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SURA 10.ユーヌス章


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.アリフ・ラーム・ラー。これらは英知に満ちた,啓典の御印である。


2.われがかれら(マッカ人)の中の1人(預言者ムハンマド)に啓示して,「あなたは人びとに


(不信心の結末を)警告しなさい。また信仰する者には,主の御許で優れた足場を与えられると


の,吉報を伝えなさい。」と命じたことが(マッ力の)人びとに(それ程)驚きであるのか。(


だが)不信心者たちは,「これは明らかに魔術師です。」と言う。


3.本当にあなたがたの主はアッラーである。6日の間に天と地を創造され,それから(大権の)


玉位に鎮座して,凡ての事物を規制統御なされる。かれの許しを得た後でなければ,執り成す者


はない。これがあなたがたの主,アッラーである。かれに仕えなさい。あなたがたは,訓戒を受


け入れないのか。


4.あなたがたは皆一緒にアッラーの御許に帰る。アッラーの約束は真実である。本当にかれは創


造を始め,そしてそれを繰り返される。これは信仰して善行をした者に,公正に報われるためで


ある。だがかれを信仰しない者には,煮えたった飲物と,痛ましい懲罰がある。これはかれらが


不信心であったためである。


5.かれこそは太陽を輝やかせ,月を灯明とされ,その軌道を定め,年数(と時日)の計算をあな


たがたに教えられた方である。アッラーがこれらを創造されたのは,只真理(を現わすため)に


外ならない。かれは知識ある人びとに印を詳しく述べられる。


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6.本当に夜と昼との交替,またアッラーが天と地の間に創られる凡てのものの中には,主を畏れ


る者への印がある。


7.本当にわれとの会見を期待しない者,また現世の生活に満足してこれに安心している者,そし


てわれの印を疎かにする者,


8.これらの者の住まいは,その(悪い)行いのために地獄である。


9.本当に信仰して善行に励む者には,かれらの主は,その信仰によってかれらを導かれる。至福


の楽園の中に,川はかれらの足元を流れるのである。


10.その中でかれらの祈りは,「アッラーよ,あなたの栄光を讃えます。」であり,またそこで


のかれらの挨拶は「平安あれ。」であり,そして祈りの結びは,「万有の主アッラーを讃えます


。」である。


11.かれらが幸福へと急ぐよう,もしアッラーが人びとに対して悪を急がれるならば,(猶予の


)期間はきっと終らされたであろう。われとの会見を望まない者には,法外の混乱の中で当ても


なくさ迷わせることであろう。


12.人びと(不信心者たち)が苦難に会った時は,横たわり,あるいは座り,あるいは立ってい


ても(どんな状態のもとでも)われを呼ぶ。だがわれがかれらから苦難を除くと,(まるで)か


れらを苦しめた(以前の)不幸のためわれを呼ばなかったかのように過ごしてしまう。このよう


に愚かな者は,その行いを(悪魔によって)立派だと思わせられる。


13.本当にわれはあなたがた以前にも,かれらが不義を行ったために,幾多の民族を滅ぼした。


使徒たちが明証をかれらに与えたのだが,かれらは信じようとはしなかった。このようにわれは


,罪を犯した民に報いる。


14.それからわれはかれらの後に,この地をあなたがたに継がせた。これはあなたがたが,如何


に行うかを見るためである。


15.ところがわれの明瞭な印が,かれらに読・聞かされた時,われと会うことを望まない者たち


は言った。「これとは別のクルアーンを持って来なさい。それともこれを改(鼠?)しなさい。


」言ってやるがいい。「わたしは自分の裁量でこれを改(鼠?)することは出来ない。只,わた


しに啓示されたものに従うだけである。わたしがもし主に背いたならば,偉大な日の懲罰を本当


に恐れる。」


16.言ってやるがいい。「アッラーの御心なら,わたしはあなたがたにそれを読誦せず,またか


れは,あなたがたに教えられなかったであろう。その(啓示)前に,わたしは確かにあなたがた


の間で,一生ほどの(40年の)歳月を過ごした。あなたがたは未だ悟らないのか。」


17.アッラーに就いて偽りを捏造し,その啓示を拒否するほど,甚だしい不義の者があろうか。


罪を犯す者は,決して成功しないのである。


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18.かれらはアッラーの外に,かれらを害せず,また益のないものに仕えて,「これら(の神々


)は,アッラーの御前でわたしたちを執り成すものです。」と言う。言ってやるがいい。「あな


たがたは,天地においてアッラーの知らないことを,かれに告げようとするのか。」かれを讃え


なさい。かれはかれらが配するものの上に高くおられる。


19.人間は(元来)唯一族(1つのウンマ)であった。だが(後に)かれらは敵対した。もし以前


にあなたの主から下された御言葉がなかったならば,その相違点に就いては,かれらの間で必ず


解決されていたであろう。


20.かれらは言うであろう。「何故主から一つの印もかれ(ムハンマド)に下されないのだろう


。」言ってやるがいい。「幽玄界のことは,只アッラーが御支配しておられる。だから待て。わ


たしもまた,あなたがたと共に待つ者である。」


21.われが人間に災厄を味わせた後,慈悲を与えると,見よ,かれらはわが印に対して策謀をす


る。言ってやるがいい。「アッラーは,策謀に対して迅速に処置される。」本当にわが使徒たち


(天使)は,あなたがたの策謀することを凡て記録するのである。


22.かれこそはあなたがたを陸に,また海に旅をさせられる御方である。それであなたがたが船


に乗る時,それが順風に乗って航行すれば,かれらはそれで喜ぶ。暴風が襲うと,大波が四方か


ら押し寄せ,かれらはもうこれまでだと観念して,アッラーに向かって,信心を尽くして祈る。


「あなたが,もしわたしたちをこれから救い下されば,必ず感謝を捧げる者になります。」


23.だがかれが救助して・ると,見よ,かれらは地上において正義を侮って不義を行う。人びと


よ,あなたがたの反逆は只自分自身の魂を害し,現世の生活で享楽を得るだけであるが,あなた


がたはすぐにわれに帰るのである。その時われは,あなたがたの行ったことを告げ知らせるであ


ろう。


24.本当に,現世の生活を例えれば,天からわれが降らせる水(雨)のようなものである。それ


で上を潤し,人間や家畜の食べ物を茂らせる。大地が美麗な装いで覆われて飾られると,そこの


(住)民は,その全権を持ったと思い込む。だがわが命令が,夜も昼も一度下れば,昨日は緊茂


していたはずのものが刈き取られた株のように変り果てる。われはこのように,熟慮する人びと


のために(われの)印を解明する。


25.本当にアッラーは,人を平安の家に招き,また御好・になられた者を正しい道に導かれる。


26.善行をした者には(天国へ入るという)素晴しい報奨があり,また追加もある。かれらの顔


には,暗さや屈辱の影もないであろう。これらは楽園の住人である。永遠にその中に住むであろ


う。


27.だが悪を行っていた者には,同様の悪の報いがある。また屈辱に覆われ,アッラー(の怒り


)からかれらを守るものはないであろう。その顔は丁度夜の暗闇に覆われたようである。これら


は火獄の住人である。永遠にその中に住むであろう。


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28.その日,われは一斉にかれらを招集する。その時われは,多神を崇めた者たちに言うであろ


う。「あなたがたそしてあなたがたの仲間は,そこに控えていなさい。」それからわれは一人一


人を引き離す。その際,かれらの立てていた神々は言う。「あなたがたが拝したのは,わたした


ちではなかった。


29.アッラーは,わたしたちとあなたがたとの間の,立証者として万全である。わたしたちは,


あなたがたが拝しているのを実際知らなかった。」


30.そこで各人は先に送った行いを確認して,かれらの真の主,アッラーの許に連れ戻され,か


れらが捏造していたものはかれらから消え去るであろう。


31.(人びとに)言ってやるがいい。「天と地から,あなたがたに用度を供給するのは誰か。聴


覚や視覚を司るのは誰か。また死んだ物から,生命を(お?)し,生から死を(西?)せられる


のは誰か。また凡ての事物を規制統御するのは誰であるのか。」かれらは必ず「アッラー」と言


おう。言ってやるがいい。「何故あなたがたは,主を畏れないのか。


32.これが,あなたがたの真の主,アッラーであられる。真理から離れては,虚偽の外に何があ


ろう。あなたがたは,どうして背き去るのか。」


33.このように主の掟に背く者に対し,あなたの主の御言葉は真実であることが立証された。本


当にかれらは信仰しないであろう。


34.言ってやるがいい。「あなたがたの神々の中,誰が万有の創造をし,それを繰り返すのか。


」言ってやるがいい。「万有を創造され,それからそれを繰り返される御方は,アッラーである


。それなのにあなたがたは,どうして(真理から)迷い去るのか。」


35.言ってやろがいい。「あなたがたの神々の中,誰が真理に導くのか。」言ってやるがいい。


「アッラーは真理に導いて下される。それで真理に導く方と,自分が導かれなければ道を見い出


せない者と,どちらが従うのに値するのか。あなたがたはどうしたのか。あなたがたはどう判断


するのか。」


36.かれらの多くは臆測に従うだけである。本当に臆測は,少しも真理にとって替あることは出


来ない。本当にアッラーは,かれらの行うことを熟知なされる。


37.このクルアーンは,アッラー以外のものによって作られるようなものではない。それどころ


かこれは,それ以前にあったものの確証(の啓示)であり,万有の主からの,疑いの余地を残さ


ない,啓典の解明である。


38.またかれらは言うのである。「かれ(ムハンマド)がそれを作ったのですか。」言ってやる


がいい。「それなら,それに似た1章〔スーラ〕を持ってきなさい。またあなたがたの言葉が真


実ならば,アッラー以外にあなたがたを助けることの出来る援助者に願って・なさい。」


39.いや,かれらはその知識で理解出来ないもの,またその解説がかれらに未だ下されないもの


を,偽りであるとする。このようにかれら以前の者も偽りであるとした。だが見よ,不義の徒の


最後がどんなものであったかを。


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40.かれらの中,ある者はそれ(クルアーン)を信じ,またある者はそれを信じない。あなたの


主は,犯罪者を最もよく知っておられる。


41.かれらがもしあなたを虚偽の徒とするならば言ってやるがいい。「わたしの所業はわたしの


ためであり,あなたがたの所業はあなたがたのためである。あなたがたはわたしの行うことに関


係なく,わたしはあなたがたの行うことに関係ない。」


42.かれらの中には,あなたに耳を傾ける者がある。だがあなたは,聞けない者に聞かせること


ができようか,かれらは,やはり理解しないのである。


43.またかれらの中には,あなたに目を注ぐ者がある。だがあなたは見えない者を導くことが出


来ようか,かれらは,やはり見てはいないのである。


44.本当にアッラーは決して人間を害されない。だが人間は自らを害する。


45.かれが,かれらを召集なされる日,かれらは昼間の一刻も滞留しなかったかのように(感じ


て),栗いによく覚えているであろう。アッラーとの会見を否認して,導かれなかった者たちは


確かに失敗者である。


46.われがかれらと約束した(悪い結果の)一部を,(生存中に現わして)あなたに示しても,


または(それを示す前に)あなたをわれに召しても,やはりかれらはわれに帰るのである。その


時アッラーは,かれらの行った凡てに就いて立証される方であられる。


47.それぞれの民に対して,使徒が(遺わされたので)ある。かれらの使徒がやって来た時,事


はかれらの間で公正に裁決されて,不当に扱われることはない。


48.かれらは言う。「あなたがたの言葉が真実なら,この約束が果たされるのは何時なのですか


。」


49.言ってやるがいい。「わたしは,アッラーが御好・にならない限り,自分で害しまたは益す


る力はない。各々の民には定められた期限がある。かれらの期限が到来すれば,一刻も猶予する


ことは出来ない。また(それに)先んずるこニも出来ない。」


50.言ってやるがいい。「あなたがたは考えないのか,かれの懲罰は夜でも昼でも,あなたがた


に下るのであろ。罪深い者たちが急ぐのは,そのどの(懲罰)であるのか。」


51.「あなたがたはそれがやって来た時,やっと信じるのか。(その時言われよう)今があなた


がたが,急いでいたその時である。」


52.その時不義の徒に向かって言われるであろう。「永遠の懲罰を味わえ。あなたがたが行った


ことに対してだけ,報いられるのではないか。」


53.かれらはあなたに問うだろう。「それは真実なのですか。」言ってやるがいい。「そぅだ,


わたしの主にかけて,本当にそれは真実です。あなたがたは免がれられないのです。」


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54.不義を行った各人は,地上の一切のものを所有しているとすれば,必ずそれを挙げて罪を贖


おうとするであろう。また懲罰を目の前に見る時,かれらは後悔を表す。だがかれらの間は公正


に裁定され,不当に扱われることはないのである。


55.天地の凡てのものは,アッラーの有ではないか。本当に,アッラーの約束は真実ではないか


。しかし,かれらの多くは分らない。


56.かれは生を与え,また死を与える。そしてかれにあなたがたは帰されるのである。


57.人びとよ,あなたがたの主から確かに勧告が下された,これは胸の中にある(病い)を(癒?)


し,また信者に対する導きであり慈悲である。


58.言ってやるがいい。「アッラーの恩恵により,またその慈悲により,かれらを喜ばせなさい


。それはかれらが蓄積したものに勝る。」


59.言ってやるがいい。「アッラーが,御恵・としてあなたがたに下されたものを考えて・なさ


い。何故あなたがたはその(一部を)非合法とし,また(一部を)合法としたのか。」言ってや


るがいい。「アッラーがあなたがたに許されたのか,それともあなたがたがアッラーに就いて捏


造したのか。」


60.復活の日に,アッラーに就いて嘘を捏造した者たちの思うことは何であろうか。本当にアッ


ラーは,人間に対し恩恵の限りを尽くされる。それでも,かれらの多くは感謝しない。


61.あなたが何事に従事していても,またクルアーンのどの部分を読誦していても,またあなた


がたがどんな行いをしていようとも,あなたがたがそれにうち込んでいる限り,われは必ずあな


たがたのための立証者である。天地の微塵の重さも,あなたの主から免れられない。またそれよ


りも小さいものでも,大きいものでも(凡て)はっきりと書物の中に(記されて)ないものはな


いのである。


62.見なさい。アッラーの友には本当に恐れもなく,憂いもないであろう。


63.かれらは信仰し,(アッラーを)畏れていた者たち。


64.かれらに対しては現世でも,来世においても吉報がある。アッラーの御言葉には変更はない


。それこそは偉大な,幸福の成就である。


65.かれらの言葉に,あなたの心を痛ませてはならない。本当に権能栄誉は,凡てアッラーの有


である。かれは全聴にして全知であられる。


66.見なさい。天地の凡てのものは,本当にアッラーの有である。アッラーを差し置いて,神々


に祈っている者たちは何に従うのか。かれらは妄想に従っているだけ。自分勝手に過ぎない。


67.かれこそは,あなたがたのため夜を定め,それであなたがたを憩わせ,また昼間を明々白々


にされる方である。本当にその中には聞く耳をもつ人びとに対し,印がある。


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68.かれらは,「アッラーは一人の子をもうけられた。」と言う。かれに讃えあれ。かれは自足


なされる御方。天地の凡てのものは,かれの有である。あなたがたはこれに対して,権威はない


のである。アッラーに就いて,自分の知らないことを語るのか。


69.言ってやるがいい。「アッラーに就いて嘘を捏造する者は,決して栄えないであろう。」


70.かれらはこの世で束の間の享楽をなし,それからわれの許に帰るのである。その時われは,


不信心であったことに対して厳しい懲罰を味わせるであろう。


71.かれらにヌーフの物語を読誦しなさい。かれがその民にこう言った時を思え。「わたしの人


びとよ,わたしが(あなたがたと一緒に)留り,またアッラーの印を思い出させることがあなた


がたにとって迷惑であっても,わたしはアッラーを信頼する。それであなたがたは,自分で立て


た神々と(樺kして)あなたがたの事を決定しなさい。それであなたがたの決断に,半信半疑で


あってはならない。その時わたしに対する態度を決め,猶予するな。


72.仮令あなたがたが背き去っても,わたしはあなたがたから報酬をもらうわけではなかった。


わたしは只アッラーから報酬をいただくだけ。わたしは,ムスリムであるよう命じられている。





73.だがかれらはかれ(ヌーフ)を拒否したので,われはかれとかれの味方の者たちを方舟に救


い,かれらに(地を)継がせ,わが印を拒否した者を溺れさせた。見なさい。警告された者たち


の最後がどんなものであったかを。


74.それからかれの後,われは使徒たちをその民に遺わし,明白な(印)を授けた。だがかれら


(人びと)は以前に拒否したものを,信じようとはしなかった。このようにわれは反逆者の心を


封じる。


75.それからかれらの後,わが印を持ってムーサーとハ―ルーンを,フィルアウンとその首長た


ちに遺わしたが,かれらは高慢で罪深い民であった。


76.真理がわが許からかれらに(西?)された時,かれらは言った。「これは明らかに魔術である。





77.ムーサーは言った。「あなたがたは(この現実に)(湾?)されている真理を(指して)言うの


か,これが魔術であろうか。魔術師は成功しないであろう。」


78.かれらは言った。「あなたが来たのは,わたしたちの祖先が守っていた信仰から背かせるた


めである。あなたがた両人は,この国で高い地位を得ようとするのか。わたしたちはあなたがた


両人を信じない。」


79.フィルアウンは言った。「凡ての老練な魔術師を,ここに呼んで来なさい。」


80.魔術師が来た時,ムーサーはかれらに言った。「あなたがたの投げたいものを投げなさい。





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81.かれらが投げた時,ムーサーは言った。「あなたがたが現出したのは,魔術である。アッラ


ーは直ぐそれを無力にされる。本当にアッラーは不義の徒の仕業を成功させない。」


82.罪深い者たちが仮令好まなくても,アッラーは御言葉で真理を立証される。


83.かれの民の中末輩を除いては,ムーサーを信じようとしなかった。かれらはフィルアウンや


首長の迫害を恐れていたのである。フィルアウンは国内で権勢を恋にし,本当に暴君であった。


84.ムーサーは言った。「わたしの人びとよ,あなたがたはアッラーを信仰するのなら,かれを


信頼しなさい。もしあなたがたが服従,帰依する者であるならば。」


85.かれらは(祈って)言った。「わたしたちはアッラーを信頼します。主よ,わたしたちを,


不義の民のための一試練となされず,


86.あなたの御慈悲をもってわたしたちを不信心の民から救い出して下さい。」


87.われはムーサーとその兄弟に啓示して言った。「あなたがたの民のためエジプトに住まいを


定め,あなたがたの家を礼拝の場となし,礼拝の務めを守れ。また信者たちに吉報を伝えなさい


。」


88.ムーサーは申し上げた。「主よ,本当にあなたはフィルアウンとその首長たちに,現世の生


活の栄華裕福を御授けになりました。主よ,かれらがあなたの道から迷い出てしまいますように


。主よ,かれらの富を滅ぼされ,かれらの心を頑固にして下さい。それ故痛ましい懲罰が下るま


で,かれらは信じないでしょう。」


89.かれは仰せられた。「あなたがた両人の祈りは受け入れられた。だから姿勢を正し,無知な


者の道に従ってはならない。


90.われは,イスラエルの子孫に海を波らせ,フィルアウンとその軍勢は,暴虐と敵意に満ちて


かれらを追跡した。溺れ死にそうになった時,かれ(フィルアウン)は言った。「わたしは信仰


いたします。イスラエルの子孫が信仰するかれの外に,神はありません。わたしは服従,帰依す


る者です。」


91.(するとかれに仰せられよう。)「何と,今(信仰するのか)。ちょっと前まであなたは反


抗していた。結局あなたは犯罪者の仲間であった。


92.だが今日は,われは後の者への印とするため,あなたの体を救うであろう。だが人びとの多


くはわが印を疎かにする。」


93.われは,イスラエルの子孫に安全な居住の地を定め,凡ての良いものを授けた。かれらに(


悪い)知識が来るまでは意見の相異はなかった。本当にあなたの主は,審判の日にかれらが争っ


ていたことに就いて,かれらの間を裁決されるであろう。


94.あなたがもしわれの命令したものに就いて疑うならば,あなた以前の啓典を読んでいる者に


問え。確かに真理は,主からあなたに(育?)されたのである。だからあなたは懐疑に陥っては


ならない。


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95.またあなたは,失敗者にならないよう,アッラーの印を虚偽であるとする者の仲間であって


はならない。


96.本当に(罪が深いために)主の御言葉通りになった者は,信仰しないであろう。


97.例え凡て印がかれらに(宙?)されても,かれらが(自分で)痛ましい懲罰を見るまでは。


98.信仰したのにその信仰心が(破滅を免れるのに)役立った町が,ユーヌスの民の外にはなか


ったのは何故なのか。かれら(ユーヌスの民)力t信仰に入った時,われは現世の生活における


,不名誉な懲罰をかれらから取り払い,現世(の生活)を享楽させた。


99.もし主の御心なら,地上の凡ての者は凡て信仰に入ったことであろう。あなたは人びとを,


強いて信者にしようとするのか。


100.アッラーの許しがなければ,誰も信仰に入ることは出来ないのである。また悟らない者には


,かれは退廃を起こさせる。


101.言ってやるがいい。「天地の凡てのものを観察しなさい。」だが信仰しない人びとには,印


も警告も役立たない。


102.かれら以前に過ぎ去った人びとの日(に起こったの)と同じこと以外に,かれらは(何を)


期待するのか。言ってやるがいい。「それなら待て,わたしもまたあなたがたと共に待つもので


ある。」


103.その中われは,使徒たちと信仰する者たちを救うであろう。このように信者を救うのは,わ


れの免れられない務めである。


104.言ってやるがいい。「人びとよ,例えあなたがたがわたしの教えに就いて疑っても,わたし


はアッラーを差し置いて,あなたがたが仕えているものに仕えない。わたしはアッラーに仕える


。あなたがたを召される御方ではないか。わたしは信者であるよう命じられている。


105.(それからこうも言われた。)それであなたの顔を,純正な教えに向けなさい。偶像信者の


仲間であってはならない。


106.またアッラーを差し置いて,あなたを益せずまた損いもしないものに祈ってはならない。も


しこれをするならば,あなたは本当に不義者の仲間である。


107.もしアッラーがあなたに災厄を下されれば,かれの外にそれを除くものはない。またもしか


れがあなたに幸福を望まれれば,かれの恩恵を拒否するものは何もないのである。かれはそのし


もベの中,御好・になられる者に,それを下される。本当にかれは寛容にして慈悲深くあられる


。」


108.言ってやるがいい。「人びとよ,主から,あなたがたに真理が(宙?)されたのである。導かれ


る者は,只自分を益するために導かれ,迷う者は,只自分を害するために迷う。わたしは,あな


たがたの後見人ではない。」


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109.あなたに啓示されたものに従い,アッラーが裁かれるまで耐え忍べ。かれは裁決に最も優れ


た御方であられる。


SURA 11.フード章


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。


1.アリフ・ラーム・ラー(この)啓典は,(英知によって)守護されており,また英明にして通


暁される御方からの解明である。


2.(それで言うがいい。)「アッラーの外誰にも仕えてはならない。本当にわたしは警告者,ま


た吉報の伝達者として,かれからあなたがたに(遣わされた)。」


3.あなたがたの主の御赦しを請い願え。そしてあなたがたは,悔悟してかれの許に返れ,(そう


すればアッラーは)定められた時期までいろいろなよいものを享受させる。また功績の多い者に


は,それぞれ豊富に恵・を与えられる。だがもし,背き去るならば,わたしはあなたがたのため


に偉大な日の懲罰を恐れる。


4.「あなたがたはアッラーの許に帰るのである。かれは凡てのことに全能であられる。」


5.見なさい。かれらは(その敵意を)かれに隠そうとして,自分たちの胸をたた・込んでいる。


ああ,自分たちの衣を(幾重に)着こんでも,かれはかれらの隠すこと顕わすことを知っておら


れる。本当にかれは,胸の中の秘密をよく知っておられる。


6.地上の凡ての生きもので,その御恵・をアッラーからいただいていない者はない。かれはそれ


らの居住所と寄留所を知っておられる。凡てはっきりと書物に(記されて)ある。


7.かれこそは玉座が水の上にあった時,6日の間に天と地を創造された御方。それはかれが,あ


なたがたの中誰が,行いに最も優れているか,明瞭にされるためである。だがあなたがもし,「


あなたがたは,死後必ず甦されるであろう。」と言えば,不信心者たちはきっと,「それは明ら


かに魔術に過ぎない。」と言うであろう。


8.もしわれが定めの時期まで,かれらに対する懲罰を延ばせば,かれらはきっと言うであろう。


「何が(懲罰を)遅らせているのか。」ああ,それが到来する日,何ものも,それを避けられず


,かれらは自分たちが嘲笑していたもので,取り囲まれるであろう。


9.もしわれが,人間に規しく慈悲を施して味わしめ,その後それをかれらから取り上げれば,き


っと絶望して不信心になる。


10.だが災いに見舞われた後われがもし恩恵を味わしめると,かれは,「不幸はわたしから去っ


てしまった。」と言って必ず狂喜して自慢する。


11.耐え忍んで,善行をなす者だけはそうではない。これらの者には,(罪の)赦しと偉大な報


奨がある。


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12.あなたは恐らく,啓示されたものの一部を放棄したい(気持になる)であろう。そのために


あなたの胸は狭められてはいないか。それはかれらがこう言うためである。「どうしてかれに財


宝が下されないのだろう。また何故1人の天使も,かれと一緒に来なかったのであろうか。」本


当にあなたは1人の警告者に過ぎない。アッラーは凡てのことを管理される方であられる。


13.またかれらは,「かれがそれ(クルアーン)を作ったのです。」と言う。言ってやるがいい


。「もしあなたがたの言葉が真実ならば,それに類する10章を作って,持って来なさい。また出


来るならあなたがた(を助けることの出来る)アッラー以外の者を呼びなさい。」


14.もしかれら(神々)があなたがた(の呼びかけ)に答えないならばCあなたがたはそれがアッ


ラーの御知識からだけ下されたものであること,またかれの外に神はないことを知りなさい。そ


れであなたがたは,心から服従,帰依するのか。


15.現世の生活とその栄華を望む者には,われは現世のかれらの行いに対し十分に報いるであろ


う。かれらは少しも減らされることはないのである。


16.これらの者は,米世の火獄の外に何もない者たちである。現世でかれらの成し遂げたことは


実を結ばず,その行っていたことは,虚しいものになる。


17.主からの明白な印を受けた証人(預言者)に読・聞かされた者(信者たち)。そしてそれ以


前に導師であり慈悲であるムーサーの啓典(律法)をいただいている人々。これら(啓示の下っ


た民)こそはそれ(クルアーン)を信じる。だがそれを信じない一派の者たちは,火獄がかれら


の約束された場所である。だからあなた(ムハンマド)は,それに就いて疑ってはならない。本


当にそれはあなたの主からの真理である。だが人びとの多くは信じない。


18.アッラーに就いて虚偽を作る者より,甚だしい不義な者があろうか。かれらは主の御許に引


き出され,その証人たちは,「これらの者は,主に関して偽った者です」と言うであろう。見な


さい。アッラーの怒りが不義者に下る。


19.これらの者は,アッラーの道(イスラームの教え)から(人々を)妨げ,(その道自体を)


曲げようとする者,また来世を否定する者である。


20.これらの者は,地上において罰を逃れることもできず,またアッラーの外に守護者もないの


である。かれらに対する懲罰は倍加されるであろう。かれらは聞くことも出来ず,また(明確に


)見ることも出来なかった。


21.これらの者は,自分自身を滅ぼした者で,かれらが捏造していたものは,かれらからはぐれ


去った。


22.疑うことなくこれらの者は,来世の最大の失敗者である。


23.本当に信仰して善行に励・,また主の御前で謙虚な者,これらの者は楽園の住人で,永遠に


そこに住むであろう。


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24.この両者を例えれば,一人は盲人で耳の遠い者のようであり,外は目も見えれば耳も聞える


者である。比べて・て両者は同じであろうか。それでもあなたがたは注意しないのか。


25.またわれはヌーフを,かれの民に遣わした。(かれは言った。)「わたしはあなたがたへの


,公明な警告者である。


26.あなたがたはアッラーの外に仕えてはならない。わたしはあなたがたのために,苦難の日の


懲罰を本当に恐れる。」


27.だがかれの民の中不信心な首長たちは言った。「あなたを見ると,わたしたちと同じ人間に


過ぎません。またわたしたちのなかでもあなた従う者は,思慮の未熟な最も卑しい者に過ぎませ


ん。またあなたには,わたしたちに勝る長所も認められません。いや,わたしたちは,実際あな


たがたを嘘付きであると考えます。」


28.かれは言った。「わたしの人びとよ,あなたがたは考えて・なさい。もしわたしが主からの


明証の上に立ち,かれが御許からわたしに慈悲を与えられても,それがあなたがたの目に不明瞭


だというならば,それほど嫌っているのに,あなたがたにそれを強いることが出来ようか。


29.人びとよ,わたしはこれ(伝道)に対して,あなたがたに財迂を求めない。わたしは,只ア


ッラーから報奨をいただくだけである。またわたしは,信仰者たちを(侮って)追い返そうとは


しない。本当にかれらは主に会う身である。寧ろあなたがたは,無知の民であるとわたしは考え


る。


30.人びとよ,わたしがもしかれらを追い返したならば,アッラーに対し誰がわたしを助けるで


あろう。それでもあなたがたは注意しないのか。


31.わたしはあなたがたに向かって,わたしがアッラーの宝物をもっているとも,幽玄界を知っ


ているとも,またわたしは天使であるとも言わない。なおまたわたしはあなたがたが軽視する者


に向かって,アッラーはかれらに(どんな)善性も,御授けにならないだろうと言わない。アッ


ラーは,かれらの心の中を,最もよく知っておられる。もしそうであったならば,わたしは不義


の徒である。」


32.かれらは言った。「ヌーフよ,あなたはわたしたちと論議してわたしたちとの論争を長引か


せました。もしあなたの言葉が真実ならば,あなたが約束したこと(懲罰)をわたしたちに(お?


)しなさい。」


33.かれは言った。「アッラーの御心があれば,かれだけがあなたェたにそれを現出されるであろ


う。あなたがたは(それを)避けられないのである。


34.仮令わたしが(善い)忠告を,あなたがたに与えようと望んでも,もしアッラーがあなたが


たを,迷うに任せる御望・ならば,わたしの助言はあなたがたに無益であろう。かれこそあなた


がたの主であられる。あなたがたはかれの御許に帰されるのである。」


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35.また,かれら(マッカの不信心者たち)はかれがそれ(クルアーン)を作り出した」と言っ


ている。言ってやるがいい。「もしわたしがそれを作り出したならば,罪はわたしにある。だが


わたしは,あなたがたが犯した罪にはかかわリがない。」


36.ヌーフはこのように啓示された。「既に信仰した者の外は,もうあなたの民は信仰しないで


あろう。だからかれらの行いに就いて悩んではならない。


37.そしてわれの目の前で,啓示に従って方舟を造れ。また不義を行う者のために(この上)わ


れに願い出てはならない。かれらは溺れ死ぬであろう。」


38.そこでかれは方舟を造り始めた。かれの民の首長たちは,その側を過ぎる度にかれを明笑し


た。かれは言った。「仮令あなたがたが(今)わたしたちを嘲笑しても,いずれあなたがたが嘲


笑するように,きっとわたしたちがあなたがたを嘲笑するようになろ。」


39.「あなたがたはやがて恥馬の懲罰が誰に来るか知るであろう。永久の懲罰が誰の上に降りか


かるかを。」


40.遂にわが命令は下って,大地の諸水が堰を切って迸り出た時,われは言った。「すべての生


き物の一つがいと,信仰者たちと,あなたの家族で宣告がすでに下された者以外をその中に乗せ


なさい。」だがかれと共に信仰した者は少なかった。


41.かれ(ヌーフ)は言った。「アッラーの御名によって,これに乗れ。航行にも停泊にもそれ


によれ。本当にわたしの主は,寛容にして慈悲深くあられる。」


42.方舟はかれらを乗せて山のような波の上に動き出した。その時ヌーフは(皆から)離れてい


たかれの息子に叫んで言った。「息子よ,わたしと一緒に乗れ。不信者たちと一緒にいてはなら


ない。」


43.息子は(答えて)言った。「わたしは山に避難しよう。それは(洪)水から救うであろう。


」かれ(ヌ-フ)は言った。「今日はアッラーの御命令によってかれの慈悲に浴する者の外は,


何者も救われない。」その時2人の間に波が来て,息子は溺れる者の1人となった。


44.御言葉があった。「大地よ,水を飲・込め。天よ,(雨を)降らすことを止めなさい。」水


は引いて,事態は治まり,(舟は)ジューディー山上に乗り上げた。また仰せられた。「不義を


行う民を追い払え。」


45.ヌーフはかれの主を呼んで申し上げた。「主よ,わたしの息子は(わが)家の一員です。あ


なたの約束は本当に真実で,あなたは裁決に最も優れた御方であられます。」


46.かれは仰せられた。「ヌーフよ,かれは本当にあなたの家族ではない。かれの行いは正しく


ない。あなたの知らないことに就いて,われに求めてはならない。われはあなたが無知な者とな


らないよう戒める。」


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47.かれは申し上げた。「主よ,本当にわたしか知りもしないことに就いて,あなたに請い求め


ないよう,御赦しを願います。あなたがわたしを御赦しになり,慈悲を与えられなければ,わた


しはきっと,失敗者の仲間になるでしょう。」


48.(かれに)御言葉があった。「ヌーフよ,われからの平安によって,(舟を)降りなさい。


あなたに祝福あれ,またあなたと共にいる多くの人々の上にも。(外に)われが(少しの間の生


活を)享受させる人々もあるが,結局かれらはわれから痛ましい懲罰を受けるであろう。


49.これはわれがあなたに啓示した,幽玄界に就いての消息である。あなたもあなたの人々も以


前はそれを知らなかった。だから耐え忍ベ。(善)果は,主を畏れる者に帰するのである。


50.(われは)アードの民に,その同胞のフードを(遣わした)。かれは言った。「わたしの人


びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたには,かれの外に神はないのである。あなたがたは


(神々を)捏造しているに過ぎない。


51.人びとよ,わたしはこれ(消息)に対して,何の報酬もあなたがたに求めない。わたしの報


酬は,わたしを創られたかれの御許にだけあるのである。あなたがたはそれでも悟らないのか。


52.わたしの人びとよ,あなたがたの主の御赦しを請い求め,悔悟オてかれに返れ。かれはあなた


がたの上に天(から雲)を送り,豊かに雨を降らせ,あなたがたの力に更に力を添えられる。だ


からあなたがたは背き去って,罪を犯してはならない。」


53.かれらは言った。「フードよ,あなたはわたしたちにたった一つの明証すら,(宙?)さない。


わたしたちは(単なる)あなたの言葉のために,わたしたちの神々を捨てない。またあなたの信


者にもならない。


54.わたしたちの神々のあるものが,邪悪な言動であなたを魅惑したのだと言うだけである。」


かれは(答えて)言った。「わたしは,立証をアッラ―に御願いする。あなたがたも,わたしが


(神々を)配することに,関りないことを証言して下さい。


55.かれ以外(の神々を仲間とし)て,皆でわたしに対し策謀しなさい。何も猶予はいらない。


56.わたしの主であり,あなたがたの主であられるアッラーを,わたしは信頼する。凡ての生き


ものの一つでも,アッラーが,その前髪を(担?)まれないものはない。本当にわたしの主は,


正しい道の上におられる。


57.仮令あなたがたが背き去っても,わたしはあなたがたのために,与えられたものを既に伝え


た。主はあなたがたの代りに,他の民を継がせられた。あなたがたは少しも,かれを害すること


が出来ないのである。本当にわたしの主は,凡てを見守られる。」


58.わが命令が下った時,われの慈悲によってフードとかれと共に信仰する者たちは救われた。


われは酪い懲罰から,かれらを救ったのである。


59.これは,アード(の民のこと)であった。かれらは主の印を拒否し,かれの使徒たちに背き


,それぞれの勢力者,頑迷な反逆者の命令に従った。


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60.それでかれらは,現世でも復活の日でも,呪いに付き纏われた。ああ見よ,本当にアードは


,かれらの主を信仰しなかった。ああ見よ,フードの民(の視界から)アードは消された。


61.(われは)サムードの民に,その同胞サーリフを(遺わした)。かれは言った。「わたしの


人びとよ,アッラーに仕えなさい。かれの外に,あなたがたに神はないのである。かれは大地か


らあなたがたを造化され,そこに住まわせられた。それでかれの赦しを請い願い,悔悟してかれ


に返れ。本当にわたしの主は,直ぐ近くにおられ,(祈りに)応えられる御方である。


62.かれらは言った。「サーリフよ,あなたはわたしたちの中で,以前望・をかけた人物であっ


た。(今)あなたは,わたしたちの祖先が仕えたものに仕えることを禁じるのか。だがあなたが


勧める教えに就いて,わたしたちは真に疑いをもっている。」


63.かれは言った。「わたしの人びとよ,考えて・たのか,わたしが主からの証の上にたち,か


れはわたしに,親しく慈悲を与えられるのに,もしわたしがかれに従わないならば,誰がアッラ


ー(の怒り)からわたしを救助することが出来ようか。あなたがたはわたしをもっと破滅してし


まうだけである。」


64.わたしの人びとよ,これはアッラーの雌ラクダで,あなたがたに対する一つの印である。ア


ッラーの大地で放牧し,これに害を加えてはならない。身近かな懲罰に襲われないようにしなさ


い。


65.だがかれらは,その膝の腱を切った。それでかれ(サーリフ)は言った。「3日の間あなたが


たの家で(生を)楽しめ。それは偽りのない約束である。」


66.わが命令が下った時,慈悲によってわれはサーリフならびにかれと共に信仰した者たちを救


い,またその日の恥辱からも救った。本当にあなたの主は,強大にして偉力ならびなき御方であ


る。


67.一声(懲罰)が,不義の者を襲った。かれらは翌朝その家の中で俯していた。


68.そこはまるで,誰一人住んでいなかったかのようであった。サムードの人びとは,主を信じ


なかった。サムードよ(アッラーの慈悲から)追放されよ。


69.わが使徒たちが,イブラーヒームの許に来て,吉報を(声?)した。かれらは,「平安あれ


。」と言い,かれも,「平安あれ。」と答え,時を移さず,焼いた仔牛で持て成した。


70.だがかれらの手がそれに伸びないのを見て,かれは不安に感じ,かれらに恐れを抱いた。か


れらは言った。「恐れてはならない,実はわたしたちは,ルートの民に遣わされた者である。」


71.その時,かれ(イブラーヒーム)の妻が立っていて,笑ったので,われはかの女にイスハー


クのこと,イスハークの後,ヤアコーブの(産れる)吉報を`えた。


72.かの女は言った。「ああ,情ない,わたしは老婦人であり,この夫も老人なのに(子が)産


めましょうか。本当にこれは不思議なことです。」


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73.かれらは言った。「おお,この家の人びとよ,あなたがたは,アッラーの命令に驚くのか。


アッラーの慈悲と祝福があなたがたの上にあるように。本当にかれは讃美すべき方,栄光に満ち


た方であられる。」


74.それでイブラーヒームの恐れが消え,吉報がかれに伝えられた時,かれはルートの民のため


にわれに歎願し始めた。


75.本当にイブラーヒームは,辛抱強く,心の優しい,梅悟して(主に)返った者である。


76.(主は仰せられた。)イブラーヒームよ,このことを断念しなさい。既に主の御命令は下っ


ている。避けられない懲罰が,かれらに下るのである。


77.われの使徒たちがルートの許に来た時,かれは(ルー卜の客人としての)使徒のためにとて


も心を悩まし,かれ自身(人びとの男色の風習から)かれらを守れないことを悲しんで,「これ


は苦難の日である。」と言ったo


78.人びと(ルートの民)は急いでかれの許に来た。これまでかれらは,汚らわしい行い(男色


行為)をしていたので,かれは言った。「わたしの人びとよ,ここにわたしの娘たちがいる。あ


なたがたにとっては(娘たちと結婚することが)最も清浄である。アッラーを畏れなさい。わた


しの賓客に関して,わたしに恥をかかせないでくれ。あなたがたの中に,正しい心の者が一人も


いないのか。」


79.かれらは言った。「わたしたちがあなたの娘たちに,求める気のないことを,あなたはよく


知っているはずである。またわたしたちが望むものもあなたに分っている。」


80.かれは(祈って)言った。「わたしに,あなたがたを押える力がありますよう。もしくは力


強い支持にあずかることが出来ますように。」


81.かれら(使徒たち)は言った。「ルートよ本当にわたしたちは,あなたの主の使徒である。


かれらは決してあなたに手を触れることは出来ない。それで夜の間にあなたの家族を連れて出て


行きなさい。そしてあなたがたの中,一人でも後ろを振り向いてはならない。あなたの妻は別で


ある。かの女は,かれら(ソドムの住民)の遭遇したことに遭遇するであろう。かれらに定めら


れた時は,早朝である。朝は近いではないか。」


82.それでわが命令が下った時,われはそれ(町)を転覆し,その上にわれは幾重にも焼いた泥


の石を雨と降らせた。


83.(その石には)アッラーの御許で,(懲罰の)記号が付けられていた。それらは,不義を行


う者の上にも降りかかるのである。


84.(われは)またマドヤンの民にその同胞のシュアイブを(遣わした)。かれは言った。「わ


たしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたには,かれの外に神はないのである。また


寸法や量目を少なくしてはならない。見たところあなたがたは繁栄しているが,わたしはあなた


がたに,(一切を)取り巻く日の懲罰が下るのを恐れる。」


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85.「人びとよ,寸法や量目を正確に計れ,人の物を欺き取ってはならない。また地上で悪事を


行って退廃を(西?)してはならない。


86.もしあなたがたが信者ならば,アッラーの(賜物で手もとに)残されたものこそ,あなたが


たのために最も善いものである。わたしはあなたがたの見張り人ではない。」


87.かれらは言った。「シュアイブよ,あなたの祈るところのものは,わたしたちの祖先が崇拝


したものを捨てるようにあなたに命じたのか。また自分の財産に関し,望・通りに処理してはな


らないのか。本当にあなたは,親切に正しい道に導く者なのか。」


88.かれは(答えて)言った。「人びとよ,考えて・なさい。わたしが主からの証の上にたち,


またかれから良い御恵・を与えられている(のに,主の啓示を伝えることをわたしが怠ろうか)


。またあなたがたに禁したことを,陰で行うことを望まない。わたしの請い願うところは,只力


を尽くして(世の中を)矯正することであり,アッラーによる以外にはわたしの成功〔タウフィ


ーク〕はないのである。わたしはかれに信頼し,かれに梅悟して返る。


89.人びとよ,わたしに異議を唱えて罪を犯しヌーフの民やフードの民,またサーリフの民が陥


ったのと同じ(運命)に陥ってはならない。ルートの民にいたっては,あなたがたと余り縁遠く


はない。


90.それであなたがたの主の御赦しを請い,悔悟してかれに返れ。本当にわたしの主は慈悲深く


温情にあつい御方である。」


91.かれらは言った。「シュアイブよ,あなたの言うことをまるで理解出来ない。またわたした


ちは,本当にあなたは頼りにならないと思う。あなたの同族(のこと)を考えなかったならば,


わたしたちはきっとあなたを石打ちにしたであろう。あなたはわたしたちの間では無力なのであ


る。」


92.かれ(シュアイブ)は言った。「人びとよ,あなたがたはアッラーよりも,わたしの同族の


方を重視するのか。かれを無視して,あなたがたの背後に捨てるのか。本当にわたしの主は,あ


なたがたの行うことを取り囲まれる。


93.人びとよ,あなたがたは自分のやり方で行うがよい。わたしもまた(わたしの務めを)行う


であろう。やがてあなたがたは知ろう。誰に恥ずべき懲罰が下るのか,また誰が偽ったのかを。


あなたがたは待て,わたしもまたあなたがたと共に待つものである。」


94.わが命令が下った時,われの慈悲によってシュアイブとかれと共に信仰した者たちは救われ


た。だが不義を行った者たちには一声(懲罰)が襲い,翌朝かれらはその家の中に,俯していた





95.かれらは,まるでそこに住んでいなかったかのようであった。丁度サムードが滅びたように


マドヤンは滅びた。


96.またわれは,印と明瞭な権威とを授けて,ムーサ一を遺わした。


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97.フィルアウンとその首長たちに。だが,かれらはフィルアウンの命令に従った。しかしフィ


ルァウンの命令は,正しい道に導くものではなかった。


98.復活の日にかれ(フィルアウン)は,人びとを率いて火獄に導き下るであろう。何と恐しい


水場であることよ。


99.かれらは現世においても復務の日にも呪いに付き纏われた。何と恐しい賜物であることよ。


100.これらはわれがあなた(ムハンマド)に語る,昔の村々の消息の一部である。そのあるもの


はなお存巧するが,あるものは消滅した。


101.われがかれらを損ったのではない。かれらが自分自身を損ったのである。アッラー以外にか


れらが祈っていた神々は,あなたの主の命令が下った時,かれらに何も役立つことはなかった。


只破滅を助長するだけであった。


102.このようにかれらが悪を行っている時,村々を不意に襲うことが,あなたの主の捕え方であ


る。かれの捕え方は,本当に痛烈であり苛酷である。


103.本当にこの中には来世の懲罰を恐れる者への印がある。それは人間が一斉に召集される日で


あり,立証されるべき日である。


104.それは定められた一期のために過ぎず,われはそれを遅延させない。


105.その日が来れば,誰もかれの許しがなければ発言することは出来ない。かれらの中の(ある


者は)惨であり,また(ある者は)幸福である。


106.その時惨な者たちは,火獄の中にいよう。その中でかれらは,ため息とすすり泣き(に喘ぐ


だけである)。


107.あなたの主の御好・にならない以上,天と地の続くかぎり,その中に永遠に住むであろう。


本当にあなたの主は,御望・のことを(必ず)成し遂げられる。


108.(その日)幸福な者たちは楽園に入り,あなたの主の御好・による以外,天と地の続く限り


,その中に永遠に住むであろう。限りない賜物である。


109.だからこれらの人びとが崇拝するものに就いて,あなたは思い煩うことはない。かれらは祖


先が以前に仕えたものに仕えるに過ぎない。本当にわれは,かれらの得分を(少しも)減らすこ


となく支給する。


110.われはムーサーに啓典を授けたが,それに就いて(ユダヤ人の間に)異論があった。あなた


の主から前もって,御言葉が下されていなかったならば,その事はかれらの間できっと解決され


たであろう。だが末にかれらはそれに就いて不安な疑いを抱いている。


111.あなたの主はかれらの凡ての言動に対して,十分に報われる。本当にかれは,かれらの行い


を熟知なされる。


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112.それであなたと,またあなたと共に梅悟した者が命じられたように,(正しい道を)堅く守


れ。法を越えてはならない。かれはあなたがたの行いを御存知であられる。


113.あなたがたは悪を行う者を頼りにしてはならない。さもないと業火があなたを捕えるであろ


う。あなたがたには,アッラーの外に守護者はなく,助けられることもない。


114.礼拝は昼間の両端において,また夜の初めの時に,務めを守れ。本当に善行は,悪行を消滅


させる。これは(主を)念じる者に対する訓戒である。


115.耐え忍べ。本当にアッラーは,善行者への報奨を虚しくされない。


116.あなたがたより以前の世代の者の間には,何故かれらの中われが救った少数の者を除いては


,地上の退廃を押える有徳な者たちがいなかったのであろうか。不義を行う者たちは,享楽を貪


り罪を犯していた。


117.あなたがたの主は,そこの居住民が矯正(に留意)する間は,(単なる)悪行のために都市


を滅ぼされない。


118.またあなたの主の御心ならば,かれは人びとを一つのウンマになされたであろう。だがかれ


らは反目しあっている。


119.あなたの主が慈悲を垂れられる者は別である。かれはそうなるように,かれらを創られた。


そして,「われは必ずジンと人間を一緒にして,地獄を満たす。」との主の御言葉は全うされた





120.凡そわれが,使徒たちの消息に就いてあなたに語ったことは凡て,あなたの心をそれで堅固


にするためのものである。その中には真理と勧告,と信仰する者への訓戒がある。


121.それで不信仰者に言ってやろがいい。「あなたがたは自分のやり方で行うがいい。わたした


ちも(自分の務めを)行う。


122.あなたがたは待ちなさい。わたしたちも待っている。」


123.天と地の幽玄界は,アッラーの有であり,また凡ての事(物の決定)はかれに帰属する。だ


からかれに仕え,かれを信頼しなさい。主はあなたがたの行うことを,疎かになされない。



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