。」
15.そしてかれらのこの叫び声は,われがかれらを根こそぎ滅ぽし火の消えたように沈黙させる
まで止まなかった。
16.われは天と地,またその間にあるものを,戯れに創ったのではない。
17.もしわれが戯れを望・,仮りにそうするならば,わが手近なもの(非物質的な霊的なもの)
から選んだであろう。
18.いや,われは真理を虚偽に投げつけると,その頭を砕く。見なさい。虚偽は消滅する。あな
たがたが(われに就いて)言うことこそ,あなたがたにとり災いである。
19.天と地の凡てのものは,かれの有である。またその側近にいる者(天使)は,かれに仕えて
高慢でもなく,疲れも知らない。
20.かれらは毎日毎晩にかれを讃え,休むことを知らない。
21.それともかれらは,(死者を)甦らすことの出来る神々を地上からえたのか。
22.もし,その(天地の)間にアッラー以外の神々があったならば,それらはきっと混乱したで
あろう。それで玉座の主,かれらが えるものの上に(高くいます)アッラーを讃えなさい。
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23.かれは,その行われたことに就いて,尋問を受けることはない。だがかれらこそ尋問される
のである。
24.それともかれらは,かれを差し置いて外の神々を崇めたのか。言ってやるがいい。「あなた
がたの証拠を出して・なさい。これはわたしと共にいる者への訓戒であり,また以前の世代の者
への訓戒である。」だがかれらの多くはこの真理を理解出米ずに背き去る。
25.あなた以前にも,われが遺わした使徒には,等しく,「われの外に神はない,だからわれに
仕えよ。」と啓示した。
26.かれらは,「慈悲深き御方は子をもうけられます。」と言った。ああもったいない。いや,
(かれら天使は)栄誉あるしもべである。
27.かれら(天使たち)は,かれより先に告げることもなく,またかれの命令に基いて行動する
だけである。
28.かれは,かれら(天使)以前にあるものも,以後にあるものをも知っておられ,かれが受け
入れる者の外は,執り成しをしない。かれら(天使)はかれに畏れ仕える。
29.もしかれらの中に,「本当にわたしは,かれとは別の神である。」と言う者があれば,われ
はこのような者を,地獄で報いる。不義を行う者にこのように報いる。
30.信仰しない者たちは分らないのか。天と地は,一緒に合わさっていたが,われはそれを分け
た。そして水から一切の生きものを創ったのである。かれらはそれでも信仰しないのか。
31.われはまた,大地に山々を据えてかれら不信心者にとっても大地を揺るぎないものとした。
またそこに,往来のための広い道を創った。それでかれらは必ず利するところがあろう。
32.更にわれは,天を屋根とし守護した。それでもかれらは,これらの印から背き去る。
33.かれこそは昼と夜,また太陽と月を創造された方である。それらは,軌道に浮んでいる。
34.われはあなた以前の誰に対しても,永久に生きる者としたことはない。あなたは死ぬのに,
かれらは永久に生きるというのか。
35.人はすべて死を味わう。われは試練のために,凶事と吉事であなたがたを試・る。そして(
最後は)われに帰されるのである。
36.信仰しない者はあなたを見る時,只嘲笑の的にする。(かれらは言う。)「この者ですか,
あなたがたの神々を批判する者は。」かれらは慈悲深き御方の訓戒を,冒(演?)する者である。
37.人間は気短かに創られている。われは直ぐに印を示すであろう。だから急いであれに催促し
てはならない。
38.またかれらは,「あなたがたの言葉が真実なら,その約束は何時(来るの)か。」と言う。
39.もし不信者が(その日)その時,顔からも,また背からも業火を防ぐことが出来ず,また助
ける者もない日のことを知っていたならば。
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40.いや,それは突然かれらを襲って,驚き慌てさせよう。かれらはそれを避ける力もなく,猶
予されないであろう。
41.あなた以前の使徒たちも,確かに嘲笑された。だが嘲笑した者は,嘲笑していたことに取り
囲まれるのである。
42.言ってやろがいい。「慈悲深き御方(の怒り)から,昼夜誰が,あなたがたを守れようか。
」それでもかれらは,主を念じることから背き去る。
43.それともかれらには,われ以外にかれらを守護出来る神々があるのか。かれら(神々)は,
自分自身も助けられず,またわれから防ぎおおせない。
44.それなのに,われはこれらの者やその祖先たちを享楽させ,その期限まで永らえさせた。わ
れがこの(不信心者の)地に来て,その隅々から征服しているのを見ないのか。それでもかれら
は勝利者なのか。
45.言ってやるがいい。「わたしは只啓示によって,あなたがたに警告するだけである。」だが
聞かない者は,警告されてもその呼びかけが聞こえない。
46.そしてあなたの主の懲罰の息吹が,もしかれらに(少しでも)触れれば,「ああ,情けない
。わたしたちは本当に不義を行いました。」と言う。
47.われは審判の日のために,公正な汗を蝕ける。1人として仮令芥子一粒の重さであっても不当
に扱われることはない。われはそれを(計算に)持ち出す。われは清算者として万全である。
48.且つてわ黷ヘ,ムーサーとハールーンに,識別と光明と,畏れる者への訓戒を授けた。
49.目に見えなくても主を畏れる者と,審判の時を畏れる者への訓戒を授けた。
50.この(クルアーン)こそは,われが下した祝福豊かな訓戒である。あなたがたは,それでも
なお拒否するのか。
51.われは以前イブラーヒームに,方正な行いを授けた。われはかれをよく知っている。
52.かれが父とかれの人びとに,こう言った時を思いなさい。「あなたがたが崇拝するこれらの
偶像は,何ものであるのか。」
53.かれらは言った。「わたしたちは,祖先がそれらを崇拝するのを見ました。」
54.かれは言った。「あなたがたとあなたがたの祖先は,明らかに誤っていたのである。」
55.かれらは言った。「あなたは真理を(西?)したのですか。それとも戯れる者なのですか。
」
56.かれは言った。「そうではない。あなたがたの主は,天と地の主。(無から)それら(天地
)を創造された方である。そしてわたしはそれに対する証人の一人である。
57.アッラーに誓って,わたしはあなたがたが背を向けて去った後に,あなたがたの偶像に一つ
の策をめぐらそう。」
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58.こうしてかれは,必ずかれらがそこに返って来るであろうと(思って),唯一体の巨像を除
きそれらを叩き壊した。
59.かれらは言った。「誰がわたしたちの神々をこうしたのでしょうか。本当にかれは不義な者
です。」
60.(或る者が)言った。「わたしたちは,イブラーヒームという若者が,その方々を批判する
のを聞いた。」
61.かれらは言った。「それなら,その者を入びとの目の前に引き出せ。必ず皆が証言するでし
ょう。」
62.「イブラーヒームよ,あなたなのですか。わたしたちの神々に対しこのようなことをしたの
は。」と一同は言った。
63.かれは(答えて),「いや,いや,それらの中のこの大きい(偶像)がそれをしたのです。
かれらが口が利けるものなら聞いて・なさい。」と言った。
64.そこでかれらは,自ら(良心に)顧・て(心に)言った。「確かにあなたがた(自身)が悪
いのです。」
65.間をおいて,かれらはまた翻意し(て言っ)た。「あなたはこれら(神々)の,口が利けな
いのをよく知っていました。」
66.イブラーヒームは言った。「それならあなたがたは,アッラー以外のものを崇拝するのです
か。あなたがたを,少しも益せずまた損わないものを。
67.ああ,情けないことです。あなたがたも,あなたがたがアッラーを差し置いて崇拝するもの
たちも。あなたがたは,なお悟らないのですか。」
68.かれらは言った。「どうせやるなら,かれを焼きなさい。そしてあなたがたの神々を救いな
さい。」
69.(その時)われは命令した。「火よ,冷たくなれ。イブラーヒームの上に平安あれ。」
70.かれらはかれに対し策動しようとしたが,われはかれらを酷い失敗者にした。
71.われはかれと(その甥の)ルートを,万有のためにわれが祝福した地に救い出した。
72.そしてかれに(子の)イスハークを授け,またその上の賜物として(孫の)ヤアコーブを授
けた。われはそれぞれを,正しい者にした。
73.われはかれらを,わが命令を奉じて(人びとを)導く導師とし,かれらに善行に励・,礼拝
の務めを守り,定めの喜捨をするよう啓示した。そしてかれらは一生懸命にわれに仕えた。
74.またわれはルートに判断力と英知とを授け,且つ破廉恥な行いに耽る町から,かれを救い出
した。かれらは,主の掟に背く邪悪な民であった。
75.かれ(ルート)をわれの慈悲に浸らせた。本当にかれは正しい者であった。
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76.またヌーフだが,以前かれが祈った時を思いなさい。われはそれに答えて,かれとかれの家
族を,大きい災難から救った。
77.われは,わが印を拒否する民に対し,かれを助けた。本当にかれらは邪悪な民であった。そ
れでわれは,凡てかれらを溺れさせた。
78.またダーウードとスライマーンだが,ある者の羊が夜間耕地に迷い込・,作物を荒したが,
それに就いて裁判した時のことを思いなさい。われはかれらの裁判の立証者であった。
79.われはそれをスライマーンに理解させた。そしてそれぞれに判断力と英知を授け,またわれ
はダーウードに山々や鳥たちを従わせて(主を)共に讃えさせた。それは(皆)われの仕業であ
った。
80.またわれは,かれに(鎖)帷子を作る術を教え,暴力からあなたがたの身を守らせた。それ
でもあなたがたは感謝しないのか。
81.またわれは,猛威を奮う風(を起す術)をスライマーンに(授け),かれ(スライマーン)
の命令の下に,われが祝福する地に吹かせた。われは凡てのことを知るものである。
82.また悪魔たちの中にも,かれのために潜水する者あり,またその外の仕事をしている者もあ
った。われはいつもかれらを見張っていた。
83.またアイユーブ(に英知と判断力を授けた)。かれは主に呼びかけた。「本当に災厄がわた
しに降りかかりました。だがあなたは,慈悲深いうえにも慈悲深い方であられます。」
84.それでわれはこれに応えて,かれに取り付いた災厄を除き,かれに家族を授け,その人々を
倍加した。(これは)われからの慈悲であり,またわれに仕える者に対する訓戒である。
85.またイスマーイール,イドリースとズ・ル・キフルである。全員がよく耐え忍ぶ者であった
。
86.われはかれらをわが慈悲に浴させた。本当にかれらは,正しい者であった。
87.またズン・ヌーンである。かれが激怒して出かけた時を思いなさい。かれは,われが自分を
難儀させるようなことはないと思いながらも,暗闇の中で,「あなたの外に神はありません。あ
なたの栄光を讃えます。本当にわたしは不義な者でした。」と叫んだ。
88.それでわれはかれに応え,かれをその苦難から数った。われはこのように,信仰する者を救
助するのである。
89.またザカリーヤーである。かれが主に(祈って),「主よ,最も優れた相続者であられる御
方よ。わたしを孤独のまま放って置かないで下さい。」と叫んだ時のことを思いなさい。
90.それでわれはこれに応え,かれにヤヒヤーを授け,また妻をかれに相応しくした。かれらは
栗いに競って善行に動し・,また希望と畏れをもって,われに祈っていた。われに対し(常に)
謙虚であった。
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91.また自分の貞節を守った女(マルヤム)である。われはかの女にわが霊を吹き込・,かの女
とその子を万有のための印とした。
92.本当に,あなたがたのこのウンマこそは,唯一の共同体である。そしてわれはあなたがたの
主である。だからわれに仕えなさい。
93.それなのにかれらは,その(宗教上の)事柄を,かれらの間で切り放し(宗派を作っ)た。
(間もなく)かれらは皆われに帰るのである。
94.誰でも善行に励・,信仰している者は,決してその努力を虚しくされることはない。われは
かれらのために,必ず(それを)記録している。
95.われが滅ぼした都市には禁令が(強制的に)あって,かれらは帰って来られないであろう。
96.ヤァジュージュとマァジュージュが解放されて,どの丘からも勢いよく下って来る時までは
。
97.其実の約束は近付いているのである。見なさい。信仰しない者の目は坐ってきて(言うであ
ろう)。「ああ,情けない。わたしたちはこのことを疎かにしていました。いや,わたしたちは
不義な者でした。」
98.本当にあなたがた(不信者)も,アッラーの外にあなたがたの崇拝するものも,地獄の燃料
である。あなたがたはそこに(必ず)落ちて行くのである。
99.これらがもし神であったならば,そこに落ちるようなことはなかったであろう。だが(かれ
らは)それぞれ,その中に永遠に住むのである。
100.かれらはその中で呻く,そこでは(外に何も)聞こえないであろう。
101.われから善行(の記録)を以前に与えられている者は,地獄から遠く離され,
102.そこの微な音も聞こえないであろう。そしてかれらの魂が念願していた所に永遠に住む。
103.大きな恐れがかれらを悩ますことはなく,天使たちは出迎えて(言うであろう)。「これが
約束された,あなたがたの日です。」
104.その日われは,書き物を巻くように諸天を巻き上げる。われが最初創造したように,再び繰
り返す。これはわれの定めた約束である。われは必ずそれを完遂する。
105.われは(ムーサー)に訓戒を授けた後,詩篤の中に,「本当にこの大地は,われの正しいし
もベがこれを継ぐ。」と記した。
106.本当にこの(クルアーン)の中には,(アッラーを)崇拝する者への消息がある。
107.われは只万有への慈悲として,あなたを遣わしただけである。
108.言ってやるがいい。「わたしに啓示されたのは,あなたがたの神は唯一の神であると言うこ
とである。ところであなたがたは,帰依しているのか。」
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109.もしかれらが,背き去れば言ってやるがいい。「わたしは(あなたがたに)同じように宣教
した。だがあなたがたに約束されたことが,近いか遠いかわたしは知らない。
110.本当にかれは,露な言葉を聞き知っておられる。またあなたがたの(心に)隠すことも知っ
ておられる。
111.だがわたしは,その(猶予)があなたがたへの試・であるのか,または一時期のための享楽
であるのかを知らない。」
112.かれは言った。「主よ,真理によって御裁き下さい。わたしたちの主は,あなたがたが口に
出す(冒(演?))に対する御助けを御願い出来る慈悲深い方であられる。」
SURA 22.巡礼章 〔アル・ハッジ〕
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1.人びとよ,あなたがたの主を畏れなさい。(審判の)時の震動は,全く一重大事である。
2.その日あなたがたは見るだろう。凡ての哺乳する者は,哺乳することを忘れ,凡ての妊婦はそ
の胎児を流し,また人びとは酔わないのに,酔いしれたように見えよう。思うに,アッラーの懲
罰が厳しいからである。
3.だが人びとの中には,知識もなくアッラーに就いて批判する,反抗的な悪魔などに従う者もい
る。
4.かれ(悪魔)に就いては,こう定められる。「誰でもかれを友とする者があれば,かれはその
者を迷わせて,炎の懲罰に導くのである。」
5.人びとよ,あなたがたは復活に就いて疑うのか。われがあなたがたを創るさいには先ず土から
始め,次いで精液の一滴,次いで血の固まりとし,更に形をなした。また形をなさない肉魂から
(あなたがたを創った)。あなたがたに(わが偉力を)明示するためである。われは欲する者を
,定めた時期まで胎内に置き,それから赤ん坊としてあなたがたを出生させ,それから成年に到
達させる。あなたがたの中或る者は(若くして)死なせる者もあり,また或る者は何がしかを知
った後,凡て忘れ去る程に弱まる老齢に返される者もある。またあなたは大地が枯れて荒れ果て
るのを見よう。だがわれが一度それに雨を降らせると,(生気が)躍動し膨らんで,凡ての植物
が雌雄で美しく萌え出る。
6.これはアッラーこそ真理であり,死者に生を与え,凡てのものの上に全能であられるからであ
る。
7.本当に,(審判の)時はやって来る。それに就いて疑いの余地はない。本当にアッラーは,墓
の中の者を甦らされるのである。
8.だが人びとの中には,アッラーに就いて知識もなく,導きもなく,また光明の啓典もなく,戯
に批判し,
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9.倣限な態度をとって,人びとをアッラーの道から迷わせようとする者がある。かれらは現世に
おいて,屈辱をなめ,またわれは審判の日に炎の懲罰を味わせる。
10.(その時言われよう)。「これは,あなたの手がやったことの報いである。アッラーはその
しもべたちに対し,決して不正をなされない。」
11.また人びとの中に偏見をもって,アッラーに仕える者がある。かれらは幸運がくれば,それ
に満足している。だが試練がかれらに降りかかると,顔を背ける。かれらは現世と来世とを失う
ものである。これは明白な損失である。
12.かれらはアッラーを外にして,自分に害もなくまた益もないものに祈る。これは遠く迷う者
である。
13.かれらは自分を益するものよりも,害の方に近いものに向かって祈る。何と悪い保護者であ
り,悪い仲間であることよ。
14.アッラーは,信仰して善い行いに動しむ者を,川が下を流れる楽園に入らせられる。本当に
アッラーは御望・のことを行われる。
15.アッラーは現世でも来世でも,かれ(使徒)を助けられないと考える者があれば,かれに天
井に縄を張らせて・るがいい。それから(自らを地面から)切り離して・るがいい。(首を棚る
こと。)それでかれのその行為が,かれの怒りを取り除くことが出来るものか,よく眺めさせて
・るがいい。
16.このように,われは明白な印(クルアーン)を下した。本当にアッラーは御望・の者を導か
れる。
17.本当に(クルアーンを)信じる者,ユダヤ教を奉じる者またサービア教徒,キリスト教徒,
拝火教徒そして偶像信者たち,アッラーは審判の日に,かれらを裁決なされる。本当にアッラー
は凡てのことの立証者であられる。
18.あなたは見ないのか,天にある凡てのものが,アッラーに,サジダするのを。また地にある
凡てのものも,太陽も月も,群星も山々も,木々も獣類も,また人間の多くの者がサジダするの
を見ないのか。だが多くは懲罰を受けるのが当然な者たちである。またアッラーが見下げられた
者を,誰も尊敬することは出来ない。本当にアッラーは御望・のことを行われる。〔サジダ〕
19.これら両者は,かれらの主に就いて論争する敵手である。それで(主を)拒否する者のため
に仕立てられるのは,炎の衣装であろう。かれらに頭上から熱湯が注がれて,
20.腹の中の物も皮膚も,それで溶かされるであろう。
21.その上,かれらには鉄の鞭が加えられる。
22.苦しさのため,そこから出ようとする度に,その中に押し戻され,「火炙りの刑を味わえ。
」(と言われよう)。
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23.本当にアッラーは,信仰して善行に励む(外の一団の)者を,川が下を流れる楽園に入らせ
られる。かれらはそこで,黄金の腕輪と真珠に飾られ,衣装はそこでは絹(ずくめ)であろう。
24.かれらは純正な言葉に導かれ,讃美すべき方の道に導かれる。
25.本当に信仰を拒否した者,(人びとを)アッラーの道から妨げる者,そこ(マッカ)の居住
者であろうと,外来者であろうと凡て,われが人びとのために建立した聖なるマスジド(に入る
こと)を拒否する者,そしてその中で神聖を汚し不義を企む者には,われは痛ましい懲罰を味わ
せるであろう。
26.われがイブラーヒームのために,(聖なる)家の位置を定め(こう言った)時のことを思い
なさい。「誰も,われと一緒に配してはならない。そしてタフーフ(回巡)する者のため,また
(礼拝に)立ち〔キヤーム〕,立礼〔ルクーウ〕しサジダする者のために,われの家を清めよ。
27.人びとに,巡礼〔ハッジ〕するよう呼びかけよ。かれらは歩いてあなたの許に来る。あるい
は,どれも痩せこけているラクダに乗って,遠い谷間の道をはるばる来る。
28.それは自らの(現世と来世の)御利益に参加し,また定められた日の間,かれがかれらに与
えられた(犠牲の)家畜の上にアッラーの御名を唱え,それから『あなたがたはそれを食べ,ま
た困窮している者にも食べさせなさい。』
29.それからかれらの必要な儀式を終え,誓いを果し,そして古来の家(カアバ)を,タワーフ
しなさい。」
30.以上(が巡礼の定め)である。アッラーの神聖(な儀式)を順守する者は,主の御許では最
も善い者である。それから家畜は,あなたがたに読・聞かされたものを除き,(巡礼中の食料と
して)合法である。それで偶像の汚れから離れ,虚偽の言葉を避けなさい。
31.アッラーに純正に服従,帰依し,神々をかれに配してはならない。アッラーに神々を配する
者は,丁度天から落ちて鳥に攫われた者のようである。または風が,かれを遠い所に吹き攫った
者のようである。
32.以上(が定め)である。アッラーの儀式を尊重する態度は,本当に心の敬虔さから出てくる
もの。
33.それら(の家畜)は,定めの期限まで,あなたがたに役立てたうえ古来の家(カアバ)の近
くで犠牲として捧げられるのだから。
34.われは凡てウンマの(供儀の)儀式を定めた。かれが授けられる4つ足の家畜の上に,アッラ
ーの御名を唱えなさい。本当にあなたがたの神は,唯一の神であられる。だからかれに服従,帰
依しなさい。あなたは,謙虚な者たちに吉報を伝えなさい。
35.これらの者は,アッラーの御名が唱えられる時,心は畏怖に満ち,遭遇することによく耐え
忍び,礼拝の務めを守り,またわれが授けたものを施す者たちである。
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36.また(犠牲の)ラクダ(や牛)を,われはあなたがたのためアッラーの儀式用とした。それ
らにはあなたがたへの(多くの)利益がある。(犠牲に供えるに当り)並べて,それらの上にア
ッラーの御名を唱えなさい。そしてそれらが横ざまに倒れ(動かなくなっ)たならば,あなたが
たはそれを食べ,また口に出して請わない者,物請いする者たちに食べさせなさい。このように
それらをあなたがた(の用)に供させるのもあなたがたに感謝の念を起させるためである。
37.それらの肉も血も,決してアッラーに達する訳ではない。かれに届くのはあなたがたの篤信
〔タクフー〕である。このようにかれは,それらをあなたがた(の用)に供させるが,これはあ
なたがたへのかれの導きに対し,アッラーを讃えさせるためである。善い行いの者たちに吉報を
伝えなさい。
38.本当にアッラーは,信仰する者を守護なされる。アッラーは,裏切り者,恩を忘れる者を御
好・になられない。
39.戦いをし向ける者に対し(戦闘を)許される。それはかれらが悪を行うためである。アッラ
ーは,かれら(信者)を力強く援助なされる。
40.(かれらは)只「わたしたちの主はアッラーです。」と言っただけで正当な理由もなく,そ
の家から追われた者たちである。アッラーがもし,或る人びとを外の者により抑制されることが
なかったならば,修道院も,キリスト教会も,ユダヤ教堂も,またアッラーの御名が常に唱念さ
れているマスジド(イスラームの礼拝堂)も,きっと打ち壊されたであろう。アッラーは,かれ
に協力する者を助けられる。本当にアッラーは,強大で偉力ならびなき方であられる。
41.(かれに協力する者とは)もしわれの取り計いで地上に(支配権を)確立すると礼拝の務め
を守り,定めの喜捨をなし,(人びとに)正義を命じ,邪悪を禁ずる者である。本当に凡ての事
の結末は,アッラーに属する。
42.仮令かれらが,あなたを虚言の徒であるとしても,かれら以前にも,ヌーフの民も,アード
もサムードも(その預言者を)信じなかった。
43.またイブラーヒームの民も,ルートの民も,
44.マドヤンの住民も(信じなかった)。またムーサーも拒否された。それでもわれは不信者に
猶予を与え,結局かれらに懲罰を与えた。われの拒否はどんなものであったのか。
45.われはをかれらが悪を行っている間に,如何に多くの町を滅ぼしたことであろうか。それら
は,屋根を下にして倒れ潰れた。また(如何に多くの)井戸や堅固な城が見捨てられたことであ
ろうか。
46.かれらは心に梧りが開けるよう,またその耳が聞くように,地上を旅しなかった。本当に盲
人となったのは,かれらの視覚ではなく,寧ろ胸の中の心なのである。
47.かれらはあなたに,すばやい懲罰を求める。だがアッラーは約束に背かれない。本当に主の
御許における一日は,あなたがたの計算する千年に当る。
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48.われは,如何に多くの悪を行う都市を猶予し,それからこれらを処罰したことであろうか。
帰り所はわれの許にあるのである。
49.言ってやるがいい。「人びとよわたしは,あなたがたにはっきり警告する(ため遣わされた
)者である。」
50.信仰して善行に勤しむ者は,御赦しと栄誉ある糧を与えられる。
51.だがわが印を虚しくするように努める者は業火の仲間である。
52.あなた以前にわれが遣わした使徒や預言者でも,何か望・をもつと,悪魔がその欲望を唆し
たものであった。だがアッラーは,悪魔の誘惑を無にされ,御自分の印を堅固になされた。本当
にアッラーは全知にして英明であられる。
53.かれは,悪魔の誘惑で,心に病のある者,心の頑固な者を試・なされる。本当に悪を行う者
たちは,(真理から)遠くかけ離れる。
54.また知識を与えられている者たちは,この(クルアーン)があなたの主からの真理であるこ
とを知り,心を謙虚にしてそれを信じる。本当にアッラーは,信仰する者たちを正しい道に導か
れる方である。
55.信仰のない者はそれに就いて疑いを抱き続けよう。(審判の)時が,突然かれらに襲いかか
るか,災厄の日の懲罰が来るまでは。
56.その日,大権はアッラーの有である。かれは,かれらの間を裁かれる。それで,信仰して善
い行いをした者は,歓喜の楽園に入る。
57.背信して,われの印を虚偽であるとした者には恥ずべき懲罰がある。
58.アッラーの道のために移住し,その後(戦いで)殺され,または死んだ者には,アッラーは
必ず善美な糧を与えるであろう。本当にアッラーこそは,最も優れた給養を与える方であられる
。
59.かれは,必ずかれらが喜ぶ所に入らせられる。本当にアッラーは全知にして聡明な御方であ
る。
60.それは(こうである)。誰でも自分が被ったものと同じ報復をしたのに,また不当な仕打ち
をされるならば,アッラーは必ずこの者を助けなされる。本当にアッラーは寛容にしてよく赦さ
れる御方である。
61.それは,アッラーが夜を昼の中に割り込ませ,また昼を夜の中に割り込ませるためである。
本当にアッラーは全聴にして全視であられる。
62.これも,アッラーこそ真実であり,かれらがかれ以外に祈るものが偽りの(神の)ためであ
る。本当にアッラーは至高にして至大であられる。
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63.アッラーが天から水(雨)を降らせられれば,大地が緑になるのをあなたは見ないのか。本
当にアッラーは親切にして知悉される御方である。
64.天にあり地にある凡てのものは,かれの有である。アッラー,本当にかれは,満ち足られる
御方,讃美されなべき御方である。
65.あなたは見ないのか。アッラーは地上の凡てのものをあなたがたに従わせ,かれの命令によ
って,船を海上に走らせられる。また天をかれの御許しなく地上に落ちないよう支えられる。本
当にアッラーは人間に,優しく慈悲を垂れられる御方である。
66.かれこそはあなたがたに生を授け,間もなく死を与え,それからまた甦らせられる方である
。本当に人間は恩を忘れる。
67.われは凡てのウンマに守られるべき儀式を定めた。それでこれに関し,かれらにあなたと論
争させてはならない。あなたの主に(かれらを)招きなさい。本当にあなたは,正しい導きの上
にいる。
68.かれらがもしあなたがたと論争するならば,言ってやるがいい。「アッラーは,あなたがた
の行うことを最もよく知っておられる。
69.アッラーは審判の日に,あなたがたがそれに就いて相違したことに関し,あなたがたを裁か
れる。」
70.あなたはアッラーが,天にあり地にある一切を知っておられることを知らないのか。それは
凡て記録に載せてある。それは,アッラーにおいては容易なことである。
71.かれらはアッラーを外にして,何の権威も授かっていないもの,またそれに就いて何の知識
もないものを崇拝している。悪を行う者には援助者もない。
72.われの明瞭な印が読誦される時,あなたは信仰しない者たちの顔に,拒絶の色が浮かぶのを
認めるであろう。かれらにわが印を読誦する者に向かって,攻撃を加えようとさえする。言って
やるがいい。「わたしはそれよりも更に悪いものを,あなたがたに告げようか。それは火獄であ
る。アッラーは信仰しない者たちに,それを約束なされる。何と悪い住居であることよ。」
73.人びとよ,一つの比(輪?)を説くから,それを謹んで聞きなさい。本当にあなたがたがアッラ
ーの外に祈るものは,仮令かれらが束になっても,一匹の蝿(さえ)も創れない。また蝿がかれ
らから何か奪い去っても,それを取り戻すことも出来ない。祈る者も,祈られる者も,全く力が
ないのである。
74.かれらは,アッラーの真価の程を評価していない。本当にアッラーは強大にして偉力ならび
なき御方である。
75.アッラーは,天使と人間の中から,使徒を選ばれる。本当にアッラーは全聴にして全視であ
られる。
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76.かれは,かれらの前にあるものも,かれらの後ろに有るものをも知っておられる。アッラー
の御許に(凡ての)事物は帰されるのである。
77.あなたがた信仰する者よ。立礼〔ルクーウ〕しサジダして,あなたがたの主に仕えなさい。
そして善行に動しめ。必ずあなたがたは成功するであろう。〔サジダ〕
78.アッラーの(道の)ために,限りを尽くして奮闘努力しなさい。かれは,あなたがたを選ば
れる。この教えは,あなたがたに苦業を押しつけない。これはあなたがたの祖先,イブラーヒー
ムの教義である。かれは以前も,またこの(クルアーン)においても,あなたがたをムスリムと
名付けられた。使徒はあなたがたのための立証者であり,またあなたがたは人びとのための立証
者である。だから礼拝の務めを守り,定めの喜捨を行い,確りとアッラーに縋りなさい。かれは
あなたがたの守護者である。何と優れた守護者,何と優れた援助者であることよ。
SURA 23.信者たち章 〔アル・ムウミヌーン〕
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1.信者たちは,確かに勝利を勝ちとる。
2.かれらは,礼拝に敬虔であり,
3.虚しい(凡ての)ことを避け,
4.施し〔ザカート〕のために励・,
5.自分の陰部を守る者。
6.ただし配偶と,かれらの右手に所有する者(奴隷)は,別である。かれらに関しては,咎めら
れることはない。
7.しかし法を越えて求める者は,アッラーの掟に背く者である。
8.また信託と約束に忠実な者,
9.自分の礼拝を(忠実に)守る者である。
10.これらの者こそ本当の相続者で,
11.フィルダウス(天国)を継ぐ者である。かれらはそこに永遠に住むのである。
12.われは泥の精髄から人間を創った。
13.次に,われはかれを精液の一滴として,堅固な住・かに納めた。
14.それからわれは,その精滴を一つの血の塊に創り,次にその塊から肉塊を創り,次いでその
肉塊から骨を創り,次に肉でその骨を覆い,それからかれを外の生命体に創り上げた。ああ,何
と素晴しいアッラー,最も優れた創造者であられる。
15.それから後,あなたがたは必ず死ぬ。
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16.それから復活の日に,甦らされるのである。
17.われはあなたがたの上に,7つの天を創った。決してわれは創造を等閑にはしない。
18.われは天から適量の雨を降らせ,それを地中に止まらせる。またわれは,それを無くすこと
も出来る。
19.われはそれで,あなたがたのためにナツメヤシとブドウの園を育てた。園の中には多くの果
実があって,あなたがたはそれを食べる。
20.またシナイ山に産する一本の樹があって,油が採れ,食べものに味わいを付ける。
21.それから家畜にも,あなたがたへの教訓がある。われはそれらの腹の中にあるものをあなた
がたに飲ませる。それらには多くの用途があり,またあなたがたはその(肉)を食べる。
22.あなたがたはそれらに乗り,また船によって運ばれる。
23.われはヌーフをその民に遣わした。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えな
さい。かれの外には,あなたがたに神はないのである。あなたがたはかれを畏れないのか。」
24.人びとの中,信仰のない長老たちは言った。「何だこれは,あなたがたと同じ只の人間では
ないですか。かれはあなたがたの上に,高く留りたいのでしょう。もしアッラーが御望・なら,
かれは天使を遣わすべきです。わたしたちは,昔の祖先からも,こんなことは聞きませんでした
。
25.この男は只(ほ?)かれた人間に過ぎません。だから暫く待って様子を・ましょう。」
26.かれは(祈って)言った。「主よ,かれらはわたしを嘘付きであるといいます。どうか御助
け下さい。」
27.それでわれはかれに啓示した。「われの啓示に従って,われの目の前ナ舟を造れ。われの命令
が下って,釜が滾り(温?)れたら,かれらの中で宣言が既に下された者を除き,あなたは凡ての
(生き)もの一番と,あなたの一家を乗り込ませなさい。悪を行った者のために,われに嘆願し
てはならない。かれらは必ず溺れるのである。
28.そして一緒の者と舟の中に落ち着いたら(祈って)言え,「悪を行う人びとから,わたした
ちをお救い下さったアッラーに讃えあれ」
29.言え,「主よ,祝福された上陸地点に,わたしを上陸させて下さい。本当にあなたは最も優
れた上陸を叶えられる方であります」
30.本当にこの中には(理解ある者への)種々の印がある。われは(人びとを)試練するもので
ある。
31.それからかれらの後に,われは外の世代を創りあげた。
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32.われはかれらの間から(選んだ)使徒を,かれらに遺わして,(言わせた。)「アッラーに
仕えなさい。かれの外に,あなたがたに神はないのです。あなたがたは(かれを)畏れないので
すか。」
33.かれの民の中の長老で信仰がなく,来世の(アッラーとの)会見を嘘であるとし,現世で羽
振りのよい者たちは言った。「これはあなたがたと同じ一人の人間に過ぎません。あなたがたの
食べるものを食べ,あなたがたの飲むものを飲んでいます。
34.あなたがたが,自分と同じ人間に従うならば,必ず失敗するでしょう。
35.あなたがたは死んで土と骨になってから(再び)甦らされると,かれは約束したのですか。
36.そんな約束はまったくあり得ません。
37.わたしたちには,現世の生活の外はないのです。わたしたちは死んでまた生きかえるでしょ
うか。わたしたちは,決して甦らされることはないのです。
38.かれはアッラーに就いて,虚言を捏造した只の人間に過ぎません。わたしたちは,かれを信
じません。」
39.かれは(祈って)言った。「主よ,かれらはわたしを嘘付きであるといいます。どうか御助
け下さい。」
40.かれは仰せられた。「暫くしたら,かれらは必ず悔いるであろう。」
41.それで一声(懲罰)が確実にかれらを襲い,われはかれらを(時の流れに浮ぶ)泡屑にした
。だから悪を行う者よ遠ざかれ。
42.それからかれらの後に,われは外の諸世代を創った。
43.誰もその定められた期限に,先にすることも遅れることも出来ない。
44.そこでわれは次々に使徒を遺わした。だが使徒が一つの民に現われる度に,かれらはかれを
嘘つき呼ばわりした。それでわれは(このような不義の徒を)次々にあとを追わせ,(滅ぼし)
,かれらを昔の語り草にした。だから信仰しない者よ遠ざかれ。
45.またわれは,わが種々の印と明瞭な権威とを授けて,ムーサーとその兄弟のハールーンを遺
わした。
46.フィルアウンとその長老たちの許に。だがかれらは横柄で思い上った者たちであった。
47.かれらは言った。「わたしたち同様に人間にすぎない二人を(どうして)信じられましょう
か。しかもかれらの民は,わたしたちの奴隷ではないですか」
48.それでかれらは,両人を嘘つきであるといい,結局滅ぼされた。
49.われは,かれらが正しく導かれるよう,ムーサーにしかと啓典(律法)を授けた。
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50.またわれは,マルヤムの子とその母を印となし,両人を泉の涌き出る安静な丘の上に住まわ
せた。
51.あなたがた使徒たちよ,善い清いものを食べ,善い行いをしなさい。われはあなたがたのす
ることを熟知している。
52.本当にあなたがたのこのウンマは,唯一の共同体である。われはあなたがたの主である。わ
れを畏れよ。
53.それなのにかれらは諸宗派に分裂した。しかも各派は自分たちが素晴らしいと言っている。
54.だから当分の間,迷いのままにかれらを放置しなさい。
55.かれらはわれが,財宝と子女でかれらを力付けると考えるのか。
56.われはかれらのために,良いことを急いでいると思うのか。いや,かれらは(試・に)気付
かない。
57.本当に主を畏れて戦く者,
58.また主の印を信じる者,
59.また主に(何ものをも)配しない者,
60.また主に帰ることを心に畏れ,与えるべきものを与える者,
61.これらの者は凡て善事に急ぎ,その先頭に立つ者である。
62.われは誰にも,その能力以上の重荷を負わせない。われには真実を語る書物があるので,か
れらは決して不当に扱われることはないのである。
63.いや,かれらの心はこれ(クルアーンの教え)を全く理解出来ないでいる。ところでかれら
の行為は,それより酷い行いである。
64.やがてわれが,かれらの中の贅沢な者を懲罰のために捕えると,見るがいい。かれらは泣き
叫ぶ。
65.(その時仰せられよう。)「今更哀願して喚くことはない。あなたがたにはわれからの救助
はないのである。
66.われの印は,あなたがたに読誦されていたが,あなたがたは踵を返して逃げ,
67.高慢であった。これ(クルアーン)に就いて悪口を言って夜話に耽っていた。」
68.かれらは,この御言葉を熟考しないのか。昔の祖先に起らなかったものが,かれらに起ると
考えるのか。
69.それともかれらへの使徒と認めず,かれを拒否するのか。
70.それで,「かれは(愚?)かれた者である。」と言うのか。そうではない。かれは真理を(湾?)し
たが,かれらの多くは真理を嫌う。
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71.もし真理が,かれらの欲張りに相応しいものなら,天地とその間の凡てのものは,(混乱し
)退廃してしまったであろう。そうではない。われはかれらへの訓戒を授けたが,かれらは訓戒
から背き去ったのである。
72.それともあなたは,報酬をかれらに求めるのか。あなたの主の報酬こそは至上である。かれ
は最も優れた給与を与える方であられる。
73.本当にあなたは,正しい道にかれらを招く。
74.だが来世を信じない者たちは,必ずその道から逸れる。
75.われが慈悲を施してかれらを悩ます災厄を除いても,迷路に執着して途方もなくさ迷うであ
ろう。
76.且つて,われはかれらに懲罰を加えたが,かれらはなお,主にへり下ることなく,素直に嘆
願しない。
77.われが厳しい刑罰への門を,かれらに開くまでは。見なさい。かれらはそれで絶望している
。
78.かれこそは,あなたがたのために,聴覚と視覚と心(知覚,理解力)を創られた方である。
だがあなたがたは,感謝しない。
79.あなたがたを地上に,繁殖させられたのはかれである。かれの御許に,あなたがたは集めら
れる。
80.かれこそは,生かしまた死なせられる方であり,昼と夜の交替を規制される。あなたがたは
なお理解しないのか。
81.いや,かれらは,昔の人が言ったのと,同じようなことを言っている。
82.かれらは言う。「わたしたちが死んで土と骨になった時,本当に甦らされるだろうか。
83.本当にわたしたちもわたしたちの祖先も,且つてこのことを約束されていた。これは只昔の
物語に過ぎない。」
84.言ってやるがいい。「大地とそこにある凡てのものは,誰のものであるか。知っているなら
(言って・なさい)。」
85.かれらは必ず,「アッラーの有である。」と言うであろう。言ってやるがいい。「あなたが
たは,まだ気が付かないのか。」
86.言ってやるがいい。「7つの天の主,栄光に満ちた至高の玉座の主は,誰であるのか。」
87.かれらは必ず,「アッラー。」と言うであろう。言ってやるがいい。「あなたがたはなお畏
れないのか。
88.凡ての事物の統御は,誰の手にあるのか。(万有を)守護し,(誰からも)守護されない方
(は誰か),あなたがたが知っているならば,(言って・なさい)。」
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89.かれらは必ず「アッラー。」と言うであろう。言ってやるがいい。「それならあなたがたは
,どうして惑わされたのか。」
90.いや,われは真理を下したのである。かれらは本当に嘘付きである。
91.アッラーは子をもうけられない。またかれと一緒の外の神もない。そうであったら,それぞ
れの神は自分の創ったもので分裂しお栗いに抜き出ようとして競い合う。アッラーに讃えあれ。
(かれは)かれらの配するものを(超越され),
92.幽玄界と現象界を知っておられ,かれらの配するものの上に高くおられる。
93.言え,「主よ,あなたがかれらに約束したこと(懲罰)を,もしわたし(の巧世中)に示さ
れるなら,
94.主よ,わたしを悪を行う民の中に,入れないで下さい。」
95.本当にわれは,かれらに警告したものを,あなたに示すことは確かに出来る。
96.善行によって,悪を撃退せよ。われはかれらの言うことを熟知している。
97.そして(祈って)言いなさい。「主よ,悪魔たちの囁きに対し,あなたの加護を願います。
98.主よ,かれらがわたしに近付かないよう,あなたの加護を願います。」
99.だが死が訪れると,かれらは言う。「主よ,わたしを(生に)送り帰して下さい。
100.わたしが残してきたものに就いて善い行いをします。」決してそうではない。それはかれの
口上に過ぎない。甦りの日まで,かれらの後ろには戻れない障壁がある。
101.ラッバが吹かれる時,その日,かれらの間の諸関係の絆は途絶え,栗いに問わないであろう
。
102.それで秤が(善行のため)重い者たちは,至上の幸福をえる。
103.また秤が軽い者たちは,魂を失い,地獄に永遠に住む。
104.火はかれらの顔を焦がし,その中で歯ぐきをむき出す。
105.(かれらに言われよう。)「われの印があなたがたに読誦されなかったのか,なのにそれを
嘘であるとしたのか。」
106.かれらは言う。「主よ,わたしたちは不運に打ち負け,迷っていました。
107.主よ,わたしたちをここから出して下さい。もしもなおわたしたちが(悪に)返るならば,
本当に不義の徒です。」
108.かれは仰せられよう。「その中に卑しめられて入ってしまえ。われに物を言うな。
109.本当にわれのしもべの中には,こう言っていた一団がある。『主よ,わたしたちを赦し,慈
悲を与えて下さい。あなたは最も優れた慈悲を与える方です。』
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110.だがあなたがたは,かれらを笑い草にした。あなたがたは,かれらを笑っている間に,われ
を念じるのを忘れることになった。
111.本当にかれらが耐え忍んだことにより,今日われは報いた。かれらこそ成功した者である。
」
112.かれは仰せられよう。「あなたがたは,地上に何年滞巧していたのか。」
113.かれらは申し上げよう。「わたしたちは一日か,一日の一部分滞巧していました。勘定役(
天使)に御問い下さい。」
114.かれは仰せられよう。「あなたがたの滞巧は束の間に過ぎない,あなたがたが(このことを
)知っていたならば
115.あなたがたは,われが戯れにあなたがたを創ったとでも考えていたのか。またあなたがたは
,われに帰されないと考えていたのか。」
116.アッラーは,尊くて気高い,真実の王者である。高潔な玉座の主を置いて外には神はない。
117.アッラーと一緒に,何の証拠もない外の神に祈る者の計算は主の御許にあるだけである。本
当に不信者たちは,勝ち抜くことは出来ないであろう。
118.(祈って)言うがいい。「主よ,御赦しを与え,慈悲を与えて下さい。あなたは最も優れた
慈悲を与える方であられます。」