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夜の旅と昇天は、神の預言者であるムハンマドへの大いなる祝福でした。それはマッカの聖マスジドから始まり、エルサレムのマスジド・アル=アクサーに続き、第七天における全能なる神の御前までの旅でした。預言者ムハンマドの旅に注視する中で特筆すべき重要なこととしては、彼が訪れた諸天は天国の一部ではないということです。





英語において、天国(Heaven)という単語は一般的に永久なる精神的幸せや、誠実な人生のための報奨、そして永久の懲罰の場である地獄の対義語とされますが、それは常にそうだったのではありません。Heavenという単語は地球上空の天体的な空を意味する古英語Heofonという語から来たものです。アラビア語においては、常に「サマー」と「ジャンナ」の二つの単語が別々に使用されてきました。サマーは私たちの上にある空を指し、それは審判の日に滅ぼされる現世の一部ですが、「ジャンナ」という言葉は、楽園、永久の祝福の場、誠実な信仰者の恒久的住処であり、地獄の対義語なのです。





 “そこでかれは、2日の間に7層の天を完成なされた。そしてそれぞれの天に命令を下し、(大地に)近い天を、われは照明で飾り、守護した。これは、偉力ならびなく全知なる御方の摂理である。」”(クルアーン41:12)





 “主は、親しく慈悲と満悦を与えられ、かれらのために永遠の至福の楽園の吉報を与えられる。かれらは永遠にその中に住むであろう。アッラーの御許には最大の報奨がある。”(クルアーン9:21−22)





神の奇跡





預言者ムハンマドは、エルサレムの象徴として現在よく知られる、黄金のドームを冠したマスジドにある岩から昇天しました。この旅はいかなる人間も経験したこともなく、これから経験することもないものです。それは一見不可能に見えることを実現させる、神の能力を明示したものです。ここでは私たちの知る時空の概念は適用されず、神の全能性を知ることは私たち人間の能力を超えたものです。預言者ムハンマドの言行録では、天の大きさを説明しています。第一の天は、第二の天に比べ砂漠の中の小さな指輪程の大きさであり、彼によると第六の天は、第七の天に比べ砂漠の中の小さな指輪であると述べています。その規模は到底測り知ることの出来るようなものではありません。私たちの住む地球、そして私たちが宇宙と呼ぶものは、第一の天に含まれるものです。21世紀の科学的知識をもってしても、それがいかなる大きさなのか、どこまで広がっているのか、何が含まれているのかを知ることは不可能なのです。





預言者ムハンマドは天使ガブリエルと共に天へと昇りました。二人は第一天の門に辿り着き、そこで天使ガブリエルは入門の許可を求めました。門番が「あなたは誰ですか?」と尋ねると、天使ガブリエルは「私だ。ガブリエルだ。」と答えました。すると門番は彼の連れ合いについて尋ねました。彼がムハンマドであることを告げると、門番は彼が唯一なる神への崇拝のために全人類を導く使命が与えられている者なのか、尋ねました。天使ガブリエルがそれを肯定したため、天使たちは預言者ムハンマドを歓迎し、彼の到着を喜びつつ門を開きました。





諸預言者との挨拶





預言者ムハンマドは全人類の父であるアダムを見たと述べています。彼はアダムに、ムスリムの挨拶である「アッサラーム・アライクム(あなたに平安あれ)」と言って挨拶しました。アダムは挨拶を返し、ムハンマドの預言者性への信仰を明らかにしました。彼はムハンマドを息子、そして真の預言者と呼びました。彼ら二人の出会いにおける喜びは想像を絶したものだったでしょう。アダムは数千年の後に、彼の子孫の中でも最も偉大であるムハンマドと対面したのです。ムハンマドは全人類の父と相見したのです。この奇跡はほんの始まりに過ぎませんでした。天使ガブリエルと預言者ムハンマドは第二天へと昇りました。





その門で天使ガブリエルは再び入門の許可を求めました。門番が預言者ムハンマドの使命について知ると、彼らは彼を歓迎し、門を開きました。そこで預言者ムハンマドは(キリスト教において洗礼者として知られる)預言者ヨハネと預言者イエスという、いとこ同士に出会いました。預言者ムハンマドは二人と挨拶を交わしました。





預言者ムハンマドと天使ガブリエルは第三天に昇りました。ここの門でも同じようなやりとりが交わされ、門番が天使ガブリエルと預言者ムハンマドの使命について知ると、門が開けられたのです。この第三天で、預言者ムハンマドはヨセフに出会いましたが、彼のことをあらゆる美の半分に値すると表現しています。





預言者ムハンマドが天の各階層で預言者たちと出会うたび、彼は彼らと挨拶を交わし、その言葉は常に、唯一なる神へ服従する者たちによる平和の挨拶である「アッサラーム・アライクム」でした。預言者ムハンマドは第四天において、神がクルアーンの中(19:57)で極めて高い地位にあると述べる預言者イドリースに、第五天ではモーゼの兄弟である預言者アロンに出会いました。それぞれの出会いにおいて、預言者たちはムハンマドの預言者性についての確信を証言しています。第六天で、預言者ムハンマドはモーゼと出会います。





預言者モーゼがクルアーン、または預言者ムハンマドまで遡る伝承の中で言及されるとき、何らかの重要なことについて述べられることが知られています。二人の預言者が挨拶を交わし、預言者モーゼがムハンマドの預言者性についての確信を証言すると、モーゼは泣きはじめました。なぜ泣いているのか尋ねられると、彼はこう答えています。「私の後に若者が現れ、彼の追従者は私の追従者よりも多くが楽園に入るからだ。」





イスラームが到来するまで、預言者モーゼには過去の諸預言者の中でも最も多くの追従者がいました。モーゼが泣いたことにより、私たちは預言者間には何らかのライバル心があったことを知ります。しかしそれは嫉妬や羨望に基づいたものではなく、思いやりに満ちたものだったのです。この旅について読み進めると、私たちは預言者モーゼによる預言者ムハンマドとその追従者への愛情と思いやりについて知ることが出来ます。預言者ムハンマドと天使ガブリエルは第七天に昇ります。



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